テラーノベル
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AttentionとSettingは第1話をご覧ください。
start.
🍌side
そう、あれはあの年の夏。
確か———
俺がまだ小学生で、
まだ、
こんな気持ちになる前の話。
あの日の放課後。
教室には、淡い橙色の光が差し込んでいた。
🐷「やべ、ノート出してねえ」
🍌「まだ出してないの!?」
🐷「…いや違うんだ」
🍌「…?」
🐷「ノートに何も書いてないだけ」
🍌「何も違わないじゃんw」
深刻そうな顔をして、menがこっちを見る。
🍌「え、、なに?」
心を決めたように、口を開く。
🐷「————ノート見せて」
🍌「え………やだ」
🐷「えっ!?ちょ、お願いだって」
本当に焦ってるのが、また面白い。
🍌「いや別にいいよw」
🐷「なんなんだよ」
🍌「あれれ〜?いいのかなぁ?」
🐷「クッ…ノート見せてくださいお願いします」
🍌「はいはいw」
🐷「神〜」
当たり前みたいに、隣に座ってくる。
それが普通だった。
特別でもなんでもない。
🐷「さんきゅ」
ノートを受け取って、
早速写し始めるのかと思いきや、
そのまま机に突っ伏した。
🍌「え写すんじゃないの?」
🐷「ちょい休憩」
🍌「いや早くやれよ」
🐷「おんりーママごめんなさい」
🍌「は?w」
menのくはっと笑う声。
それを聞いて、
なんとなく、こっちも笑う。
……なんだろう。
こういう時間、
落ち着くなぁ。
なんなら、好きだ。
しばらくして、menが顔を上げた。
🐷「なあ」
🍌「ん?」
🐷「今日さ、一緒に帰るだろ?」
🍌「……いつも一緒じゃん」
🐷「まぁそうなんだけど」
少しだけ、
言葉を探すように間が空いた。
🐷「お前といるの、楽しいんだよ」
🍌「……え」
一瞬、
言葉の意味を考える。
🐷「変に気使わなくていいし」
そう言って、
やっとノートを写し始める。
🍌「……」
心臓が、
少しだけ変な音を立てた。
なんだ今の。
意味分かんない。
……いや、分かるけど。
🍌「……それ、褒めてんの?」
🐷「褒めてるだろ普通に」
🍌「雑すぎるだろw」
🐷「細かいなぁ」
また笑う。
さっきと同じ声。
でも、
さっきと同じはずなのに——
少しだけ、
違って聞こえた。
🍌「……」
答えが欲しくて、ふと窓の外を見る。
グラウンドで遊んでるやつらの声。
夕焼け。
いつもの景色。
……なのに。
なんか、変だ。
胸の奥が、
少しだけ、落ち着かない。
🐷「ほら、終わった」
🍌「!?はっや」
🐷「だろ?」
立ち上がって、
こっちを見る。
🐷「帰ろうぜ」
🍌「……うん」
立ち上がる。
隣を歩く。
下駄箱で靴を履き替えて、
校門を出る。
🐷「あ、そうだ」
🍌「なに」
🐷「これからも一緒に帰ろうな」
🍌「……は?」
🐷「約束な」
そう言って、
先に歩き出す。
🍌「……」
その背中を見る。
……なんなんだよ、それ。
当たり前みたいに言うな。
……いや、当たり前であって欲しい。
🍌「……」
少しだけ、早歩きになる。
隣に並ぶ。
いつも通りの距離。
なのに——
🍌「……」
さっきのmenが、
頭から離れない。
(🐷「お前といるの、楽しいんだよ」)
ちょっと真面目そうに、こっちを見つめる目。
どこか緊張して硬くなっている手。
🍌「……っ」
顔が、少しだけ熱い。
思わず、立ち止まる。
少し先を歩く、menの背中を見つめる。
🐷「あ?……置いてくぞ〜」
🍌「あ、ちょ、待って」
慌てて、前を歩くmenの背中を追いかける。
いつもと同じ帰り道。
見慣れたはずの景色。
……なのに。
さっきの言葉が、
何回も頭の中で繰り返される。
(🐷「お前といるの、楽しいんだよ」)
🍌「……はぁ」
なんでこんな、
変な気分になってんだよ。
別に、 特別なこと言われたわけじゃない。
……いつも通りだ。
🐷「なにため息ついてんだよ」
menにつっこまれ、思わず強く返す。
🍌「ついてない」
🐷「ついてたって」
🍌「ついてないっ!」
menが、じっとこっちを見る。
