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妃泖:「もう他に質問は無いか?」
質問は他に何も出てこなかった、なぜなら
「自分が選ばれる事を良しと思って居ない」と言われ、兄弟は家族との思い出を振り返ってみる、黒月と暁は双子で基本何をするにも一緒に行動していて、翠恋や賀樂も長男長女として弟妹の面倒は見てきた、瑠征が生まれてからも凄く毎日が楽しいと────でも、その思い出の中で暁が選ばれて喜んでいる所やそれに関しての弱みを見せる様な事が一切なかったように感じる、そして兄弟四人の中で一致した一つの答え、「暁は糸目だったか?」今は糸目に高い位置で結んだポニーテールが印象に残るが、昔は・・・その時兄弟全員に頭痛がはしり、立ちすくむ者と頭を抱えうずくまる者まで
愛聾:「急に頭を抱えてどうしたの?!」
普段落ち着いた喋りの愛聾でさえ声色が変わる程の驚き、翔はただ無言を貫いているが秋夜、深琴の二人は状況に着いていけていない様に見える、その後はベットに空きがあったから良いものの、全員軽くうなされている様で今はベットに横たわっている、妃泖は今体を返すと暁を含めた兄弟が全員ダウンしてしまう為、借りたままになっている
翔:「全員の症状は・・・?」
愛聾:「皆酷い頭痛ね、まだ意思疎通が出来ただけマシ、と言った所よ」
秋夜:「考え事をしてたみたいだがそれだけで頭抱え出す程頭痛が起こるもんか?」
普通は頭痛がしてくる程の考え事をするのは余程長時間思考した結果か、考え事の最中にストレスによる負荷で起こるだろうと思う、そんな時ふと愛聾や翔、秋夜が感じ取った強い気配があった
?:「あらぁ〜?なぁに?この子達、全員ダウンしちゃってまぁ」
ねっとりとした喋り、膨大な狂気と嫌に体にまとわりついてくる様な気配、それらから翔達が分かる事、それは<カルマ>の居る罪界から来た奴だと言う事
?:「そんなに睨まないでよぉ、この子達のし、ん、ぱ、いしてあげただけじゃなぁい?」
<カルマ>に心配される筋合いなど無いだろうと秋夜は言いそうになったが堪える
翔:「コイツらに何の用だ・・・・・」
?:「えぇ〜?そのコト教えてあげなきゃダメなのかしらぁ?」
面倒臭いわと跳ね除けられる、このねっとりとした喋り口調の<カルマ>は横たわる兄弟にゆっくりと近づいていく
?:「この子達、守りたいって思っちゃう?そんなコト思われちゃったら私・・・嫉妬しちゃうわぁ♡」
このぞわりと体にまとわりつき這う様な気配、これは間違いなく<大罪>クラス!
秋夜:「<大罪>・・・しばらくなりを潜めてると思えば出てきやがって」
?:「そうね、分かってると思うけど言っておくわァ、私は<大罪>嫉妬のチェイン、宜しくねぇ♡」
ー「<大罪>」ー
<カルマ><カルマクラン>より更に上位の存在、嫉妬の他にあと六体の<大罪>の存在が確認出来ている
嫉妬のチェイン、その容姿はさながらマーメイドドレスを着こなすセミロングの淑女と言った出で立ちでありながら、肌に該当する部分はライトグレー、一見しても人間とは思わない、妖怪とも違う、つまり異質だ
愛聾:「(私戦えないし・・・不幸体質なのが嫌になるわ)」
チェイン:「うっふふ♡その私を見る目・・・余程この子達を気にかけてるのねぇ?───あら、貴女良い霊力持ってるのねぇ妬ましいわァ」
するりと暁の顔の輪郭を手でなぞる、この中身が暁のままであったなら動けなくなっていただろう、だが今の中身は暁では無く鳳凰の妃泖な為、一言
妃泖:「気安くこの娘に触れるでない、嫉妬狂いめが」
それで気づいたのか僅かほんの一秒間静止してから話し出す
チェイン:「ああ、その話し方・・・鳳凰の鳥ちゃんね?力は全盛期より下がってるみたいだけど、良いわこの女の子は後にしてあげる♪」
そう言って暁から離れたが、ここを去る気は無いらしい
翔:「(ここで祓おうとすると・・・物が壊れて後が面倒・・・どうするか・・・)」
そう考えあぐね動かずに居ると突然窓ガラスが盛大に割れて破片が散らばった
「うちの子達に何をしようとしているか尋ねても差し支え無いかい?」
医務室に飛び込んで来たのは朱空家、兄弟達の父 縁だった、それに気づく翔達因みにと言うか案の定と言うか深琴は気絶してパタンキューである
縁:「おっとこれは驚いた、嫉妬のチェインか、面倒な相手だ」
チェイン:「あらぁ初対面同然なのに、面倒だなんて酷いわ」
縁の方が情報で良く知っている為、面倒だと言う事がすぐ口に出ていた
縁:「まぁお引き取り願いたいね、<大罪>」
それから少し間を置いてため息をしてからこう言った
チェイン:「良いわ、興も冷めちゃったしぃ?ここは出直してあげるわ」
そう言って静かにその場から霧状となり消えていった
愛聾:「窓ガラスが・・・」
縁:「あ・・・えへっ」
えへじゃない!!と一喝され確り弁償したと言う
ー次回 ただ一心不乱にー
ーTo be continuedー