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みぃ(新垢)
➰🎀
百鳥壊綺
AttentionとSettingは第1話をご覧ください。
start.
🍌side
体育大会の疲れが、
体に残っている。
なぜ今日も学校なんだ……!?
その疑問だけが、
宙を舞っている。
普通は翌日とかね?
休みなのよ?
ね?
しかし、あるものはある。
愚痴っても仕方がない。
そんな憂鬱な気分で、
いつもの場所に立って、
スマホの画面を見つめていた。
🍌「遅いな……」
小さく呟く。
待ち合わせの時間は、
もうとっくに過ぎている。
『「寝坊かー?」』
そうLINEするものの、
既読はつかないままのトーク画面。
なんとなく、落ち着かない。
🍌「寝坊かよ……」
そう言ってみるけど、
胸の奥に、小さな違和感が残る。
少しだけ待って、
結局、一人で歩き出した。
体育大会の疲れで、
ぐっすり寝てるのかも。
またお昼頃になったら、
(🐷「寝坊したあー!!!w」)
とか言って。
駆け込んでくるだろう。
そんなことを思いながら、
足を進めた。
🐷side
体が、だるい。
目を覚ました瞬間、
それだけで全部わかった。
🐷「……最悪」
喉が痛い。
頭も重い。
昨日の疲れ、
そのまま来たか——
🐷「……風邪、かよ」
小さく呟く。
情けな、って思うのに、
体は全然笑えない。
🐷「……体温計……」
視線だけで探す。
棚の上。
遠い。
🐷「……はぁ」
重い体を無理やり起こす。
足に力が入らない。
一歩、踏み出して——
ふらつく。
🐷「……っ」
壁に手をつく。
なんとか進んで、
棚に手をかける。
🐷「……っはぁ……」
呼吸が浅い。
体温計を掴んで、
そのまま座り込んだ。
ピーッピーッ【39.6】
🐷「……まじかよ」
乾いた声が出る。
……普通にしんどいやつ。
🐷「あ、……連絡、」
スマホ、どこだ。
ポケットを探る。
ない。
🐷「……ベッド、か」
さっきまでいた場所を見る。
🐷「……遠、、」
思わず漏れる。
おんりーの顔が浮かぶ。
🐷「……もう来てるよなぁ、あいつ」
待ち合わせ。
いつもの時間。
🐷「……行きてぇッ、」
行けるわけないのに。
🐷「……連絡、しねえと……」
そう思うのに、
体が、動かない。
🐷「、……無理」
その場に背中を預ける。
少しだけ、目を閉じる。
🐷「……おんりー」
ほとんど無意識で、
名前がこぼれた。
——来るわけ、ないのに。
そのまま、
意識が落ちた。
🍌side
教室。
いつも通りのざわめきの中で、
一つだけ、足りない。
🍌「……」
空いている席。
やけに、気になる。
すると、
先生「おはよー」
担任が教室に入って来た。
バラバラと皆が席につく。
「今日は冥人、風邪で休みだ」
🍌「……は?」
思わず、声が漏れそうになる。
「えーーー!?」
「うそぉー!?!?」
女子たちが、残念そうな声をあげる。
その横で、
「冥人はどんだけ女子人気高ぇんだよ……」
「休んでても話題の中心だぞ?」
「羨ましいよなほんと」
そう悔しそうに呟く男たちがいた。
あ、はは…。
ほんとに、すごいなmenは。
先生「プリントを————、
あー、誰か持っていってくれないか?」
その一言で、体が動きかけた。
🍌「……じゃ——」
次の瞬間。
「あ、私行きます!」
🍌「……あ」
言葉が、途中で止まる。
先生「ああ、頼む」
それで終わり。
校外学習の時の、
あの女子だった。
🍌「……別に」
誰でもいいだろ。
……そう思いたいのに、
胸の奥が、ざわついてしまう。
menのいない1日は、
どこか静かだった。
休み時間の、
どーでもいい話。
昼休みに一緒に食べる弁当。
帰ろーぜと、
当たり前のような誘い。
何もかもが、
くすんでいるようだった。
放課後。
帰ろうとして、足が止まる。
プリントを持ったあの女子が、
他の女子に囲まれていた。
「いいなぁー」
「一緒に行きたい!」
「え、いいよ〜来る?」
「え、いいの!?」
「家に入って看病できちゃったりして〜?」
「きゃああああ!」
黄色い声を上げながら、
わらわらと教室を出て行った。
(🍌「……俺も、行きたい、のになぁ」)
口の中で、溢れた本音。
気づけば、
その女子たちの後ろ歩いていた。
住宅街を少し進んで、
女子たちが一軒の家の前で止まる。
「……ここ?」
「っぽいよ!?」
「居るかなぁ?」
少し離れて、
遠くからその様子を見る。
ピンポーン。
インターホンの音。
🐷「……はー”い」
少しかすれた声。
ドアが開いた。
そこには、
顔が赤い、menがいた。
🐷「あ”……?」
「大丈夫?プリント持ってきたよ!」
🐷「……あ”りがと、」
「ここ置いとくね」
🐷「助かるわ」
そのやり取りを、外で聞く。
🍌「……」
普通の会話。