🍌「……なに」
🐷「いや、なんか顔赤くね?」
🍌「は!?赤くねえし!!」
思わず声が大きくなった。
🐷「いや赤いって絶対」
🍌「ゆ、夕焼けのせい!!」
🐷「あら〜便利な夕焼け様ですこと」
🍌「…お嬢やめろw」
🐷「何をおっしゃいますの?w」
くはっと笑う声。
思わず吹き出す。
……まただ。
なんで、 そんな顔するんだよ。
なんで、 あんなこと言ったんだよ。
何度も脳内に流れるあの言葉が流れる。
🐷「おんりー?」
🍌「え?……な、なに」
🐷「いや、ぼーっとしてるからさ」
心配そうな顔。
……ああ、もう。
🍌「……なんでもない」
🐷「ほんとか?」
🍌「ほんと」
目を逸らす。
これ以上見てたら、
なんか、ダメな気がした。
🐷「……そっか」
少しだけ、 残念そうな声。
……なんでだよ。
なんで、 そんな声出すんだよ。
気になるだろ。
🐷「なあ」
🍌「ん」
🐷「さっきのさ」
🍌「……え」
一瞬で、心臓が跳ねる。
🐷「……やっぱなんでもねえわ」
🍌「いや、言えよベシッ」
思わず食い気味に返す。
🐷「いやいいって」
🍌「よくないよ!」
足が止まる。
🐷「……」
🍌「……」
少しだけ、沈黙。
風の音だけが通り過ぎる。
🍌「……気になるんだけど」
小さく呟く。
すると、
menが困ったみたいに笑って、
言った。
🐷「お前さ」
🍌「なに」
🐷「そういうとこ、ずるいよな」
🍌「…は?」
意味が分からない。
🍌「なにがだよ」
🐷「まあねぇ……」
🍌「いや気になるだろ」
少し間をおいて、観念したように口を開いた。
🐷「そういう無自覚なとこ」
🍌「…は?」
🐷「いやぁガチトーン怖い〜!!」
🍌「いや、ちょ、何?無自覚って!!」
少しだけ、 目が合う。
すぐに逸らされた。
🐷「ほら!帰ろうぜ!」
🍌「おい待てっ」
走り出す背中。
……ずるいのは、 どっちさ。
言葉濁してやめるとか、
余計気になるに決まってんじゃん。
🍌「足速ぇ…!!」
どれだけ走っても追いつかず、
息が荒くなる。
さっきからずっと、
胸の奥が落ち着かない。
いつもの背中。
いつもの帰り道。
———同じなのに、
違う。
何が、って聞かれても分からないけど。
確実に、どこかが違う。
🍌「はぁっ…はぁ、、、」
🐷「あ、ごめん」
今さら気づいたのかこいつは!!
🍌「足の速さバケモノだな…w」
🐷「ありがと」
自慢げな顔をして、menは、
🐷「なあ、今日さ」
🍌「……ん」
🐷「コンビニ寄ってかね?」
いつもと同じ誘いをした。
🍌「……あー、いいよ」
少しだけ、間が空いた。
🐷「なんだよその間」
🍌「いや別に」
🐷「絶対なんかあんだろ」
🍌「ないって」
自分でも分かるくらい、
恥ずかしいほどに、
ぎこちない。
🐷「……変なの」
🍌「うるせ」
そう言いながら、
隣に並ぶ。
肩が、少しだけ近い。
……近いな。
今まで、
こんなこと思ったことなかったのに。
🐷「あ」
🍌「なに」
🐷「これ新しいやつじゃね?」
コンビニの前で立ち止まる。
新作のアイスを指さして、
いつもみたいに目を輝かせてる。
🐷「うまそぉー✨」
🍌「ほんとだ」
🐷「買おうぜ」
🍌「金あんの?」
🐷「あるに決まってんだろ」
ドヤ顔。
……ほんと、
変わんないな。
🍌「じゃあ俺も何か買お」
🐷「はい決定〜」
店に入る。
冷房の風が、火照った顔に当たる。
……頬の赤みも、次第に引いた。
—————助かった、、。
🐷「どれにする?」
🍌「んー……」
適当に選ぼうとして、
ふと手が止まる。
🐷「?」
🍌「……いや、なんでもない」
なんでか分からないけど、
“同じのにしようかな”って一瞬思った。
……意味分かんない。
🐷「これうまそうじゃね?」
🍌「あー、いいんじゃね」
🐷「じゃあこれ」
結局、
同じ新作のを手に取る。
……なんでだよ。
🐷「お、奇遇〜」
🍌「うるせ」
レジに並ぶ。
ほんの少しだけ、
肩が触れた。
🍌「……っ」
心臓が、
また変な音を立てる。
🐷「?どうした」
🍌「なんでもない」
すぐに離れる。
……なんだよこれ。
さっきから、
同じ会話ばっかりしてないか?
