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さすが太刀川さんだ。まだ、基礎はしっかりしてないけれど、しっかり強い。これで弟子入りしてないってまじなの?? 4年後が怖い…… 良かった、5本マッチに設定しておいて。
1本目はすぐ斬られて終わった。反応できてたけど、最初から避けたらこの半年築いた私の弱い評判が地に落ちるから。
2本目は3回弧月で攻撃をいなして見せかけの反撃をするけれども、シールドで防がれ結局斬られる。
3本目は背後から攻撃されたけれど、何故か位置がわかってシールドを張る。太刀川さんは驚愕としているが、動きが止まることは無い。……何この人、ほんとに初心者?入って半年でできるような動きじゃないんだけど??
続けて仕掛けようとしてくる太刀川さんに体勢を低くして一気に間合いに入り込む。左手でシールドを張り、足を斬ろうとするけれど逆にシールドを展開されて斬ることは叶わなかった。そのまま、体勢を整えている隙に首を斬られて終わる。
4本目に入り、今度は私から奇襲を仕掛けてみた。彼の背後をとりそのまま突っ込むけれど、太刀川さんはわかっていて泳がせていたみたいで距離を詰めた瞬間こっちを向く。そのまま目の前まで近づいた私に弧月を振り上げ下ろすが、私は斜め横に地面を蹴り彼の横に素早く入り弧月を横に振る。だけど、弧月を下ろした状態の太刀川さんはそのまま私の方へ斜め上に振るい私より先に斬る。
ぼふんとブース内のベッドに落ちる。
……今のほんとに惜しい。でもいい線行けてると思いたい。…………あれ、なんで私はこんなに力を出してるんだろう?元々最後の一本だけとるって決めていたのに、3本目からいい動きをするようになってしまった。これじゃあ、私の弱さに疑惑を持つ人が出てしまうんじゃないか…?それならば__
「おーい、早く来いよ〜!」
「す、すみません!今行きます!!」
目を開けると転送されており、目の前には太刀川さんが。
「…なぁ」
「はい?」
「おまえはなんで本気を出さないんだ?」
「……私にも色々事情がありまして。」
「ふーん。…だったら俺は大軽が本気出せるようにしてるよ!」
「えっ?」
そう自信気に言う彼はこう放った。
「この最後の1本、お前が取れたらなんでも願いをひとつ聞いてやる。逆に取られたら俺の願いをひとつ聞いてもらう。これでどうだ?」
どうもこうも、この条件は私にとって嫌な提案だ。どうせ彼は私がわざと負けたとて、願いで俺と本気で戦えとかいうんだろうな……しかも何回勝負なのか分からないし。何回か戦って私の手のうちを晒すよりはこの1本を取った方がいいと思う。そうだよ、本気を出さなくてもいいんだ。この1本だけ取れればいい。それも偶々を装って。
「……分かりました。」
そう返事し、集中するように目を閉じる。
「殺り合いましょう。」
――
太刀川side
目を閉じた大軽は吹っ切れたのか纏っているオーラが変わった。俺はやっと、本気のあいつと戦えるのかと高揚した気持ちで興奮する。整ったのか目を開けたあいつの瞳は鮮明な赤色から透き通った黄色に変わっていた。それから彼女は微笑みながらこう告げるのだ___
「殺り合いましょう。」
……と。
両者、弧月を構える。……先に動いたのは大軽だった。弧月を下ろして3本目のように体勢を低くして間合いに入り込んでくる。そのまま斜め上へ振り上げるので弧月で受け、弾く。が、体勢が崩れていようともまた弧月を振るうのでこちらも受けながら隙があれば反撃する。それでも、余裕そうにそれでいてどこか楽しそうにしている。楽しいのは俺も同じだけど。
「まだ余裕がありそうだなぁ!」
「そんなわけないじゃないですか!」
「…俺を舐めすぎると痛い目見るぞ?」
俺はそう放ち、弧月の振るうスピードを上げた。
目の前のこいつは目を見開き、驚いているようだったがすぐに対応してきた。
「っはは!」
笑った途端さらにスピードをあげた彼女が振るう弧月は俺の左腕を掠りトリオンが漏れ出る。
「先に傷を負ったのは俺だったか〜」
どちらが先に負うかなんて確証はないけれど、俺の方が相手を先に傷つけられると思っていたのに、これは予想外だった。
興奮しすぎて、俺の口角がどんどん上がっていくのを感じる。
「楽しそうですね!」
「おまえもな!」
そんな掛け合いをしながらも両者腕は止まらない。
このままじゃ先に落ちるのは俺だ。あれから相手の横腹を掠ることに成功したが先に傷を負ったのが痛い。ここは早く畳みかけようと思い、距離を詰め斬りつける。軽々と俺の弧月をいなす大軽。……お前さては剣道でも習ってたな?
