3話「まだ」
入学してからはや1年。
俺は順調に高校生活を楽しんでいた。
今ではゾム以外にも友達が出来た。
大先生や、コネシマ、エーミールに、トントン、今年入学してきた後輩のチーノとショッピ。
みんな仲間想いで良い奴らだ。
俺の体調もそこまで悪くは無い。
むしろ最近は好調なのかもしれない。
大先生たちにもまだ俺の病気のことは伝えれていない。
それで気を遣わせてしまうのは嫌だから。
R「あ…今日薬忘れたな…」ガサッ
朝登校してきて、準備していたら俺はいつもの薬を家に忘れている事に気付いた。
R「今から取りに帰るのは流石にな…」
Z「どしたん、忘れ物か?」
R「うぉっ!?」
突然横から声をかけられ咄嗟に声が出てしまう。
横を見れば、去年からずっと隣の席のゾムだった。
Z「おー、そんな驚くとは思わんかったわw」
R「ちゃんと声かける時は言ってやー?w」
Z「それはそれでお前ビビるやろw」
R「それもそうやな」
他愛のない話だ。
それだけでも笑みがこぼれる。
Z「それで、なんか忘れたん?」
R「あー、薬…あっ」
しまった。
これは言って良かったのだろうか。
下手すると病気の事がバレてしまうかもしれない。
Z「あ、いっつも飲んでるやつ?」
R「あれ、俺いつもお前の前で飲んでるっけ?」
バレないように隠れて飲んでいるつもりだったのだが。
何故知っているのだろうか?
Z「お前昼飯終わったらすぐトイレ行くやん?気になってよく着いて行ってたんよな」
R「きゃっ、へんたーい!」
Z「なんでやねんww」
まさか、飲んでいるにを見られていたとは。
わざわざトイレまで行って飲んでたんに
これ怪しさMAXでは…?
Z「…それ、なんの薬なん?」
R「えっと…」
やばい、なんて言おう。
いつか聞かれるとは思ってたんにいざ言われるとなんて言えば分からんくなる。
Z「…やっぱ隠してることあるやんな?」
R「…そんなんないって!」
Z「…そうか。なら、その薬はなんなん?」
ゾムはもう俺が隠し事をしている事に薄々勘づいているようだ。
R「…痛み止め」
Z「…はっ?」
苦しい…っ、なんやこの言い訳は…っ!!
なんや痛み止め。って!
自分で言っといてめっちゃ謎!!
バカなのか俺は!!
R「あの…俺よく身体痛なるからさ!それ用…?」
Z「成程、それはちゃんと飲まなあかんもんな!変な事聞いてすまん笑」
R「お、う」
これはバレてない…?
わー!こいつアホやな?ありがてぇアホさや!
あ、もしかして今脳溶けてる?
ゾムやし有り得るな。
取り敢えず乗り切ったわ!やったね!
zm視点
明らかにこいつは何か隠してる。
何の薬かって聞いただけで目が泳いどる。
俺ら親友やん。
なんで隠すんや、?
やっと答えたと思ったら痛み止めとか。
んなわけないやん!
それにロボロよく咳しとるし。
それとなんか関係しとるんちゃうか?
Z「成程、それはちゃんと飲まなあかんもんな!変なこと聞いてすまん笑」
R「お、う」
そう言っただけでホッとしたような表情になる。
やっぱ隠しとるわ。
そう簡単に俺の目を欺けると思うなよ?
数日後…
rbr視点
R「〜〜〜♪」
今日はいつにも増して調子が良かった。
嫌な予感がする程に。
R「〜〜♪ッッ!?ゲホッゴハッゲホッカヒュッ-ゲホゲホッッ」
突然心臓が締め付けられるように苦しくなり、咳が止まらなくなった。
今日は調子が良かったのに。
俺は倒れ込むように座った。
R「ゲホッゴホッゴホゴホッゲホッゲホッヒュッ-」
やばい。咳が止まらない。心臓がバクバクする。
あー、俺死ぬ?
まだ皆に何も残せてないんに。
「ロボロっ!?大丈夫か!?」
そう言って駆け寄ってくる。
誰だ、?まともに目が開けられない。
だが、声には聞き覚えがあった。
R「ゴホッゴホゴホッカヒュッ-ゲホッゾ、ム、?ゲホッゲホッ」
Z「そうや!ゾムや!大丈夫か!?」
心配そうに俺の顔を覗き込み、背中をさするゾム。
すまん。心配させて
R「ゲホッん”“…ゴホゴホッ…ん”ん”ん”ッ”…だいじょーぶ!」ニッ
そう言ってまた笑う。
Z「…一応保健室行こ」グイッ
ゾムは一瞬黙ると俺の手を引いて歩き始めた。
R「えっ!?ちょっ、ゾム!?いいって!」
Z「あんだけ咳しといて大丈夫じゃないやろ…」
R「ちょっとむせただけ!な?」
保健室の先生には俺の病気の事を伝えてある。
まぁそりゃいきなり倒れた時とか先生困ってまうやん。
でも、保健室とか行ったら『あ、病気のやつ?』みたいな絶対ゆうやん。
まだゾムにバラしたくないし。
だから必死に断った。
ゾムは少し考え、諦めたかのように手を離す。
そこに丁度予鈴が鳴った。
R「あっ、予鈴や!ほら!ゾム急いで教室戻らな」
Z「、おう…」
まだ何か言いたそうにこちらを見ていたが、授業もある為、俺たちは急いで教室に向かった。
はー、あぶなぁ…助かったわ…
俺の前を歩くゾムの背中は少し悲しそうだった。
ごめんな、ゾム。
𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎ ⇝♡50
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