今回はカンヒュですがいつもとは世界線と設定が違います
枢軸側が勝った世界線です
またキャラの人格,性格もいつもと違います
それでは,どうぞ
The man in the high castle AU
1945年,9月2日
連合国,枢軸国双方の戦闘がすべて終了し…
これは,連合国無き後の諸国の苦難と後悔,そして慈悲の物語である
「…ハァー」
冷徹な顔をして合衆国,いや第三帝国領となった新大陸は考える
煙草を燻らせてもどうしようと現実は変わらないのだから
運がいいのか悪いのか,彼の養子だった一部の州たちは
大日本帝国の方に身を寄せる羽目になってしまった
もう遅いのだから,彼はこの世界の覇者の一人,第三帝国のモノになってしまったのだから
「酒,煙草,食べ物の食い過ぎとは不摂生だな, アメリケン」
「!宗主国さま,大変申し訳ありません」
「やけにでもなってるのか?元・合衆国よぉ」
「そういうわけではありませんが
そう見えたのでしたら反抗的だと捉えていたということで間違いないのでしょう
ご無礼をお許しください」
「別にいい,顔を上げろ」
「はい」
「お前は比較的自由にさせてやってるからな
まあまさか不満など…無いだろうね?」
「ええ,もちろんのことです
お陰で優等以外は間引く政策が取れております
このご恩,感謝してもしきれません」
「よろしい,それでいいんだ 」
彼は運良く支配と言っても間接的なモノだった
良い…とは言い難いが東欧の地獄と比べたらマシだろう
「やめて,離して⁉︎」
檻の中から六芒星の光がかすかに灯る
消えかかったその火さえどうやら消される定めのようだ
「…すまない」
「っ…」
「バンッ」
銃声が響き渡る
ここでは,劣等は殺される運命なのだ
「…」
「っ…ごめんな」
かつての大親友も,みんな,みんな消した
そうするしかなかった
ここには純粋な白色しか見えない死んだ世界がある
きっとこの世界の創造神にはそれが神聖で,神々しいモノに見えるのだろう
ここは,かつて虹がかかった美しき大地だったのに
「ああ,何で涙が出てるんでしょうか?
宗主国さまにそばにおいて貰えて,
期待されているほど幸せなことはないというのに…」
その頃,死神の宿る城では…
「エスター,今日はごめんね,忙しくてかまってられなくて」
「そうですか…貴方,最近無理してませんか?」
「何のことだい?ボクは元気だよ
君を…またこうやって幸せにできて,ボクも幸せなんだよ」
「…ありがとうございます」
「さてと…
宴の準備をしろ,傀儡どもが」
「「「はっ!」」」
「フッ… 」
「急げ!早く料理を作らんか!」
「はい!」
「遅いぞフランク!早くしろ!」
「っ…」
「それでもかつての美食の国なのか?
腕が落ちたな,あ,私が落としてたか!右腕は」
「はいっ…」
利き手が義手に置き換わった彼は必死に慣れない手つきで丹精込めたフルコースを作っていた
芸術,特に水彩に秀でていたばっかりに死神から恨まれ,切り落とされたのだった
「できました…」
「急いで盛り付けてワゴンに乗せろ!
そして客の元にすぐに行き,料理の説明をして感想を聞け!
そんなこともわからないのか⁉︎」
「はい…」
片腕しかまともに使えない状況でどうやってこんな重い皿と料理を運べというのだろう
「宗主国様,それはわたくしが
フランス,休んでなさい」
「運ぶのは百歩譲ってバーテンダーのお前がやるとして,
料理の紹介と感想を尋ねる仕事は彼がやるべきだろう!」
「っ…分かりました
こちらは私が運んでおきます」
「っ…」
「ごめんなさい,フランス」
「無駄口を叩くな!腕を動かせ!」
「申し訳ありません,宗主国様」
「お前は最近逆らいすぎだ,イングランド
…後で覚悟しておけ」
「…」
「返事はないのか?」
「っ…ええ,分かりました」
「お前も散々だな」
「今回で仕置きは三回目,
そろそろベルギーのように公開で宴の余興にでもされるでしょうね」
「よく平気な顔してられんなそれで… 」
「彼に屈したら終わりでしょう,スコット」
「まあそうではあるな」
「イングランドさん,大丈夫なんですか…
こないだも鞭打ち30回の刑に処されてたじゃないですか…」
「ウェールズ,恐怖に屈するのは簡単です
でも,恐怖に支配され正義を失ったら終わりなんです
そもそも,わたくしがどうしようがこうなるのはわかってましたし」
「やっぱり,粘ったからですか?」
「ええそうでしょう」
「お、そろそろバーテンダーたちの時間じゃないか?」
「ええ,行きましょ_」
「おい」
「…何でしょうか,宗主国様」
「どうやら小言を漏らしていたようだな全員」
「…」
「アイルランドからバッチリ聞かせてもらった
さて,スコットランドとウェールズは20回
イングランド,お前は宴で踊れ
咽び泣きながらな」
「…二人の分も代替わりで」
「…ほぅ…こりゃ面白い
ならお前は元々40回の予定だったが…どうやら90回に増量のようだな」
「そうですか」
「おいイングランド⁉︎」
「ダメです!」
「The hope is still there, do not cry out like that.
(希望がある,そう喚くな)」
「「…」」
「来い」
「ええ,宗主国様」
どうやらまだ薔薇たちには色が残っているようだ
その頃,菊の花がちょうど会場に着いたようだ
「…どうも,第三帝国殿」
「こちらこそどうも,大日本帝国殿」
「さて,今回も“ とっても”楽しみです」
「ああそういえば,今宵はいい踊り子が踊り狂ってくれますよ」
「…そうですか,またサーカスの虎のように鞭打ちでもして踊らせる気なんですの?」
「そう怒らずに
貴方もきっと,喜びますよ」
「…では,そうさせていただきましょう」
皮肉を交わし合う両者の目は全く笑っていなかった
「さて,美味しく料理をいただいたところで
余興に獅子にでも踊ってもらいましょうか」
「…要りません,そのような“気遣い”は」
「あら?楽しいと言うのにですか?」
「…仕置きなら陰でした方がよろしいですよ 」
「何のことです?」
「…そういうところに関しては,”Quite good”と思ってますよ」
「分かりました分かりました,年上の警告には従いますよ
にしても,よくまあさえた『英国式』ジョークをここで言いますね」
「あら?そこまで気に障ることでした?」
「しかもテーブルマナーまで…流石ですよ」
菊は死神の追撃をひらりひらりと躱す
ここで唯一の光はきっと彼女だけなのだろう
if世界史って面白いですよね
閲覧ありがとうございました
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