「ねぇ、悠?どう言うつもりかい?動くなって、言ったよね、俺。」
「あ、愛河、圧がえげつないんだけど…で、でも情報は掴んだし…」
「そうじゃなくて!今君は危険なんだよ!だいたい君は…」
はい。戻ったら鬼の形相で愛河が待っていました。
絶賛怒られ中です。僕、悲しい。
「聞いてる?」
「ごめんて。でも、この情報は大きいだろ?」
「そうだけどさ。これ、麻生様にバレたら…もうヤバいよ。お前、バレてるんだろ、女だって。」
「うん。どうしよう。」
「ノープランかよ!」
愛河に叱られていると扉が開いて、人が入ってきた。
「…ぇ,兄さん…?なんで…」
瞬間、兄さんがぶっ倒れた。
「兄さん!どおしたの、何が…」
「…に、げろ…も…う、バレてる…俺を捕らえたのは…“神宮響夜”だ…!」
「…!愛河、連絡。」
「もう済んでる。早く医務室へ運ぼう。」
僕らは医務室へ走った。
***
兄さんが目を覚ましたのは5日後だった。
「兄さん!大丈夫?」
「ゆ、悠?なんで…ここは女子禁制な…」
「男装してるから、あんまそんなこと言わないで。それより、どう言う事?響夜が兄さんをあんな目に遭わせたの?」
「神宮…いや、龍弥様は、俺と悠を引き合わせようとしたんだ。あの日、俺は怪我で動けず、悠を一人で行かせてしまった。で、俺は龍弥様に保護された。んだけど…」
その続きを言おうとした瞬間、兄さんが目を見開いた。
「?兄さん?」
「悠…逃げろ。」
僕のベルトについている拳銃を取り出すと、兄さんは僕の背後に向かって発砲した。
「あ…麻生?何故、あなたが…」
「いくら西園隊長が成果を上げていても、女性であるなら意味はない。今すぐに花街へ。身を売るんです。」
「…あなたは人の神経を逆撫ですることしか言えないんですか?女だから何?悠は、強い子だ。俺の妹だから。俺が守る。絶対に花街になんて行かせない。」
「待っ…」
「行くよ、悠。」
「待って、愛河!」
僕は愛河に手を引かれ、外へ逃げた。
「どう言うつもりだ、愛河!」
「今は逃げるしかなかった。手を出したところで負けるのがオチだ。それに、キミのお兄さんは弱い人じゃないだろ?」
「…うん。っで、でも、どうしたらいい?僕に血縁は兄さんしかいない。アテがないんだよ。」
「…どうっすっかなぁ」
そう。愛河も僕も天涯孤独(兄さんはいるが…)なのだ。
「西園!愛河!こっちだ!」
「神宮…?」
※※※※※※※※※※※※※※※※
「誰なんだ?お前は。」
「私は、神宮祐奈。龍弥の妹だ。西園。麻生が…ごめん。あなたのお兄さん…光のことも…」
彼女は神宮祐奈と名乗った。
「祐奈ちゃんはどうして僕らを知ってるんだ」
「よく兄さんから西園が成果をよく上げてくれること、愛河が変だったこととか聞いてたから。」
「中々失礼な事言うなw」
「悠、笑うなぁ。俺結構ショックなんだけど〜」
「西園、愛河。その格好だとものすごく目立つ。だから…着替えて。」
「わかった。」
***
うん。わかったとは言った。だけど、こんな服とは聞いてない。
「wwwゆ、うwアハハハww⤴︎かっこやっばぁw」
「…笑うなぁ💢なんでこんな格好僕が…」
とはいえ愛河の格好もヤバいけど…
こんな格好しなきゃいけない経緯というと…
「西園、愛河、ごめんだけど女物しかないからこっから選んで(^_^)」
「…え、やだ。」
「俺はいいよ〜」
「待て、なんでお前そんな乗り気なんだ!だいたいサイズ合わないだろ!」
「大丈夫、大丈夫!私、オーバーサイズ好きで大きめだから〜」
なんでそんな準備いいんだよ。
「じゃあ〜悠はこれで〜」
だめだぁ!話が通じない。僕の味方はいないのか?
着た結果が上記だ。
「で?こっからどーすんの?祐奈お嬢様。」
「その呼び方やめろ。祐奈でいい。」
「アハハ…でも愛河の言う通りです。ここからどうしますか、祐奈さん。」
「これから神宮家の本家に行く。響夜は本家でも厄介者でね。協力してくれると思う。」
僕たちは本家に急いだ。
***
うん。ある程度予想はしていた。
でもさ、こんな大きい屋敷とは聞いてない。
「…デッカ…」
「愛河、私語を慎め。ここは本家だぞ。」
「わぁってるよ、悠。」
「西園、愛河。これからお祖父様のところへ移動する。だから声は出さずに静かにしていて。」
そう言われた。でもなんで…?
「お祖父様。お久しゅうございます。祐奈です。扉を開けてもよろしいですか?」
「…良い。入れ。」
言葉を合図に入る。
「其方は鳳凰隊の隊長、副隊長ではないか。どうしたんだ?」
「お祖父様、聞いてください。…響夜が、西園を襲いました。龍弥も、気づけないほど、巧妙に。」
「…何故、響夜の存在が外部に漏れている?管理不足で はないのか?」
「っ…」
話せないのがもどかしい。
口を開いて話したい。直接、告発したい。
「それについては、西園から…ね?」
祐奈さんは僕の意を汲んでくれた。
「初めまして、当主様。改めて鳳凰隊隊長 西園 悠です。」
「嗚呼。知っている。お前…まさか、、、」
「…お察しの通り、僕は女です。兄である光を助けるため、男として軍に入ったんです。」
「そうか…それは軍立違反だが…お前はかなり成果を上げている。不問にしよう。」
「ありがとうございます。僕は、神宮龍弥が兄を“殺した”と思っていました。しかし…」
「待て、それはおかしい。その時龍弥は“7歳”だ。そんな所業、できやしない。」
「…え…“7歳”?“11歳”じゃなくて…」
「嗚呼。彼奴は“17歳”だ。」
そんな…まさか…僕と同じじゃないか。当時の僕は“5歳”。同じように偽っているんだ…。
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