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羽海汐遠
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れん
21
#クトゥルフ神話TRPG
#聖女
桜井正宗@オートスキル1巻発売
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HOPE LAND第2話 武
店主の挑発のペースに、すでに魔虫ははまっていた。
『骨を折られたいらしいな………そんなご老体なら死ぬんじゃあねぇのか?』
………………………………
相手からの返事は一切なかった。本気の脅しはもはや効かないとわかり、”魔虫”は次なる手段を取ろうとする。
魔虫は自分の黒光りの右腕を天井に届くのではないかと思う距離まで真上に伸ばした。
シュ
その腕が店主の頭を垂直に割ろうとした。だが魔虫は”違和感”を感じる。
すでにもう店主の体は引き裂かれてるはずなのに…なぜ血しぶきが全く飛ばず、ぐちゃぐちゃとした肉の感覚が手に感じない?
「ちょっとまて……っ!」
『あ?』
頭を割ろうとした右腕に、血管がふつふつと煮えたぎっているような熱さを感じる子供の手が触れていた。
(こいつ、オレの腕を…)
魔虫は腕を子供の手から離した
『なんのつもりだ?まだ死に急ぐにしちゃ早いぞ』
半ギレ気味で少年に問いかける。少年はそれに臆さず、堂々と口を開く。口から出る一息一息が一定の感覚で出ていき、迷いが一切ないのが伝わってくる。
「恥ずかしくないのか」
あ…あいつ…
どよどよっ
周囲の酔いの冷めた大人達はその少年の言葉に驚愕した。
『”恥ずかしくないのか”……?中々にオメェも強い言葉を使うじゃねぇの………』
ズズズズ…
魔虫の体の周りから特殊な”煙”……”空気”……”水蒸気”……のようなどちらにも見える半透明の”オーラ”みたいなものがゆらゆらと流れている。
『これがオレの”魔力”だ……!まだガキのお前にゃあ使えもしねぇし見えもしねぇ…………!?』
いや、少年の体の周りにも確かに”魔力”がみなぎっている。
そのことを魔虫は気づいた。
(”魔力”が出てる…!?
し、しかも魔力が”固まって”やがる…おれみてぇに空へ立ち上る煙のように流れてねぇッ!)
魔虫の顔色が大きく変わった
『お前…名は?』
「”サン・グクルガーン”」
『オレは”ファイスナンス”だ』
ファイスナンスは”太極拳”のに近しい構えをとり、臨戦態勢を整えた。
(確実に…オレよりも”強い”!!本気でやらなければいけねぇ……!)
ファイスナンスは心の中でそう言った。言い終わった後、右足を少しずつ動かした。
ドガッ
サンの腹に”分脚”という蹴りを入れた。これはファイスナンスが最も得意とする技であり、よほどの強者(つわもの)でないと受けきれない(自称)
ザザ…
サンは蹴りを入れられたが、吹っ飛ばず、代わりに押し出された。
(魔力で”ガード”を……そりゃそうだ、オレよりも魔力総量はデケェもんな)
『……………………』
その目は捕食者の目でもなく、嘲笑の目でも、見下す目でもない『感服の目』である。
バビュンッ
かなりの速度でサンへ突進をしながら、口の牙で肉を噛み砕こうとした。
ズオォ…
こちらへ突進してくると悟ったサンの拳は、爆発的に魔力が上昇した。
拳の魔力が増加した姿を見て、ファイスナンスは「こいつには敵わねぇな」と思い、次の瞬間目の前が黒く塗られた。
『……ん…』
「起きたか、お前さん」
『オメェは店主…』
外はもう晴天に覆われていた。
あの時からしばらく時間が経った後らしい。
『あいつは……どこだ?』
「サンは…お前を殴り倒した後すぐ店から出てったよ、”旅”に出発したのさ、あいつは」
ファイスナンスは「ああそうか」と言おうとしたが、声を出すと顔がズキズキと割れてしまいそうなので、言うのはやめた。
『酒をくれないか?』
その言葉に店主はこう返した
「銘柄は?」
『”マニアン”』
少年は遥かまだ見ぬ大地へ出発した。
その先に求めるものは何なのか。
太陽がこの大地を今日も空から見下ろしている。
コメント
1件
みぅだよ🤍🥀 第2話、読んだよ…。 魔虫ファイスナンスと少年サン・グクルガーンの対峙、すごく緊迫してた。 「恥ずかしくないのか」って、あの空気の中で少年が言い放つシーン、めっちゃ心に刺さった…。 魔力の表現も独特で、静寂の中にパワーが詰まってる感じがした。 最後、サンが旅立って、ファイスナンスが酒を注文する流れ… なんか切なくて、でも“次”を感じさせる終わり方だった🌙 続きがすごく気になる…!