それでも隙をつき相手の手から弧月を飛ばすと、驚いて固まっているところを切り付ける。……はずだった。
「…隙だと思いました?」
__残念、ハズレです。
そう発する言葉に目を見開く。
「__アステロイド」
しまったと思った同時に大軽は器用に俺の手首とトリオン供給器官を撃ち抜く。
そのまま落ちていく弧月を素早く避けたあいつを見えなくなる視界でとらえた。
最後に見たのは、楽しそうに笑った顔だった。
――
大軽side
ベッドに落ち、ふーっと息を吐いて力を抜く。
良かった、ここへ来る前にトリガーセットにアステロイドを入れて置いて。アステロイド初めて使ったけど、案外やりやすくておどろいたなぁ。
疲れたから帰ろうと思ってブースを出ると外で太刀川さんが立っていた。
「お、おまえ!アステロイド使えたのかよ!!」
「えっ、いえ、さっき初めて使いました。」
まじかよ!?なんて興奮したように話す彼。
「大軽、お前強いな!でも、次は負けねぇぜ?」
「あっはい」
そりゃあ、もう力を出すことは無いですから。
「あっ!そういえば、願い決まってるか?」
「えっと、それじゃあ、今回の5本勝負のことは聞かれても誰にも言わないでください。それと、私が強いことも含めてですよ!」
「お、そんなことでいいのか?」
「私にとっては重要なことなので。」
はぁ、まだアステロイド使う予定はなかったのに。ランク戦ってログ残っちゃうから私がアステロイド使うのがバレちゃうんだよね……
「それじゃあ、私はここで失礼します」
「おう!またやろうぜ!」
「お断りします!」
私はそう放ち逃げるように立ち去る。
やっぱり太刀川さんと関わるといいことがないっ!
――――
太刀川さんとやり合った翌日、周りの会話に聞く耳を立てるけれど昨日の試合のことは聞かない。良かったと肩をなでおろし日課のモールモッド50匹を倒しに行く。前まで20分くらいかかっていたのが最近は10分そこらで倒し切れるようになった。自分の成長が感じられてとても嬉しく思う。
今日は弧月でやったあとにアステロイドも上手くなりたいから練習することにする。
「はぁ、っはぁ…」
やっぱり射手は攻撃特化じゃなくて、どちらかと言えばサポートよりのポジションだから多数に詰められたらきつい。
あ、そういえば合成弾打ってみたいかも。
思い立ったが吉日、早速やって見ることにする。
両手にアステロイドを出して、混ぜてみる。
あれ、これめちゃくちゃ難しい…
試行錯誤しながら練り込んでいくとようやく出来た。やっぱり、合成弾は時間がかかるな…体感1分くらいかかってしまった。せっかくだから撃ってみることにする。
「徹甲弾」
ボボボっと真っ直ぐ飛んでいく。
試しにバムスターを一体出して威力を確かめてみる。さっきのようにアステロイド同士を練り込むのに集中しているとバムスターが私を喰おうとしてきたので、サッと地面を横に蹴って避ける。それを3回くらい繰り返した後にようやく出来上がった合成弾を放つ。
「徹甲弾」
狙った通りに口の中の弱点を貫き、バムスターを倒した。……ふむ、さすが合成弾だ。普通にアステロイドを撃つより威力が高くなっているのがわかる。ただネックなのが原作でも言われていたけど、合成に時間がかかることだなぁ…それも、敵に意識を割いていたらより時間を食うから使える場面は限られそう。
それから、何十回かやった後には何となくコツを掴んで、30秒ちょっとで合成できるようになった。今日はここら辺で切り上げようと、ふぅと息を吐いて体の力を抜く。訓練ブースを出て長い廊下を進みながら、自販機のある所へ向かう。ちょうど角に差し掛かったとこで曲がった先に気配がして立ち止まる。
「ぅおっ!」
「っ!!……ゆっ、…じんさん。」
「………美彩」
角から出てきたのは迅さんだった。
悠さんと呼びかけたところをぐっと抑えて、言い直す。姉の葬式以降顔を合わせていなくて気まずさを感じる。
「……ごめ「すみません迅さん。あの時のことはお互い水に流しましょう」
だって、お互いに気まずいままよりもここで水に流して、前みたいに仲良くしたいしその方がいいに決まってる。
「…わかった」
「ありがとうございます。……それで、迅さんはどうしてここに?」
