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雪月❄️
268
#あべさく
めかぶぷりん
7,892
楪羽*yuzuriha*
8,455
最初に動きを止めさせたのは、武器系統を使っている人形。向井の重力で動けないようにしてから宮舘の氷で覆う。今のところ、氷と蔓と網、全てを突破しているのは刃物や銃弾などの武器ばかりだったから。
すると、氷を壊せる人形がいなくなったからか、復活することはない。
🧡「おっしゃ! これならいけんで!」
ドラゴンの姿になって空を飛んでいる人形を目黒の蔓が捕らえ、人形が出現させた雪虎を岩本の炎が溶かし、砂嵐には渡辺の結晶花を流して相殺。
その間にダフネの近くに佐久間が出現して額の石に手を伸ばすが、目の前に現れた人形―――ミストに触れられた瞬間に大きく後方へ飛ばされてしまった。
やはり、ダフネに近づくのは容易ではない。
数が減っているのは確かだ。けれど、こちらもかなり異能を使っている。人形自体を攻撃できない分、全ての異能攻撃に対して、こちらも異能でどうにかするしかないから、体内のマテリアが減っているのも明らかだった。
そうしていると、岩本の目の前にふわりと何かが舞い降りてきた。それは、綿のようなもの。何でこんなものがと思った瞬間、それはミストの姿に変わった。ミストが岩本の肩に触れると、岩本が大きく海側に吹き飛ばされた。
💚「照!!」
瞬時に、阿部の目が碧色に輝くと目の前に電磁シールドを出現させる。だが、それはツインシニヨンの髪の人形―――マグノリアが触れただけで消されてしまった。
🖤「阿部ちゃん!」
目黒の蔓がマグノリアに向かう。それを、ダフネの槍が砂浜から突き上げて止める。
ミストが阿部に近づく。
そこへ、上から降ってきた二つの影。
大型の銃をミストに叩きつけて降り立ったのは、屋敷で阿部達を案内してくれていたソフィラという名の少女の人形。
その隣に立つのは、ダイニングルームへ迎えてくれた、グローリーという名の少年の人形。
〔大丈夫ですか、夏音〕
聞こえてきたのは落ち着いた少年の声。思わずグローリーを見ると、こちらを振り返ってニコリと笑った。
「グローリー、ソフィラ。来てくれたの?」
〔もちろん。夏音の危機には駆け付けますよ。ソフィラ、あちらは頼むね〕
〔わかってます……捕捉しました〕
足を大きく広げて重心を落としたソフィラは、体と同じくらいの大きさのメタリックシルバーの大型銃―――《煌線銃-こうせんじゅう-》を構える。水色の光が線のように走っているそれは、SFなどで出てきそうな見た目をしている。
エネルギーが大型銃に集まり、放つ。
一直線に放たれたレーザーはキラキラと輝いており、レーザーの射線近くにいた人形たちが一気に弾き飛ばされていた。数秒で消えたレーザーの軌跡には、キラキラとした輝きだけが残っている。
💙「……すげ……」
🩷「やば、ソフィラめっちゃかっこいいじゃん!」
🧡「あれは惚れるで」
最後方にいる渡辺も、前線で戦っている他の者達も、思わず見とれてしまった。
その姿を見たグローリーが右手を空に向かって上げると、水色の球体が上空へと真っすぐに向かっていった。そして上空で弾けると、プリズムのような輝きの雨が降ってきた。それも、通常よりもずっとゆったりとした速度で。
その雨に触れると、SnowManみんなの傷が消えていく。それだけではない。マテリアを使って疲労していたはずなのに、少しだけ体が軽くなったように感じる。
💚「治癒……?」
〔これは《聖雨-せいう-》です。人が本来持っている自然治癒力を活性化させているのですよ〕