いつも通りのやり取り。
なのに——
🍌「……なんでだよ」
胸の奥が、ざわつく。
分かってる。
心配してるだけ。
感謝してるだけ。
分かってる。
モヤモヤするのは、
俺の我儘。
分かってる…けどさ。
「なんか手伝って欲しいことない?」
「おかゆとか…?なんでも作るよ!」
「掃除とか大丈夫?」
口々に心配する声が聞こえてきた。
家に入りたい欲がすさまじい。
menが、困ったように笑った。
🐷「大丈夫…、あ、りがと」
「そっかぁ」
「じゃあ、早く元気になってね!」
🐷「おう、」
そう言って女子たちが出てきた。
「残念……、」
「拝みたかったなぁお家」
「信仰対象かよw」
「いやそうでしょ!?」
足音がだんだんと、
遠ざかっていく。
次第に、
あたりには静けさが戻った。
🐷side
気づいたら、
あたりはもうオレンジ色の光に染まっていた。
体温計を握ったまま、
床で眠ってしまったらしい。
🐷「あ…、スマホ」
朝よりも、少しだけ軽くなった体を起こして、
ベッドに向かう。
そこには、おんりーからのLINEが届いていた。
トーク画面を開く。
『寝坊かー?』8:12
『風邪なの?大丈夫?』9:03
『なんか欲しいものあったら持ってくよ』15:20
『家行ってもいい?』16:35
🐷「めっちゃ心配してくれてる……//」
正直、
少しだけ、にやけてしまった。
結局————
あいつの思いは聞けていないままだ。
バカみたいに期待してる、
俺がいる。
勘違いじゃ、
ないよな…?
この心配も、
昨日の、あの顔も。
……いや、人の心配を、
そんな風に捉えちゃダメだよな。うん。
ふと我にかえる。
返信しようとすると、
ピンポーン。
インターホンの音が鳴った。
🐷「……、おんりーか?」
淡い期待を膨らませて、扉を開ける。
そこに立っていたのは———
数人の女子だった。
女子たちがあからさまに、
家に入りたがっていた。
軽くかわして、
ドアを閉めた。
足音が、遠ざかっていく。
🐷「……はぁ」
ドアに背を預けて、息を吐く。
プリントを床に置く。
🐷「……『ありがと』ね」
ぽつりと呟く。
女子たちがプリントを持ってきてくれて、
助かったのは、本当だ。
でも——
🐷「……」
視線を落とす。
🐷「……おんりー、は来ないのか」
掠れた声。
そうだよな。
全然返信してなかったもんな。
帰るよなぁそりゃ。
おんりーに、「来て欲しかった」。
🐷「あー……はは」
乾いた笑いがこぼれる。
あいつじゃないだけで、
こんなに——
重症だな……俺は。
と、自分に嘲笑していると、
ピンポーン。
音が鳴った。
🐷「……はー”い」
反射で返事をする。
ドアを開ける。
🐷「……」
視界に入った瞬間——
一瞬、
息が止まった。
少しだけふてくされたような顔をした、
あいつが立ってた。
🐷「……おん、りぃ?」
🍌「……やっほ」
🐷「……え、なんで」
でも次の瞬間、
自然と、口元が緩んでいた。
🍌side
女子が帰った後、
我慢できずにインターホンに駆けつけた。
俺だって、
家入りたいなぁとか?
看病してあげたいなぁとか?
思ってるに、決まってる。
でも、
menは女子たちを帰してた。
俺も、そうなるかも。
少しの不安を抱きながら、
インターホンを押した。
ピンポーン。
鳴らすと数秒もせず、
ドアが開いた。
少し驚いたような顔をして、
🐷「……おん、りぃ?」
menが出てきた。
🍌「……やっほ」
🐷「……え、なんで」
でも、少しだけ、
嬉しそうな顔をしていた。
🍌「ちょっと中、入っていい?」
🐷「……いいけど」
え、、
や、やった…//
でもなんで————
まぁ…、
「幼馴染」だから、ね。
自問自答で、凹む。
🐷「来ないと思ってた」
🍌「え、なんで」
🐷「全然返信してなかったし」
🍌「そんなわけないじゃん!」
🐷「そ、そっか//」
そう言って、menは、
嬉しそうに微笑んだ。
————ッ//
心臓に悪い………。
🐷「あ……それ、どうしたんだ?」
menが、右手に提げたレジ袋を指して、
聞いてきた。
🍌「別に、色々買ってみただけ」
🐷「そんな大量に…?w」
🍌「う、うるさい!」
正直誰かの看病なんて、
したことがなかった。
何を買えばいいのか分からず、
とりあえず、色々買ってきたのだった。
ゼリー、
スポーツドリンク、
冷えピタ、
頭痛薬、
喉薬、
バナナ。
🐷「袋から溢れてんじゃんw」
🍌「いっぱいあった方がいいかなって…」
🐷「昔から買い物下手よな」
🍌「え!?そんなことないって!」
🐷「ありまくりだよ」
🍌「どこがさ!?」
🐷「それ」
そう言ってもう一度、
もので溢れかえった袋を指差す。
🍌「ぐっ……」
🐷「まぁー…さんきゅ//」
少し照れくさそうに笑うmen。
🍌「ぇあ、うん//!」
熱のせいだろうか。
顔が真っ赤だった。
って、!!
