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マナミ(茶髪ショートの獣人《ネコ》)の固有武装とシオリ(白髪ロングの獣人《ネコ》)の固有武装はそれぞれ恐ろしいものだった。
マナミの足はそれのおかげで主に脚力が増した。
チーター並みの速さで走ることができ、カラカル並みのジャンプ力も兼ね備えている。
またタコの足のようにしなやかに動かすこともできる。まあ、そんなことよりも肉球がぷにぷにしていて気持ちいいという点が一番恐ろしい。猫好きじゃなくても虜《とりこ》になるぞ、あれ。
シオリの両手はそれのおかげで固有魔法の効果が倍増した。
たとえば、俺たちが住んでいるこのアパート。少し前に移動させた時、シオリはかなり辛そうだった。しかし、それを装着している時のシオリは小指一本で動かすことができる。まあ、それより肉球がぷにぷにしていることの方がよっぽど魅力的だが。
「これがあればナオトさんのとなりにいても恥ずかしくないですね!」
「ナオ兄、私結構強くなったよ。褒めて、褒めてー」
「おー、よしよし。二人ともすごいなー」
俺が二人の頭を撫でてやると、二人とも猫耳をピクピクさせながら気持ちよさそうな声を出した。
「えへへへ、気持ちいいですー」
「えへへへ、ナオ兄に褒められちゃった」
ふん! なによ! あたしだって固有武装持ちなのにどうしてナオト(『第二形態』になった副作用で身長が百三十センチになってしまった主人公)はあたしを褒めてくれないの!
え? あたし、褒めてほしいの? う、嘘。これって嫉妬? そ、そんな……あたしは別に気にしてなんか。
「おーい、ミノリー。ちょっと来てくれー!」
な、何かしら。
「な、何よ。いきなり」
ミノリ(吸血鬼)はどうして不機嫌なんだろう。うーん、まあ、いいか。
「まあ、とりあえず座ってくれ」
「え、ええ」
ミノリ(吸血鬼)は俺を避けるように俺から少し離れたところに座った。
「なあ、ミノリ。モンスターチルドレンって合体できないのか?」
「が、合体? それなら前に体験してるじゃない。ほら、ミカンと」
「いや、そうじゃない。あれは人間とモンスターチルドレンだろ? 俺が知りたいのはモンスターチルドレン同士で合体できるのかってことだ」
「別にできなくはないと思うけど、どうしてそんなこと知りたいの?」
「いやあ、ほらマナミとシオリの固有武装って猫の手と猫の足だろ? なーんか意図的に別々にされてる感じがしてさー」
たしかにそうね。でも、だとしたら何のために。
「これはあくまで俺の予想なんだけどさ、二人ってスーパーキャットだと思うんだよ」
「スーパーキャット? それってネコ科のいいところだけを集めた最強の猫みたいなもの?」
「ああ、そうだ。ほら、モンスターチルドレンって例外はあるけど、同型は十人しかいないだろ? だからマナミとシオリのモデルが同じ飼い猫なのはおかしいんだよ」
「まあ、たしかにそうかもね」
「だろ? だからさ、少しでも可能性があるのなら合体させてやりたいんだよ」
そんなこと言われてもあたし合体なんかしたことないから分かんないわよ。
「それ、二人は望んでるの?」
「は、はい! 少し怖いですけど、シオリちゃんとならできそうな気がします!」
「同感」
「あっ、そう。なら、さっさとキスしなさい。というか、シオリ。あんた、マナミに言ってたわよね? ファーストキスもらっていい? って」
「え? あれって合体できるかもしれない方法だから試してみたいって意味だったの?」
「うん、そうだよー」
「な、なあんだ。てっきり私のことが好きになったのかと」
「私はずっとマナミちゃんのこと大好きだよ? ナオ兄と同じくらい」
「え? そうなの?」
「うん、そうだよ。マナミちゃんはどうなの? 私のこと好き? それとも嫌い?」
「ふぇ!? え、えーっと、嫌いではないよ。でも、その、エッチなことをされるのは少し抵抗があるというかまだ私たちには早いというか」
「マナミちゃんは私とエッチなことしたいの?」
「そ、そんなことないよ! けど、仲良くはしてほしいなーなんて」
「私もそう思ってるよ。それじゃあ、試してみようか。うーん、そうだなー。お互いのほっぺにチューしてみようか」
「う、うん、そうだね」
「あんたたちって本当に仲良いわよねー」
「だなー」
二人が向かい合う。
「それじゃあ、いくよ?」
「う、うん!」
ゆっくりとお互いの頬に顔を近づけていく。二人の吐息がお互いの頬に触れ、呼吸音がお互いの耳に届く距離になると二人はお互いの頬にキスをした。
しかし……何も起こらなかった。
「ダメかー」
「そう、みたいだね」
「やっぱり口にキスないとダメなのかなー?」
「うーん、どうだろうねー」
二人は気づいていないだろうが少し変化しているぞ。
場所は下半身の尾骨付近。そう、今までずっと目にしたことがなかったシッポが生えたのだ。
まあ、今は言わないでおこう。俺が言わずともいずれ自然と気づくだろうから。