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透海side
《おーい、朝だぞ起きろ。》
「ん……もう?」
《あぁ、そうだ。さっさと起きろ。あと、来客だぞ。》
……は?
「貴方、勝手に入れたの?」
《悪いか?》
「えぇ。どうして勝手に入れるのよ……」
《随分と急いでたからな……》
「ご、ごめんね……勝手に入っちゃって……」
目の前にたっているのは、あちこちを怪我したヒスイ。
すごい怪我……
「なんの用?」
ヒスイ「あ、あのねっ……今すぐ、行かないとっ……アイラがっ……」
ここで私は、アイラに私達の計画がバレていた事、今、アイラはアスカの屋敷へと乗り込んでいることを知らされた。
「……わかった。行こう。」
断るつもりだったのに……見捨てるつもりだったのに……無意識に、体が動いていた。
断ろうとした瞬間、脳裏に浮かんだのは、昨日の朝の光景。
彼、アルカの真剣な目……あの言葉……
これが……コイゴコロ……って言うのかな?
今はそんなことどうでもいい……
ドアを開け、早朝の街を駆けてゆく。
透海side
なんとか屋敷に着いたけど……
本当に中にアイラはいるの?
屋敷は、いつものように静まり返っている。
アイラがいる気配もない。
本当にアイラはここに来たのかと疑い始めたその時、図書室から、何かが割れる音がする。
「い、行こう!」
ヒスイの声で、図書室へと急ぐ。
図書室の重たい扉を開けると、そこには、カッターナイフを振り回し、狂ったように笑うアイラの姿があった。
アイラは私たちに気づくと、歪に口角を釣り上げる。
「あはっ♡ 来たんだぁ、でもね、もう遅いよぉ? だってぇ、貴方達のオトモダチは、私の味方だもん♪ ねぇ、そうでしょう?」
アイラは後ろを振り返る。
するとそこには、酷い怪我をして、虚な目でこちらを見つめているアルカたちの姿があった。
ベルソー、アスカ、ラン、アオト
彼らのあの表情は演技ではない。
「嘘……嘘だよ……何で……ナンデ……みんなが…」
絶望したようなヒスイの顔。
「……っ……」
前を向くと、愛おしげな目でアイラを見つめるアルカがいた。
「アルカぁ♡ ちょっと来てくれる?」
アイラは、彼女のオモチャと化したアルカをこちらに呼び寄せる
「ウン。わかったよ」
いつものように穏やかな笑顔を向けるアルカ。
ネジを巻かれた人形のように、こちらに歩いて来る。
「だぁいすきだよ♡ アルカ」
「うん!僕もアイシテル!」
「ふふ……嬉しいなぁ♡」
アイラはアルカを抱き寄せ、そっと口付けを落とす。
嫌な汗が頬を伝う。
さよなら…私のコイゴコロ……
初めて感じた…強い…嫉妬…シット…真っ黒な気持ち…
アイラは私の様子に気づいたのか、アルカの頬を手でなぞり、愛おしそうに見つめる。
頬をなぞった手は、首へと降りて行く……
気持ち悪い…………
やめて…………やめて……アルカは……私の……大事な……トモダチ……
目から涙が溢れ、息が荒くなる。
やめて……ヤメテ……
突然視界が歪む……ナニモミエナイ……ワカラナイ……
NO side
トウカが倒れた時、アイラのそばにいたアルカが少し、目を見開いたかのように見えた。
アイラ「あれぇ? 倒れちゃった……ねぇアルカ……あそこの女と、そこに倒れてる奴、追い出しちゃって?」
「わかった。マカセテ。」
アルカは無表情のまま二人を抱えると、そのまま図書室を出て、出口へと向かう。
「ねぇ、アルカっ……お願い…やめてっ! トウカちゃんは貴方の……貴方の想い人だったんじゃないのっ!? なのに……っ…… 」
アルカに抱えられたヒスイは必死に訴えかける。
「っ……ボク……は……アイラのために……ッ違っ……僕は……トウカを……」
アルカの表情が崩れる。
その場に立ち止まり、何かを呟いている。
大きく見開いた、その瞳は恐怖に怯えているように見える。
ナニカに抗うように、ブツブツと呟いている。
「ボク……は……アイラ…のタメ……アイラノ…タメニ…」
二人をその場に放り投げ、その場を去ってしまった。
ヒスイside
「っ……そんな…」
倒れているトウカを抱え、街を歩いて行く.
頭には、あの時の光景が脳裏に焼き付いていた。
みんなの虚な目……あの言葉……アイラの目。
大切な…友達…トモダチ
「もう……救いようがなくなっちゃった……ごめんね……」
静かにそう呟いた。
この時、救世主は、悪女に制裁を下すと決心したのだった。
あの子に復讐するためなら命だって惜しくはない
ーこの悲劇に終幕を