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「あっ、やだっ、偉央いおさんっ。これ……っ、ほどい、て……っ」


結葉ゆいはが手を動かそうすると、手首に巻かれたロープがギシッと乾いた音を立てて、この手は自由にはならないのだと現実を突きつけてくる。


結葉ゆいはが悪いんだよ? 僕の仕事中にこっそり出掛けたりするから」


言いながら、結葉ゆいはの膝を割るようにして、夫の偉央いおが、強引に腰を進めてくる。


ラテックス越しの夫のたかぶりを、まだちっとも準備の整っていない入り口に擦り付けられて、結葉ゆいははギュッと目をつぶった。


濡らされないままにそこへ挿入されることの苦痛を、結葉ゆいはは彼と結婚して三年で、嫌と言うほど思い知らされた。


「お願っ、偉央いおさ、……痛いのは……イヤぁっ!」


抱かないで欲しいと懇願しても無駄なことは知っている。

だから、それはもう諦めた。


だったらせめて、痛くないようにして欲しい。


「僕を裏切っておいて……優しくされたい? 結葉ゆいは。キミはどこまでバカな女なの?」


フッ、と鼻で笑うなり偉央いお結葉ゆいはの中に力任せに押し入ってきた。


膝を抱え上げられ、必死に抵抗しても、両腕を縛られてベッドにわえ付けられている結葉ゆいはには、身体に覆い被さってくる偉央いおの胸を押し返すことすら許されない。


「や、ぁっ、偉央いおさんっ、私……ホントに貴方を裏切ってな、んか……っ」


力任せ。強引にこじ開けられた隘路あいろが、自衛本能から懸命に蜜を吐き出す。

そのぬめりでさえも、偉央いおを怒らせる。


「無理矢理犯されてもすぐ濡れてくる、とかっ。……結葉ゆいはっ、お前、どんだけっ淫乱、なん、だよ!」


結葉ゆいはの下腹部へ乱暴に腰を打ち付ける偉央いおは、額に汗を滲ませて呼吸を乱しながら、身体の下に組み敷いた妻をさげすむ。


「僕がっ、どんなにキミのことを愛しているかっ、結葉ゆいはだって知ってる、だろ!? なのに何で僕の言いつけを守れないんだ!」


結葉ゆいはの中に収めていた肉棒を乱暴に引き抜くと、偉央いおはグルッと結葉ゆいはの身体をひっくり返した。


結葉ゆいはの、腰元で切りそろえられたサラサラの黒髪が、今は見る影もなくかき乱されている。


彼女の汗と涙で首筋や背中に張り付いた髪の毛が、何ともなまめかしい。


大きくて黒目がちの瞳からポロリと涙がこぼれ落ち、シーツを濡らしたのが背後から垣間見えたけれど、それすら偉央いおの加虐心に油を注いだだけだった。



「やん、もぉっ、やめてぇっ」


涙目で振り返り、結葉ゆいはがそう訴えてきたけれど、偉央いおはお構いなしでその細い腰を後ろから爪を立てるように乱暴に抱え上げると、無理矢理膝を立てさせてバックから一気に貫いた。


「いっ、――あぁ!」


途端結葉ゆいはの口から、痛みを逃すかのような悲鳴が上がって。


偉央いお結葉ゆいはを後ろから烈々に犯しながら、前に這わせた手のひらで力任せに彼女の乳房を鷲掴わしづかむ。

ギュッと力を込めて柔肉やわにくを握りつぶせば、縄で束ねた結葉ゆいはの手が、痛みに耐えるみたいに指先が白くなるくらい力を込めて拳を握ったのが分かった。


(――もっと苦しめばいい)


そんな激情にかられながら、偉央いお結葉ゆいはの髪の毛を一房ひとふさ無造作に掴んで引っ張る。

そのまま握った髪を手綱たづなを引くみたいに引き寄せて結葉ゆいはの喉を逸らさせると、怒りに任せた言葉を紡ぐ。


「僕を悲しませたらっ、こう言う目に遭うって、結葉ゆいははいつになったら……覚え、るの?」


さっ、誤解……なのっ。も、許してぇっ……!」


結葉ゆいは嗚咽おえつ混じりの懇願を、しかし偉央いおは聞いてやる気なんてないのだ。


「口で言っても……結葉ゆいはは分からない、みたいだから、ね。しっかり身体にっ、刻み込んでやるよ! 僕を裏切ったら……どうなるかっ」

結婚相手を間違えました

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