そこまで、自分に攻撃が向かって来る時以外は傍観していたダフネが、急にバタバタとし始めた。
ギイイイィィィイイイと、ダフネから音が溢れ出す。先ほどの耳を衝くような音とは違う。あれはまるで、ダフネの怒り狂った声のよう。ソフィラとグローリーによって戦況がひっくり返されたからだろうか。それとも、味方であるはずの人形の二人が敵対しているからだろうか。
そこからは、これまで積極的に動いていなかった人形も一斉にこちらに異能を使ってくるようになった。一体一体の異能を覚えきれるはずがなく、使われた異能に対処していかなければならない。
いなし、避け、攻撃同士で相殺し、護る。隙を見てダフネに向かうけれど、ダフネに近づく者に対しての連携が強く、どうしても近づけない。
ソフィラが躊躇することなく煌線銃をぶっ放して数を減らしてくれるものの、起き上がるものもいるので、まだ半分くらいは残っている状態だ。
戻って来た岩本が再び護衛についてくれている。けれど、異能を消すことのできるマグノリアに苦戦を強いられており、阿部と夏音の前からどんどん離されていく。
マグノリアは最優先で止めなければならない。
阿部は、ぐっと拳を握り締める。
💚「照……ごめん」
目を閉じ、開いた時には翠色に輝いていた。
💛「阿部! やめろ!」
気付いた岩本が叫ぶが、阿部は静かに手を前に出す。
すると、マグノリアがピタリと止まった。
💚「舘様お願い! マグノリアを!」
すぐさま宮舘が氷でマグノリアを覆い尽くした。阿部の目が元の黒に戻ると、膝に力が入らなくなったようにその場に座り込んだ。
💚「っはぁ、はぁ……」
岩本の炎を消し続けていたマグノリアの動きが停まったことで、すぐに岩本は阿部に駆け寄った。
💛「阿部、異能使うなって」
💚「ごめ……でも、マグノリアの異能は、使わせないようにしないと、って思って……」
💛「言い分は分かってる。けどお前、もう電脳、二回目だろ。目に見えて疲労してる。今の、相当なやつ使っただろ」
💚「《凍結》……舘様の氷と違って、対象の異能を止められる。人形は、異能で動いてるから……俺は、5秒が限界だけど……」
その様子を黙って見ていた夏音は、胸の前にあった手をぎゅっと握る。
「ソフィラお願い。ダフネの周りの子たちを止めて」
〔いいよ〕
💚「夏音ちゃん……?」
「道を作るよ。ダフネを止めるんでしょ?」
真っすぐに見上げてくる夏音。その目にはもう、迷いなど見当たらない。だから阿部は、コクンと頷いた。
イヤホンに触れる。
💚「みんな聞いて。ソフィラがダフネへの道を開いてくれる。そこがチャンスだ。みんなでダフネの石を狙って」
誰か一人で攻撃すると防がれる。だから、一斉に。ダフネに反撃の隙を与えないように。
煌線銃を構えるソフィラ。エネルギーが収束していく。
〔逃しません〕
放たれるレーザー。射線上の人形たちが吹き飛び、ダフネ一体だけがその場に浮かんでいる。そこに、佐久間が瞬時に現れてダフネの槍が突き刺す。けれどもう佐久間の姿はなく、その後ろから飛んできた火炎球を避ける。
しかし、目黒の蔓がダフネの足に絡みつき、それを槍が切る。向井の岩がダフネの行く手を阻むように三方向を囲み、渡辺の花びらがダフネの視界を遮る。ラウールの網がダフネに絡まり、顔以外を宮舘の氷が覆う。その額目掛けて、深澤の鋼の針が飛んでいく。
針がダフネの額の石に触れた。
瞬間、ダフネの周りの空間が歪み、そこだけが逆再生のように動き出した。何が行われているのか分からない。
逆再生が止まると針は消えていて、ダフネが出現させた槍によって網も氷も壊されてしまった。
🩷「何だ、今の……」
💜「当たったはずだったのに」
