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海の紅月くらげさん
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息が上がる。喉がカラカラに乾いて痛みを感じる。
もう十分くらいは捜しているけれど、実里くんの行きそうな場所がわからない。
一年生の全教室にも、屋上にも、保健室にも、裏庭にもいない。
他に行きそうな場所ってどこだろう。まさか……泉くんに殴り込み……なんてことしていないよね?
そんなことを考えていると背後から声をかけられた。
「水沢さん、そんなに慌ててどうしたの?」
物腰の柔らかい話し方。顔を上げると目の前には泉くんが立っていた。
戸惑いを隠しきれず、僅かに身を引いた。泉くんは目を細め、薄い唇を僅かに動かす。
「捜しものかな」
その瞬間————もしかしてとあることが思い浮かぶ。
「実里くんに潤の願いを伝えたの?」
「偽善者ぶっている潤にうんざりしたからだよ」
泉くんは普段と変わらない口調で爽やかにさらりと言った。
「相手のためだなんて言って、本当は自分の償いをしたいだけでしょ。ただの自己満足だよ」
「けど……潤は本当に実里くんのこと考えてるよ!」
たとえ、それが他の人にとって自己満足だと感じても、潤は実里くんの未来のことを考えている。
「実里にとっては、喜ばしいことでもなくてもいいの?」