テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
「おはよー、おきてー、朝、、じゃないけど。妖精さん、起きて!」
シンデレラはそう言って妖精を揺さぶりました。
「うん、うーん、あと5分、、」
しかし、なかなか起きる気配がありません。
痺れを切らしたシンデレラは言いました。
「シナリオとかなんとか言ってたじゃない!僕気になるんだけど!」
その言葉を聞いた瞬間、妖精は飛び起きました。
「はっっ、そう、シナリオ!私は貴方を舞踏会に行かせなければならないのよ!」
「でた、舞踏会。でもさあ、仮に行ったとしてさ。今日の舞踏会は王子様以外は全員女の子だよ?居てもその子の父親とか。なんか1人若い男いたら怪しいでしょうが。」
妖精は表情を曇らせました。
「ぐっ、、そうなのよね、、。もし、貴方が抵抗がなければの話なんだけど、ドレスを着れば、、でも、、、」
葛藤している妖精の手を取り、シンデレラは微笑みながらこう言いました。
「一旦、一旦ね?そのドレスを見せてくださいな。」
それを聞いた妖精は目に涙を溜めながらこう言いました。
「貴方、、本当に綺麗ね、、私が男だったらすーぐお嫁に、、」
「だぁぁっ!なんでもいいからっ!早く見せてよっ!」
顔を真っ赤にして恥ずかしがるシンデレラに見惚れながら、妖精は杖をくるりとひと回ししました。
すると、なんてことでしょう。
トルソーに着せられた青いドレスが光に包まれながら現れたではありませんか。
「わぁっ、、」
シンデレラは、あまりの美しさに、ため息を漏らしました。
そのドレスは、夜明け前の空をそのまま布に閉じ込めたような青でした。
深い青から淡い青へ、幾重にも重なる布がゆるやかに色を変え、裾へ向かうほど、朝露を含んだ空気のように透き通っていて、歩くたび、薄絹の裾が水面のように揺れ、そのたびに細かな銀糸が星屑のような光をこぼしそうです。
胸元には控えめな刺繍が施されていました。蔓草と小さな花々が絡み合い、光を受けると、まるで夜空に浮かぶ星座のように淡く瞬きます。
袖は細く、肩から腕にかけて柔らかく流れ、手首でそっと絞られていて、腰から下は幾重もの布がふんわりと広がり、風を孕めば、青い波が静かに打ち寄せるようでした。
「すごい、すごいよ!妖精さん!」
「気に入ったかしら?着て下さるといいのだけれど。」
「着たい!着るよ!僕!」
「、、、。やっぱ変?」
ドレスを着たシンデレラはくるりと一周回りながら言いました。
そんな彼を前に、妖精は嬉しそうに微笑みました。
「綺麗よ。とっても。」
「そお?ちょっと照れるなぁ。」
「どう?僕、プリンセスみたい?」
そう言いながらドレスのスカートを持ち上げた瞬間、裾と床の隙間から使い込まれた靴が見えました。
「あらまあ、そんな靴では舞踏会には行けませんよ。ガラスの靴に変えましょう。」
「ええっ、この靴じゃだめなの?踊るんでしょ?履き慣れた靴のほうがいいじゃない。靴擦れするかもだし、、。」
「貴方、何を踊るつもり?舞踏会ではロックなんて踊らないわよ。ワルツよ、ワルツ。ワルツ一択。」
「でもぉ、、、」
「貴方はシンデレラなんだから。ガラスの靴一択よ。つべこべ言わず履きなさい。」
「すごっ、強引。」
もう一度妖精が杖を振ると、履き慣れたボロ靴はガラスに変わり、綺麗なブロンドの髪は結い上げられていました。
「さあ、舞踏会が始まっちゃう。早く馬車に乗って!」
「え、ああ、え?本当に?僕、大丈夫なの?」
少し焦り始めたシンデレラを馬車に押し込みながら妖精はこう言いました。
「さあ、乗った乗った。王子様を捕まえてきなさい!じゃないと物語が進まないもの!」
「物語ってさあ、、」
まだうだうだと言っているシンデレラを無視して妖精は続けました。
「必ず12時には帰ってくるのよ。魔法が解けてしまうから。ガラスの靴は片方お城に必ず置いてきなさい!いい?必ず12時よ!」
「待って!妖精さん!一人称は!?僕?私?」
そんなことを今気にするのか。
と思わず言いそうになってしまったのを抑え、妖精は質問に答えました。
「どっちでもいいわ!貴方らしく行きなさい!」
そのまま馬車は走り去りました。
妖精はその姿が見えなくなるまで馬車が行った方向を見つめていました。
「うまく行くといいけど。この世界線だと、王子様もかなりの曲者らしいしね、、、。」
続きます✨
コメント
1件
めありさん、第4話読ませていただきました! 「僕」シンデレラと妖精さんのやりとり、テンポがよくて楽しかったです。特にドレスの描写が美しくて、思わず息を呑みました。夜明け前の空のような青…本当に素敵ですね。一人称で悩むシンデレラにクスッとしつつ、「貴方らしく」という妖精さんの言葉が沁みました。王子様が曲者って…続きが気になります!