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現在のシーンはゲームにおいてアレンの好感度は平均より高いくらい。
友人として好き、くらいだろう。まだ恋愛感情は持ち合わせていない。
アレンは乙ファンの中では最も簡単に攻略できる。
アレイシアというアレンのトラウマに寄り添えば好印象をもらえるから。
フローラがアドリアンとオーラスを先に攻略したのは確実にハーレムルートに入るため。
乙女ゲームでも最も確実にハーレムルートをこなすための順番だ。
レイルの情報だとフローラは僕以外の攻略対象にはデートで好感度をあげるドリンク頻繁に飲ませていたとか。
ようは全て力技だ。
普通に攻略しては時間が足りないし、確実似にこなすために道具に頼ったってこと。
それなら知的なオーラスが攻略されたのも頷ける。
今の場面もシナリオ通りだ。もしもアレンの好感度が逆ハールートを遂行するにあたって足りていれば肯定する。
ダメなら断る。
断った場合、道具を使って好感度を底上げする。
……乙女ゲームなのに薬に頼るとかおかしいだろ。
前世のユーザーたちはあまり考えずに利用していた。
主人公も攻略対象も逆ハーレムルートが完成していた時にはすでに媚薬や麻薬の中毒者になったたってことかよ。
乙ファン……なんて物騒な世界なんだ。
「……どう、美味しいでしょ?これ飲むと心がポカポカ暖かくなるんだよね。私も嫌なこととかあったらいつも来てるんだ。……どう?体の調子とか?」
ドリンクを飲んだことを確認するとフローラは話しかけてきた。
飲んでみたが、味は鉄錆を舐めていたような……甘い血を舐めているような味だった。
これが美味しいとは言えなかったが、とにかくゆっくりと飲み込んだ。
次のセリフ、表現が麻薬そのものなんだよな。
おそらく乙女ゲームのセリフなのだろう。ゲーム上の台詞でも麻薬の可能性示唆しているんだな。
「……不思議と気分が高揚します。でも、これ好きですよ」
「そう!本当に美味しいよね!」
フローラは満面の笑みをする。
それがなにを意味するかはわからない。ハーレムルート確定になったからか、薬でテンションが上がっているだけか。
考えると怖いと思ってしまった。
フローラの反応を見る限り飲んですぐ反応する類のものと見た。
体に異常は見られない。
どうやら仕掛けは無事作用されたらしい。
ーーガチャン!
『……なんだよお前』
ふと小さい物音と男性の声が聞こえる。悲鳴は聞こえなかった。
どうやら、目的は達成したらしい。
セバスさんが決定的な証拠を手に入れたのか。
作戦は成功だろう。
後は逆ハーレムルートを確定させることで任務完了。
「あ…あの、フローラさん。先ほどの件ですが発言を撤回させていただくことは可能でしょうか?その……これからも僕も皆さんと一緒にいたくて」
これが逆ハーレムルート突入の台詞だから。
ーーガタ。
フローラは椅子から立ち上がり僕の手を両手で握る。
「もちろんだよ!これからも仲良くしようね!」
するとアドリアン、オーラスの二人が照れ隠しなのか、顔を背けながらも片手を乗せてくる。
「俺らがいること忘れるなよ。バカ」
「……フローラさんは罪な方ですね。……まったく」
「これからもみんなで仲良くしようね!」
これで逆ハーレム完了か。
一難さった。一安心だ。
それから少し会話をしてこの日は解散となった。
この日以降、カフェは突然の閉店となった。
薬を料理に混入させたこと、国内に違法薬物を密入していたこと。
主に薬に関することであった。
後日、フローラたちの他に薬を服用してしまった人がいないか調査をしたが、被害はなかったとのこと。
やはり、乙女ゲームを知っていなければ注文できないものだったらしい。
ただ、何故そんな危ないカフェが営まれていたかは謎が多かった。店員がグラディオン王国の者じゃなかったこと。どうやって違法薬物を密入したかなど。
細かいことはフローラの一件が済んだら調査することになっている。
だから、僕は乙女ゲームの強制力だったと考えるようにした。
フローラたちと別れた後僕はすぐにセバスさんたちと合流した。
セバスさんに薬を吸収したものを喉から取り出してもらい暗部秘伝の嘔吐薬を飲まされた。
胃がひっくり返ると思ったほどきつかった。笑いを堪えながら見ていたレイルたちには個人的に仕返しをしてやろうと心に誓った。
その後細かい報告をして解散となった。
今日は気を使い続けて疲労が溜まった。
このまま帰って寮内で寝た。
次の日、随分とご立腹のアレイシアからお誘いがあった。
二人で話したいことがあるとかなんとか。
嫌な予感がしたが断ることもできず、サロンを借りて話すことにした。
入室後、部屋にあったのは一人分の椅子と小さなテーブル。机上には何かの文章の書かれている用紙が置かれていた。
アレイシアは席に座っており、人差し指を地面に向け、目の前に座るように促された。
僕は豊満な胸を押し上げるような組んでいる両腕を見上げて正座する。
「アレイシア……この状況は」
「アリスさんからお聞きしたことですが、殿方のしつけ……いえ、異性絡みのお話をする時はこの体勢が効果的とのことです」
「……えぇ」
なにを吹き込んでんだよアリス。
アレイシアはテーブルの上にあった用紙を手に取ると両手で広げる。文字は見えない。
「……アレン様、今日は随分とお忙しいそうでしたね。アリスさんから色々と聞いております。あの女と今日あったこと……包み隠さずお教え願いますか?」
物言わせぬ高圧的な態度に見下す冷たい視線。その姿はまさに悪役令嬢。
だが、怒りの原因はなんとなくわかった。
……嫉妬しているのだろう。少し度が過ぎているところ。以前までなら僕にこんな態度はしない。
遠慮がなくなっていたり、僕が他の異性と一緒に過ごしたから嫉妬ゆえの行動なのだろう。
嬉しい反面、身震いもするもなぜか嬉しかった。
なんともいえない感情の中,僕はアレイシアに懇切丁寧に説明をしたのだった。