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「愛河。大丈夫か?」
「…ぅん?悠?あれ…何が…」
「神宮が…大隊長がお前を殴ったんだと思う。何があったか教えてほしい。それ次第で対応が変わる。」
「わかった…。でも、落ち着いて聞いてくれ。」
***
俺と悠が別れた後、大隊長の部屋に行ったんだ。
それで中から物音と「やめて、ふざけんな!妹には絶対手を出すな!」って言う叫び声がしたんだ。
誰か襲われてたら大変だし、無許可だけど扉を開けたんだ。
「大丈夫ですか?何かあっ…はぁ?何が…」
「助けて…!」
悠にそっくりな青年が居たんだ。
年齢は22歳くらいに見えた。
「駄目じゃないか。大隊長の許可は得ているんですか?」
「麻生…様…。この子は、なんなんですか。」
「あぁ…此奴は龍弥様の道具ですよ…妹を育ててやるから道具になれって迫ったらすぐに了承したよ。必死になってそれはそれは無様でしたよw」
そう言われた時、悠の気持ちが分かった気がしたよ。
「この人は…必死になって妹を守ろうとしたんですよ。それの何が“無様”なんでしょうか。その絆は とても美しく綺麗なものではないんですか?」
俺はそう言ってその青年に近づいて縄を解こうとしたんだ。
しゃがんだ瞬間に体が吹っ飛んだ。
それ以降記憶はない。
ただ、最後に「妹に“逃げて”と伝えて…」そう、言われた。
***
「俺が覚えているのはここまでだ。」
「そんな…」
じゃあ兄さんは神宮の部屋にいるのか?
「神宮の部屋には絶対行くなよ。お前と本当にそっくりすぎるから速攻で妹だとバレる。」
「そんなに似ていたか?」
「嗚呼。背は俺と同じくらいで大きい。でもそれ以外はそっくりだ。」
昔からよく似ていると言われてきたが、そんなに似てるのか…
それよりもなんで兄さんが道具…いやなんで僕って気づかない?
「そんなに似ているなら僕って気づくんじゃ?」
「確かに…でも、今のところ気づいていない。おかしいな。」
僕と兄さんは瓜二つ。
でも、神宮は気付いてない。…違う。知らないんだとしたら?
彼奴も僕と同じで…考え過ぎか…いやでも…
「愛河、今日は休め。隊長命令だ。」
「は〜い」
確認する価値はありそうだ。
危険だが、やるしかない。
夜、僕は神宮の部屋に忍び込んだ。
あれが本当に神宮龍弥なら、顔に殴った跡があるはずだ。
意外と広いんだな、神宮龍弥の居住スペースは。部屋数多すぎ…寝室どこだよ…
やっとのことで見つけて入る。
それにしても警備が薄いな。もっと何かあってもいいはずなのに。
そう思いながら近づく。
そして掛布団を剥ぎ、顔を見ると…
「…!」
傷が無い…!
なら、今ここで寝ている奴と今日殴った奴は別人…?
化粧もされていない。やっぱり、此奴は…
「…何故、此処に“光”が居る…」
後ろから聞こえた。振り向くと顔が腫れた男…神宮龍弥がいた。
「…“響夜”のところに…“片割れ”のところに行くなと何度言えば分かるんだ。帰るぞ。」
響夜?片割れ?それは此奴のことか?
「龍弥。此奴は“光”じゃない。私の部下だ。今日、呼んでいたんだ。」
「…ッチ。そうかよ。… 悪かった。」
そう言って去った。
「…で?君は?顔が見えないんだけど…」
仕方なく、面を取る。
「…僕は鳳凰隊隊長 西園 悠です。初めまして、神宮 響夜様。」
此奴の存在は聞いたことない…龍弥とは雰囲気がまるで違う。
女性らしいと言うのは失礼だが、少し穏やかな雰囲気だ。あの独特な冷たい印象はない。
「西園隊長。いつもありがとう。君の功績はよく聞いているよ。ところで“君が女だと言うのは本当かい?”」
「…どんな答えをお求めでしょうか?」
「何も求めていないよ。実際、どうなのか、少々気になってね。」
話が読めない。どう言うこと?
「僕は“男”ですよ。」
「なら、何故そんなに細いんだ?それに、君は絶対に人前で脱がないらしいな。何が事情があって?」
「…古傷が酷いんです。みられたくないので…細いのは体質です。」
「そうか…」
「分かっていただけたならよかったです。では僕は失礼します。」
「西園 悠。15歳。性別女、親族は兄の光のみ。肉親は戦火で死亡。その後、兄も亡くなった。それを理由に神宮家を恨んでいる。」
「…っ」
やっぱりか。此奴が襲った人間か?
でも、こんなに穏やかだったか?僕が見た神宮はもっと狂気的で残酷な…
「…僕は男で22歳です。確かに生い立ちはそうですよ。恨んでいるもあっています。でも、反抗する気はないので安心してください。」
そう言って部屋を出た。
「…ごめんな、悠さん。でも、必ずお兄さんは助けるよ。“俺が”、必ず…」
新キャラ紹介
神宮 響夜(?)
年齢不詳。性別不明。龍弥とは血縁らしいがそれ以上の情報はない。
悠の素性を全て知っている謎の人物。