「あー、ちょっとランク戦をやりに。そっちは?」
「…当ててみてください。迅さんなら、できるでしょう?」
驚いた顔でこちらを見る彼。ちょっとしたノリで聞いてみたけれど、迅さんのSEなら簡単に当てれるはず。
「…………美彩の未来がノイズがかかったようになってて見えない。」
__最後に会った時は見えてたのに。
…そうこぼす目の前の彼は、眉間に皺を寄せて酷く悔しそうにしている。
「……愛彩もそうだった。出会った時から未来がノイズがかっていて見えなかった… ………おれが見えてたら、愛彩は___」
「――――――――――。」
「……っは?」
「……あれ、私、いまなんて……?」
自分で発した言葉なのに、ノイズがかかったように何も聞こえなかった。何か話したのもちゃんとわかったけれど、あの時、自分の意志を持って口を開いていない。
___まるで、誰かに操られていたかのように。
「わた、しは……」
「おまえは…美彩だよな…?」
「う、うん。どうしたんですか?」
「一瞬__……いや、やめとこう。ごめんね、俺どうかしてたみたい」
「い、いえ… こちらこそすみません…!」
「大丈夫!それより、顔色悪いよ?今日はゆっくりしときなよ」
「本当ですか?すみません、今日は帰ってゆっくりすることにします。」
「うん、その方がいいよ。それじゃ、またね」
「はい!ありがとうございます、失礼します!」
頭をペコッと下げて走ってその場を去り、ボーダー内の自室へ戻る。
ガチャっと鍵を閉めて洗面器に着いている鏡を見にいく。迅さんの言う通り私の顔は少し青白くなっていた。
……それにしても、さっきのはなんだったんだろう。
「……あの時、だれかに操られていた…?」
その瞬間空間が揺れて、体が地面に吸い込まれて言った。
――
ぱちりと目を開くと、目の前には黄色い瞳に黒い星の瞳孔、白い髪にインナーカラーで黄色を入れているロングウルフの人が。中性的な見た目をしていてパッと見性別が分からない。
「はじめまして美彩!ぼくはシャーデン・フロイデ!よろしくね?」
「えっと、はじめまして。大軽 美彩です。……その、ここは?」
「ここはぼくが創った空間だよ!」
周りを見渡してみると白い空間が広がるだけで何も無い。
「美彩をここに呼んだのはね、君の疑問を解決してあげようと思ってさ!」
「私の疑問?」
「そう、君の疑問である『何故、意図せずなにかを話してしまったか』をね。」
「っなんで知って…!」
あの時、周りには私と迅さん以外誰もいなかったのに、何故この人が知っているの?
「何故ぼくが知っているのか、それは…」
___ぼくがこの世界の神だから。
「か、みさま?」
「うん!それであの時の事なんだけどね、あれはぼくが君を操って喋らせたんだよ。」
「なんで…?」
「ぼくの存在を君に知ってもらうためかな?元々、君は僕の精神を入れるための器として創ったんだ。…だけど、邪魔なものが途中で入り込んじゃってさぁ、辞めざるを得なくなったんだよね……まぁ、普通は人を操ったり出来ないんだけど、君を操れたのは君がぼくの器だったからだね!」
「そ、んな……」
「あはは!ショックだった?まぁ仕方ないよねぇ〜 ……あ!忘れてた!これだけ伝えないとなんだけど……」
そう嘲笑うような顔をしながら私を見ていたが、いきなり思い出したかのような顔をして大きな声を出した。その声にびっくりして少し体が揺れてしまったが仕方ないだろう。
「君ね、SE持ってるんだけどね、あっ、『トリオン感知』って言ってトリオンであれば視界に入れてなくてもどこに位置するか正確にわかるって言うやつ!それでね、君の姉のSEも受け継いでるっぽいんだよねぇ。」
ちなみに『強化戦闘能力』って言ってね、常人より技の身につく速度が早くて、1度見た技ならほぼものにできるっていうやつだよ!よかったね!
……という説明をテンション高げに話してくれる。
SEって言えば、高いトリオン能力を持っている人が稀に有する能力のことだよね?それを私が持ってるの?そういえば私、トリオン量31だったな。
「ま、そういうことだから!またなんかあったらこっち呼ぶかもね!それじゃ!」
神様がそういった後、また空間が揺れて視界が真っ暗になる。
___せいぜいぼくを楽しませてよね?