会計を済ませ、
外に出る。
🐷「いただきまーす」
🍌「もう食べんの!?」
一口かじる。
🐷「うんまぁ✨」
美味しそうに、頬張っている。
同じように口に入れる。
🍌「……あ、うま」
顔を見合わせて、
少し笑う。
🐷「な、だろ?」
🍌「うん」
シャクシャクと、
口の中で溶けていく。
舌に残る爽やかな風味が、
夏の風に乗る。
そのまま、
近くの公園のベンチに座った。
沈む夕日。
オレンジ色の空。
珍しく、
少し静かになる。
なんでか分からないけど、
この沈黙が嫌じゃない。
むしろ——
落ち着く。
🐷「なあ」
🍌「ん」
🐷「さっきのさ」
またその話。
🍌「……うん」
今度は、
逃げなかった。
🐷「……」
でも、
menの方が黙る。
🍌「……言わないの?」
🐷「……」
少しだけ、視線が揺れる。
🐷「……今じゃねえな」
🍌「は?」
意味分かんない。
🐷「そのうち言うわ」
🍌「はぁ?」
なんだそれ。
🐷「約束な」
🍌「何勝手に約束してんだw」
🐷「わりぃw」
ほんとにもう、
🍌「……なんなんだよ今日」
🐷「別に?」
🍌「絶対なんかあんだろ」
🐷「ねえよw」
笑う。
いつもと同じ顔。
……なのに。
やっぱり、
どこか違う気がする。
🐷「じゃ、今度こそ帰るぞ」
🍌「……ん」
立ち上がる。
そのまま、
分かれ道まで歩く。
🐷「じゃあな」
🍌「……おん」
いつも通り。
いつも通りのはずなのに。
🐷「また明日」
🍌「……うん」
背を向けて、
歩き出す。
数歩進んで、
ふと足が止まる。
……なんでだよ。
なんで、
(🐷「……また明日」)
それだけで、
こんなに引っかかるんだよ。
振り返る。
もう、
menの姿は小さくなっていた。
胸の奥が、
じんわりと熱い。
これが何なのか、
まだ分からない。
分からないけど——
きっと、
さっきまでの“いつも”には、
戻れない気がした。
でも————
今なら、分かる。
倒れ込んだベッドで、
小さく、息を吐く。
体育大会の疲れが、
体をベッドに深く沈めていた。
あの頃の俺は、
きっと気づいてなかった。
あの、落ち着かない感じも。
あの、何度も思い出してしまう理由も。
全部——
🍌「……」
ゆっくりと、目を閉じる。
そして、苦笑する。
浮かぶのは、あいつの顔。
笑った顔も、
困った顔も。
あの時の、真面目そうな顔も。
恋、しちゃったんだよな。
あいつに。
———あの時からずっと。
————でも。
気付いてなかったのは、
俺だけで。
始まってたのも、
きっとあの時で。
それが今も終わってないなんて、
この時の俺は———
まだ知らなかった。
4949文字。不吉…w
ちょっと短めで申し訳ない。
Next→♡300
コメント
2件

もう色々尊すぎて爆発しそう 見るの楽しみにしてます!!
物語作るの上手すぎます!天才ですか?おんめんが尊くて見るの毎回楽しみです
アピカQ⭐️❄️🎨_qdm
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