マヌヌを助けてから半日が経ち騎士はすっかり世話慣れしていった。
「マヌヌ此方向いて。」
「ん~。」と眠い目を擦りながら髪をとかされた。
「俺ちょっと早めに出るから。」
「もう行くの?」潤んだ目で見つめれてドキドキしたが
「すぐ帰ってくるから。」冷静さを装い自宅を出た。
「お前何ソワソワしてんの?」
「な、何でもない。」惑星から落ちてきた猫耳女子を助けたなんて言えない騎士はそう思った。歴史科の部屋に移動しようとした時ドンと鈍い音が鳴ったので窓を覗くとマヌヌが尻もちをついていた。慌てて校庭まで出た。
「お前何で来たんだよ。」
「だって寂しかったんだもん。」周りがザワ付き出した。
「あの子だぁれ?」や
「彼奴の彼女か?」など飛び交った。
「どうして待てないんだ!」
「騎士(ないと)と一緒に居たいの。」駄々をこねられて困り果ててしまった。
「今日は特別だぞ大人しくしてろよ。」
「わーい騎士大好き。」マヌヌに抱きつかれて無意識に抱き返した。
「おい…人前だぞ。」
「すみにおけたいなぁ。」友人の幸也は冷やかした。
「やめてくれよ幸也。」騎士は参ってしまった。
「なんの騒ぎかと思ったらあなただったのね。」
「すみません教授今行きます。」マヌヌは理事長に談話室に連れて行かれた。
「彼女さん困りますよ勝手に来校されちゃ。」
「彼女?私騎士の彼女なんだぁ。」理事長は呆れてため息をついた。
「なぁお前の彼女名前なんて言うの?」
「授業中だぞ。」教授は咳払いして二人を睨みつけた。
「あなたは尾形君に会いたくてきたんだよね?」
「うん騎士は私が惑星から落ちた時に助けてくれたんだ。」理事長はマヌヌの証言に驚きを隠せなった。
「清少納言は~。」また駄々をこねてないか騎士は教授の声が霞む程悶々としていた。
授業が終わりそそくさと談話室へ向かった。
「理事長すみません俺の監督不届きでした。」
「尾形君今度から気をつけるように。」深々と頭を下げてマヌヌの手を引いた。
「すぐ帰ってくるって言っただろ。」
「ごめん騎士。」気まずそうに謝った。
「飯食いに行くぞ。」
「やったね。」騎士は照れくさそうに鼻をかいた。
「いらっしゃいませ。」
「カツ丼二つ。」マヌヌは目を輝かせて辺りを見渡した。
「お前の惑星には定食屋ねぇのかよ。」
「ううん無いよ。」騎士の胸が急に高鳴り始めた。初めて感じた気持ちだった。
「そっか。」
店員がカツ丼を持ってきた。
「お待ちどうさま。」
「いただきます。」マヌヌのことがより愛おしく感じた。
「どうしたの?騎士。」
「俺の性にあわねぇんだけどさ花見に行かね?」マヌヌは満面の笑みで頷いた。
店を出て花畑に向かった。
「騎士のお気に入りのスポットなの?」
「幼い頃婆ちゃんと来てたんだ。」二人はベンチに座った。
「なぁマヌヌ惑星に帰るまでって言ったけどさずっと居てくれないか?」
「良いの?騎士大好き。」手は震えていたがマヌヌの足を触った。
「猫の雄は発情するだろ?人間の雄もた、勃つんだぜ。」
「息荒いよ大丈夫?」マヌヌが騎士の頬を撫でた。
「お前が俺をかき乱すからだろ。」マヌヌを情熱的に抱きしめた。
「騎士苦しいよ。」
「マヌヌずっと居てくれ。」マヌヌの頭ははてなだらけだったが段々状況を把握してきたのか騎士の背中を優しく叩いた。
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