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暁:「言い伝え・・・ってそんなの私には・・・」
照:「もう関係無くないんだよ、《紅葩紋》に選ばれちゃったんだから」
「一種の言い伝え」そう言われてただ興味本位で触っただけの自分が”選ばれ”ても良くないんじゃないのか、そう思ってしまった、本家から殺したいくらい嫌われている自分にはその保有者にはなれはしないのでは無いかと
照:「・・・持ってみなよ、きっと拒絶されない」
そう言われても持てずに居るのは、認められて驚いているからじゃない、今どうしたら良いか”判断が出来ないから”だ、困惑と自分で良いのかと言う葛藤それらが混ざり合い入り交じり正確な判断が出来ない、兄弟達はまだここに辿り着いては居ないから、この醜態を晒さず済む、済むのに
暁:「私はッ主になんてなれる器じゃない!!」
こう、答え叫んでしまった、暁のその声に深琴や秋夜、照は驚きたじろいだ
暁:「私なんかッ本当は鳳凰、妃泖の主にも!雅や大蛇の主にもなれる様なヒトじゃ・・・!」
翔:「本当にそうなのか」
その問いに暁はまたどうしたら良いか、分からなくなった、私なんかと答えたその矢先にこの答えは出せなかった、すぐ隣には、深琴も居るのに、これだけ声を荒げてしまった、時期に兄弟達も来る、この醜態はすぐにバレるかもしれない、そんな自分を見て欲しくない、困らせたくない、そう思った、すれば妃泖が一言
妃泖:「辞めよ、この子にその問いをするでない」
そう言われた刹那、暁の意識は加入試験の最中の時の様に切り変わった、妃泖が意識を引っ張り睡眠と類似する状態にしたらしい
妃泖:「この子に、暁に今その問いをするのは負担が過ぎる、今後必要になった時のみその問いを許す、それまでは何も問うでないぞ」
照:「分かったよ・・・」
深琴:「暁、さんじゃないの・・・?」
初めて見るその光景に驚くほかない、深琴は妃泖の存在を知らなかったのだから、暁だと思っていた人物は暁では無かったのか?そう感じてしまう深琴、そこに兄弟達が走ってくる
賀樂:「待ってくれ、また鳳凰と入れ替わってるのか!?」
その言葉に秋夜、照は「またとはどういう事だ」と聞き返した、それに対し深琴は更に困惑、翔は無言、何か知っているのかそれとも顔に言葉に出ていないだけなのかは分からない、賀樂の「また入れ替わってるのか」と言う言葉に疑念を抱かない訳はないが、妃泖は黙ったままで何も話さない
黒月:「・・・・・鳳凰つったか、何でそこまで暁にこだわる」
妃泖:「はぁ、ここでは話したくとも無関係の人間、妖怪が居るでな場所を変えたい、が詳しく話すつもりは無いぞ黒坊」
そう言われ武器庫を後にする一行、向かった先は連合の医務室、愛聾が居るはずだ、事情を知る者が増えるのは妃泖としてはあまり喜ばしくないのかも知れないが話さざるを得ないだろうと思う
ー〘陰陽連合〙術師用医務室ー
医務室来たのは久しぶりだ、実を言えば加入試験後から数週間、つまり一ヶ月経っている、その間訪れていないのでそう感じるだけなのだが今はそれ所では無い
愛聾:「あら・・・雰囲気変わったかしら?」
妃泖:「暁の姿を借りていて申し訳無いが少しこの部屋を借りたい、良いじゃろうか」
照:「愛聾さん僕も居るし・・・ね」
「分かったわ」と返事を返してくれた、だが愛聾はこの医務室に基本こもりっぱなしでほとんど外に出る事は無い為医務室の中は整理されている(特に関係は無い)
愛聾:「・・・それにしても、その子の姿を借りてるってどういう事かしら?」
妃泖:「意識を無理やり引っ張って表に出てきただけの事じゃ」
サラッと言うがまぁまぁ凄い事を言っている自覚は無いのだろうか、この後は大方の質問には答えていくつもりなのだろうが、医務室のベットに座りその場の全員を見回し、口を開く
妃泖:「さて、何が知りたいか質問してみよ、ものに寄ってはノーコメントじゃがの」
照:「・・・じゃあまず、自己紹介してくれない・・・?分かってない人居るから」
分かっていないのは特に深琴だ、暁とは知り合って一日と経っていない、兄弟達も鳳凰が生まれた頃から気に入って暁に宿っている事しか知らない、愛聾だって個人的な簡単な情報しか知らず、照や秋夜、翔も出会ってから話す機会も少ない所為か情報は限りなく少ない、鳳凰の主の器、《紅葩紋》に選ばれたヒト、それが暁だと言う事はこの場に居る愛聾、深琴と兄弟達以外理解している筈だ
妃泖:「先に言えるのは妾は鳳凰、不死鳥と呼ばれる事もある長年生きてきた鳥での、そしてその主がこの娘、暁じゃ、今は一時的に体を借りておる」
愛聾:「ならここを借りに来た理由はなに?」
妃泖:「それは至極簡単じゃ、ここならば出入りが少ないと思うたからじゃの」
確かに暁が経過観察の時も出入りは少なかった、翔や秋夜達が来ていたのは暁が鳳凰の力によって状態が悪化しない様、監視していたに過ぎない、照が来たのも面接をする為だけ、ほとんどそれ以外の出入りは無いに等しかった
深琴:「あの、貴方は暁さんじゃないんですか・・・?」
妃泖:「そうじゃな、急な出来事で理解が追いつかぬのは申し訳無い、妾は鳳凰であり妃泖と言う名を貰って居る身じゃ」
黒月:「次、俺の質問に答えろ、何で暁にこだわる」
少し威圧的に黒月は妃泖にそう聞いた、帰ってくる返答が良いものか悪いものか分かるものでは無い、空気が嫌にピリついて、深琴は早くここから逃げ出したい気持ちと自分の世話役を引き受けてくれた暁の事を知りたい気持ちで、ただ話を聞いている事しか出来なかった、そして黒月がした質問「何故暁にこだわるか」その答えは
帰ってこなかった
黒月:「何で答えねぇんだよ」
妃泖:「暁の精神の崩壊に繋がる可能性があるからじゃ、話して問題無い範囲なら話しても構わんが・・・それでも聞きたいのかのう?」
黒月は頷く、その後「ならば妾が話せる範囲で話そう」と話を進めてくれた、暁の精神崩壊に繋がる可能性のある話、なんてきっと盛っているだけだろう
妃泖:「妾が暁にこだわる理由、それは気に入ったからだけでは無い、この子は選ばれし子だと確信を持っているからと言うのが本音じゃな」
選ばれし子、先程《紅葩紋》の保有者として選ばれたと分かった時暁が動揺し声を荒らげた言葉だった
妃泖:「じゃがこの子は「自分が選ばれる」事を良く思っていない、だから取り乱した《紅葩紋》の主としてアレを完全に扱える日は何時になるか分からぬ」
愛聾、深琴含めその場の全員が静まり返ってしまった────
ー次回 <大罪>襲撃ー
ーTo Be Continuedー