驚くのも無理はない。成功した、と誰もが思っていたのだから。
「ソフィラ!」
夏音の悲鳴のような声にそちらを見ると、ミストがソフィラの手前の砂浜を吹き飛ばしているのが分かった。
その衝撃で、ソフィラはもちろん、すぐ傍にいた岩本、阿部、グローリーの三人も受けて砂浜に倒れている。
後方を見ていた渡辺がすぐさま倒れている三人の方に行き、広範囲に花びらの結界を展開する。
💙「阿部ちゃん! 照! 無事か!」
💚「……大丈夫、直撃じゃない……」
💛「近くにいるだけであの威力かよ……」
💚「さっきの異能、なんとかしないと……」
体を起こして立ち上がる。
「……ダンデの異能は、《巻き戻し》。五秒間だけ、思った場所を巻き戻せるの」
💚「巻き戻し……だから、ふっかの鋼の針が届く前に戻されたんだ。その範囲だけ戻るんなら、五秒前に範囲外にあった針は消えたまま……じゃあ、ダフネの石を壊すには、六秒間はダフネの傍にいる必要がある」
💙「いや、六秒も待ってくれねえだろ」
💚「だよね……ダンデをどうにかするしかない。制約が分かればいいんだけど」
「制約までは分かんない。使うこと、なかったから」
何か手立てはないかと考えてた時だった。
ピシッと音が鳴り、青空に亀裂が入る。ピシピシッとそれはすぐに広がっていき、ボロッと空の一部が崩れた。
「なに……?」
不安そうな夏音の声に、一斉に空を見上げる。
💚「崩壊が、始まったんだ……」
💙「阿部ちゃん、崩壊って」
💚「空間が壊れる。多分、一遍に異能を使いすぎたんだ。70人近くが一斉に使って、夢幻ノ杜を維持できなくなったんだと思う。もう、時間がない」
💛「くそ。突破口さえあれば……」
今も尚、向井、目黒、佐久間、ラウール、宮舘の五人が前線で人形たちを食い止めてくれている。グローリーの聖雨があっても、マテリアの消費量は多い。
崩壊も始まっている今、もう出し惜しみしている時間はない。
一度目を閉じ、次に阿部が目を開けると、その目が翠色に輝いている。
💜「阿部ちゃん! また、使いすぎだって!」
💚「そんなこと言ってる時間ないんだ。一刻を争う」
💜「でも」
💚「ふっか、翔太、あの石を壊して。俺が六秒間、ダフネの周囲、三メートルだけ時間を止める」
ダメだと言いたい。これで電脳を使うのは三度目になる。これ以上は阿部の体に負荷がかかりすぎるのは目に見えているから。
けれど、空は今も少しずつだが崩れ続けている。時間がないのは明白だ。
だから深澤も渡辺も、拳を握り締めてぐっと堪える。
💜「わかったよ、阿部ちゃん」
💙「絶対、外さねえ」
二人に阿部が頷き、それを見た夏音が立ちあがったグローリーとソフィラを見る。
「グローリー、ソフィラ。お兄ちゃん達を助けて。他のみんなが近づけないようにしてあげて!」
〔わかりました、夏音。全力を尽くしましょう〕
〔ダフネへの射線を維持します〕
すぐに煌線銃を構え、レーザーを放つソフィラ。皆の回復に努めていた聖雨が、ゆったりと落ちていた動きを止め、線を描くように降り注ぐ。他の人形たちを近づけさせないように、ダフネとの境界を作る。
左側は光線銃。右側は聖雨の壁。その外側を目黒たちの攻撃で死守する事で、渡辺と深澤の前に一本の道ができた。
渡辺の周囲に花びらが舞うと結晶化し、深澤が手を前に出すと、花びらの結晶を鋼が覆って刃を作る。
💜「なべ、最後は任せた」
💙「守り切れよ」
隣に立ち、拳を合わせる。そしてその手を二人で同時に、押し出すように前に出す。
すると、浮かんでいた鋼の刃が一斉にダフネへと向かっていく。それを見て、逃げようと後ろに向かって飛ぼうとするダフネ。
💛「逃がさねえよ」
