目が覚めると、僕は吐瀉物を拭き取られたまま…つまり裸のまま冷たい金属製の床に寝ていた。
首輪につけられた鎖。昨日までは無かったはずのものだった。
オスマン)んぐっ…はぁっ、げぇ…っ
まだ僅かに残っていた胃の中の物を吐き出す。昨日散々殴られた鳩尾から腹にかけて青黒く染まっていた。
オスマン)うぅ…ぅええっ…
じくじくと痛む背中の傷を押さえると、手当しきれていなかった部分から膿と血が混ざったものがべっとりと手についた。
ピピッ
オスマン)ぁ…携帯、こんなところになんで…
汚い手で触ったら汚れちゃうかな…。
近くにあった水ボトルで手を洗って、二つ折りのそれを恐る恐る開いた。
オスマン)…ぇ…、後輩くん、なの?
ーーー
覚えてますか。俺は、あの時の一年生…ややこしいので、イタ王って覚えてほしいです。
先輩が3ヶ月も学校に来なかったから心配だったんです。俺、先輩の名前も知らないのに変だと思いますけどね…!
あれからずっと先輩の事ばっかり考えてて、いつのまにか好きになってしまった気がするんです。男同士だし、変かもしれないけど。
…もし、こんな俺でも先輩を幸せにできるならいつでもいいです。俺に返事をしてください。
本当は実際に会って伝えたかったんですけど、やっぱり先輩が恥ずかしいかもなって思っちゃいました。
また、会えますか?
from:io.Italy@gmail.com
ーーー
オスマン)…イタ王君…かあ…ふふ
そういえば、お互いあまり知らなかったんだって思って思わず笑ってしまった。
僕のメールアドレス、どうやって知ったのかな…。そんなささいなことは、少し恥ずかしいような嬉しさにかき消された。
ーーー
メールしてくれて、ありがとう。
僕は元気だよ。
自己紹介してなくて、ごめんなさい。
僕は、オスマン帝国っていいます。
それと、好きって言ってくれてありがとう。僕は、好きとか恋愛があまりわからないけど、教えてくれると嬉しいです。僕がんばります。
心配かけてごめんなさい。
また、メールくれると嬉しいです。
to:io.Italy@gmail.com
ーーー
オスマン)メール?って、こんなのでいいのかな?
ちょっと恥ずかしいけど、送信ボタンを押して一息ついた。
好きって気持ちは分からない。僕を好きって言う人は、みんな痛い事をするから。
イタ王君が僕を好きになったら…やっぱり殴るのかな。
…彼が、来た。約束破ったって言われるかもしれないし、イタ王君の存在がばれたら、何されるかわからない。
イタ王君との秘密を…守らなきゃ。