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輪廻
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輪廻
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#一次創作
第十二話
限界
―生きる覚悟―
「ところで、神剣くんは?」
私は飲み終えた小瓶を、持っていた携帯用のウェットシートで拭き上げ、皇刃くんに返しながら辺りを見回しました。
砂漠化した、この世界で水は大変貴重な資源です。
簡単な汚れや手洗いは、ウェットシートで対処するようにしています。
「神剣くんなら、車で寝てるよ……」
苦笑を浮かべながら小瓶を受け取った皇刃くんが答えます。
「よっしゃ。今回も全員、ケガしとるけど生きとるな。良かったなぁ」
椥辻さんの言う通りです。
生きているのが一番です。
でも……なんでしょうか。
椥辻さんが、いつもと違う気がします。
いつもと同じように明るく元気なのですけど……。
「さ。帰りましょ。帰って甘いもの食べたいわ」
そう言った御厨くんが、ひょい、と椥辻さんを抱え上げます。
「!? は? 急に何すんねん! 下ろさんかい!」
「だぁーめ!!」
御厨くんは、そのまま椥辻さんを抱えて車へ向かいます。
「その小さい身体で、綺ちゃんの大刀を受けて、あたしの大剣も受け止めたのよ? 目には見えないかもしれないけど、あんたの筋肉は限界のはずよ」
「!! っ……う、うちは大丈夫や! 心配しすぎや!」
「おだまりなさい。今度こそ本当に、おばーさまのお迎えが来るかもよ……」
御厨くんはそう言うと、少しだけ表情を曇らせました。
「それと……あんたに、かなり無理させちゃったわね……」
御厨くんは椥辻さんをそっと車の荷台へ寝かせます。
荷台には、重体患者を寝かせるためのテントが設置されており、その中には布団も敷かれています。
「なんや、あんたが素直なん珍しいな? 明日は槍でも降ってくるんとちゃうか?」
「やぁーね。槍が降ってきたら、あなたの武器の仲間入りかしら?」
「うちには……もう……槍は……」
椥辻さんの声が、次第に小さくなっていきます。
「うふふ。寝ちゃったわ」
御厨くんが優しく微笑みました。
「そうよね……。椥辻さん、あたしより小さいのに……」
眠ってしまった椥辻さんを見ていると、私は今にも涙が零れてしまいそうです。
私は、なんて失態をしてしまったのでしょうか。
私がもう少し注意深くしていたら……。
私がもっと……しっかりしていれば。
こんなことには――。
「早乙女さん。大丈夫……」
皇刃くんが、静かに声を掛けてくれます。
「早乙女さんが悪いなんて、誰も思ってないよ」
「そうよ、綺ちゃん。『タラレバ』は止めましょ?」
御厨くんも、優しく続けます。
「今することは、後悔じゃないから」
「……二人とも……っ」
「今しなきゃいけないのは、現実を受け止める。そして、同じ轍は二度踏まない」
御厨くんは、眠る椥辻さんを見つめながら言いました。
「あたしは、そう思ってる」
「……」
そうです。
もう終わったことを後悔し続けても、仕方ありません。
私は、生きる覚悟を決めたはず。
ならば、それに見合うようにしなくては!
「そうよね。ありがとう、二人とも」
「さ、早く帰りましょ。帰ってオヤツ食べましょ♥️」
「え、っと……帰ったら、すぐ報告書……だよ、御厨くん」
「あら、嫌だ。大変ね綺ちゃん。頑張ってね♥️」
「みんなでするのよ!!」
あ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”!!
私の色々を返してー!!
コメント
1件
うわ、椥辻さんの無理がついに表面化した……! 御厨くんが抱え上げて無理やり休ませるところ、めっちゃチームの関係性出ててグッときました。「槍が降ってきたら武器の仲間入り」って返しに、椥辻さんの「もう…槍は…」で眠り落ちる流れ、絶妙に切ない。早乙女さんの後悔と覚悟のバランスも、ちゃんと戦い続ける理由を再確認させる構成で好きです。綺ちゃんの叫びで笑わせてもらった(笑)。