ダフネの背後に、巨大な火柱が立った。触れれば燃えるのは目に見えている。避けようにも、煌線銃と聖雨があって左右にも逃げ場はない。前方からは、無数の鋼の刃。砂浜から槍を生やして鋼の刃に当てるけれど、少し削れるだけで勢いは止まらない。
深澤達に人形が来ないように、岩本が炎の壁で覆っているから他の人形も手出しできない。
近づく鋼の刃。焦るダフネ。残り数センチの距離で鋼が剥がれ、中から出てきた結晶化した花びらがダフネの額の石に命中した。
瞬間、ダフネの周囲に翠色の透明な球体が出現した。その中にいるダフネも、砕けた石も、炎も聖雨も、全てがピタリと動きを止めている。
慌てたダンデが動く。その足を、目黒の蔓が掴んで離さない。
1秒。
2秒。
3秒。
4秒。
5秒。
6秒。
翠色の球体は消え、バタバタと街の人形たちが砂浜に落ちていく。同時に、阿部の目が元に戻ると、その場に膝から崩れ落ちた。
💛「阿部!」
💙「阿部ちゃん!」
💜「っ、阿部ちゃん、その髪……!」
阿部の髪が一束だけ、メッシュを入れたように淡く翠色に光っている。
💚「あ……六秒は、ダメだったか……」
💙「お前、そんな呑気な! 飽和暴走とか、シャレになんねえぞ!」
💚「ごめん……翔太、ふっか、照。先に戻ってて」
💙「はあ?! 何言って!」
再び、阿部の目が碧色に輝くと、阿部は近寄ってきた渡辺と岩本の足に触れる。
すると、二人の体が阿部の目と同じ碧色の光で包まれると、二人の姿が透けるように消えていった。
その光景を見て、人形が動かなくなって異能を使うのをやめた、前線に出ていた者達もこちらにやってくる。
💜「阿部ちゃん、何して……」
💚「時間ないんだ。ごめんね」
立ち上がった阿部はそう言って、伸ばされた深澤の手に触れると、深澤の姿も消えた。更に、近くにいた佐久間の肩に触れ、ラウールの背中、向井の手、宮舘の肩にも触れる。
みんなが消えていって、最後は目黒だと顔を上げた。
すると目黒は阿部の眼前にいて、驚く間もなく阿部の両手首が目黒に掴まれた。
💚「めめ、離して」
🖤「無理です。何してんの、阿部ちゃん」
💚「送電流。来る時に使った道に沿って俺の電波を基地局みたいに置いてきたから、そこを通って戻ってもらってる。みんな、舘様が寝てた部屋にいるよ」
🖤「そうじゃなくて! 何でそんなこと……」
💚「もうすぐ、飽和暴走の二段階目になる。そうなったら、勝手に異能が使われ続けるから。みんなを巻き込みたくない」
🖤「っ。だから、阿部ちゃん一人で残るつもり? そんなの、させるわけないだろ!」
💚「わかってる。だから、みんなを帰したんだ。俺に……傷つけさせないで」
そっと、眉根を下げて阿部は微笑んだ。
🖤「でも、また阿部ちゃん一人だけなんて……!」
💚「めめ、大丈夫だから。言ったでしょ、もう自分がいなくてもいいなんて思ってない。だからめめ、俺を信じて待ってて」
🖤「阿部ちゃん……」
💚「ちゃんと、帰るから。だからお願い……あいことば、だよ」
脳裏に過る、阿部と歩いた夜の浜辺。
ハミングをしていた阿部の姿。
目黒は、阿部を掴でいる手から少しだけ力を抜いた。それでも、その手を離しはしなかった。
🖤「……分かった。俺は信じるよ、阿部ちゃん」
💚「……ありがとう。また後でね、めめ……」
阿部も振り解こうとはせず、掴まれたまま、目黒の左手に自分の左手を重ねる。すると目黒の体が翠色の光に包まれ、溶けるように消えていった。
コメント
4件

名前間違えた夏音でした。 ごめんなさい🙏🙇♀️

なんか凄過ぎます。💚の能力が果てしない気がしてます。 音香と仲間2人 💚が無事で有りますように。 続き待ってます♪