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意味がわからなかった。
(この子は何を言っているのだろうか。そもそも僕に言っているのだろうか…)
不思議に思っていると、少女は本から目を離し、僕に視線を向ける。
「ねぇ、君もそう思わない?」
「え?あ、僕にはまだ好きな人がいたことないからわからないかな。」
とりあえず、そう答えた。
「ふーん、そっか。」
その少女は優しい声で答える。この子はどんな病気なのか。それともどんな怪我なのか気になった。言葉を選びながら、彼女に問いかける。
「君は、なんで病院に?」
視線をそっと少女に向ける。
「ん?ああ、病気で」
どんな病気なのだろうか。きっとそれを聞いたら、不快にさせるかもしれない。だから聞きたい気持ちをぐっと心底沈めた。
「そっか。大変だね。」
「うん、まぁね。君は?」
「僕は事故で。足が動かなくなっちゃったんだ。」
「えっ、!?大変だね…」
「まぁね。車椅子があるから大丈夫だよ。」
そう告げたが、本当に車椅子があるから大丈夫かは僕にも分からない。
「そえば、名前聞いてなかったね。私は星乃明花。年は17。君は?」
星乃明花…いい名前だな。きっと漢字は”明るい花”と書くだろう。本当にその通りだと思う。彼女の笑顔は明るい花のように綺麗だった。
「僕は明守蒼太。年は同じく17。」
「お、同い年だぁ〜蒼太って名前いいね。”明”守と、”明”花!」
「…うん、?」
不思議な子だと思った。でも、無邪気に笑うその笑顔が、僕の心を支えてくれた。
「これからよろしくね、明守蒼太くん。」
「よろしく、星乃明花さん。」
これから、僕と彼女の物語の始まりである。