7時11分 渋川駅
快晴
今日は珍しく何も考えず電車にのった。何も考えていなかったのはうそだ。ずっと彼女のことで頭がいっぱいでどうにも他のことを考える気にはなれなかった。どうしてだか彼女を考えないでいられなくなっていた。僕は満員電車に乗り込むとバカの一つ覚えのように彼女を探した。大切なものは近くにあるというが、これは近すぎでは…彼女は僕に密着して電車に乗っていた。ここの二駅ぶんのあいだ僕は彼女を見つめること以外何もできなかった。彼女のすべてを手に入れたい。こんな僕だけど僕のものになってほしい。言えたら…電車にブレーキがかかり、彼女が僕に押し付けられた。胸の高鳴りが彼女に聞こえてないといいんだが。人が滝のように電車から流れ出た。僕はもうストーカーでもいいから彼女を愛すと思っていた。彼女が端に座る。初めて身長が高かったことに感謝する。いつもは目立ってしまい恥ずかしいだけだが、今回は彼女を探すために役に立った。彼女が座ったのを確認すると即座に彼女の隣に座る。寝たふりでもしてまた彼女と密着したい。でも、寝たふりをすれば彼女を見ることができなくなる。それでも、彼女に触れられるなら。僕なんかが触れていいなら。僕はそっと寝たふりをして彼女の肩に頭をかけた。いつもの金木犀の香りは僕の心をくすぐる。なんだろう。このまま時が止まればいいのに。彼女と一緒に時が経てばいいのに。そんな願いをいつしか叶えられるときが来るなら僕は待ち切れずこの思いを伝えてしまうだろう。ただ、ただ、恋をしている僕と何も知らない彼女では何か起こるなんて絶対にありえないことなんだけどね。いつか彼女に話しかけたい。僕が好きなことを伝えたい。一緒にどこか行ってしまいたい。電車の中であう関係ではなく。寝たふりで一緒にいることしかできない関係より。好きなんだよ。はちきれそうな思いはいつしか爆発してしまうだろう。
コメント
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毎日1話ずつ投稿してるけど書きたいネタがありすぎて💦モチベあがるコメント待ってます!