照れてる場合じゃなくて!!
menは病人なんだった……!
🍌「あー、なんか食べた?」
🐷「……いや、」
🍌「ゼリーとか、食べれそ?」
🐷「あー、もらう」
そう看病らしい会話をしていると、
menが突然、ふらついた。
🐷「………っと」
🍌「ちょ、大丈夫?」
思わず、menに近づき、
肩をかす。
🐷「あー、」
🍌「熱は?」
🐷「……ない」
🍌「嘘つけ!」
そう言って額に触れる。
🐷「……ッ!?//」
🍌「あっつ!?ダメだよ寝てないと」
🐷「いやでも…」
🍌「良いから!」
そう言ってmenを、
無理矢理ベッドまで連れていく。
🍌「ゼリー食べさしてあげる」
🐷「……え?」
🍌「はいあーん……」
🐷「!?」
🐷side
ちょ、ちょっと待て。
なんなんだこいつは?
無自覚にも程があるだろ…。
いやでも、
こんなこと一生ないかも。
恥ずかしさよりも、
欲が勝ってしまった。
🐷「あ、あー……//」
開けた口に、
おんりーがゼリーを流し込む。
みかんの爽やかな風味が、
口に広がった。
🐷「ん、うま」
🍌「でしょ?」
🐷「このゼリー、お前好きよな」
🍌「うん!」
🐷「ところでよ、」
🍌「……ん?」
思い切って聞いてみる。
🐷「あーんとか、恥ずかしくないわけ…?」
🍌「っへ……!?//」
え……………?
🐷「え、無意識…?」
🍌「いや、そ、その違う違う違うッ//」
🐷「何がだよw」
🍌「や、優しさ!そう、優しさ!」
🐷「ふーん?」
慌てて否定しているおんりーを目の前に、
思わずニヤける。
🍌「もー自分で食べて!!//」
🐷「えー…」
🍌「えー、じゃない!」
もー知らない!と、
そっぽを向いたおんりーだけど、
耳が真っ赤だった。
ゼリーを口に運びなら、
おんりーを見る。
🍌「な、何?」
🐷「早めに帰れよ」
🍌「え、……?」
🐷「うつるぞ?」
🍌「…別に、いい」
🐷「いや良くねぇだろ」
🍌「ま、まぁ良くはないけど」
そう言いながらも、
帰る気なんて全くなさそうで。
🐷「……はぁ」
小さく息を吐く。
🐷「わかった……」
🍌「……?」
🐷「寝る」
そう言って、ベッドに体を沈める。
🍌「え、ちょ、おい」
🐷「もうちょっと居てくれ」
目を閉じる。
🐷「気が済んだら帰れよー」
本当は、
帰ってほしくない。
でも、
うつしちまったらそれこそ困る。
帰れよ、と言うしかなかった。
🍌「ちゃんと布団かぶれよ」
🐷「……おう」
🍌「水ここ置いとく」
🐷「……ん」
🍌「なんかあったら呼んでよ?」
🐷「………ん、」
小さく笑う気配。
🐷「おんりーは心配性ねぇ」
🍌「なッ!」
そんなことない!
とでも言わんばかりの声。
そのやり取りが、
だんだん遠くなる。
意識が、沈んでいく。
🍌「ほんと無理すんなよ……」
最後に聞こえたのは、
そんな声だった。
🍌side
寝た、か……。
さっきまで普通に喋ってたのに、
あっさり寝るあたり、
ほんとにしんどかったんだろうな。
🍌「……バカ」
小さく呟く。
🍌「無理すんなっての」
静かに、
ベッドの横に座る。
規則的な呼吸音。
少しだけ赤い顔。
🍌「……」
視線を落とす。
🍌「……来ないと思ってた、とか」
思い出して、
少しだけ顔が熱くなる。
🍌「……来るに決まってんじゃん//」
好きな人が体調悪かったら、
不安でしょ。
ぽつりと呟く。
その時——
🐷「……おん、り」
🍌「……っ!?」
不意に、名前を呼ばれる。
🐷「———帰んな、いで……、、」
掠れた声。
🍌「め、men……?」
一瞬、息が止まる。
🐷「……」
もう、返事はない。
完全に寝ている。
🍌「……はっ、」
小さく笑う。
🍌「……ずるいなぁ、それ//」
少しだけ、間を置いて。
🍌「……帰れるわけないじゃん」
誰にも聞こえない声で、
そう返した。
そのまま、
しばらく隣に座っていた。
🍌「ほんと、ずるい」
そう、もう一度、
小さく呟いた。
計6113文字。
あんまり胸キューンシーンなかった……。
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コメント
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尊すぎる!そしてシチュエーション最高!続き楽しみに待ってます