『よぉ。そこの項垂れてる兄ちゃん』
そう声をかけられて後ろを振り向く
その人の眼は紫色に光輝いていた。
『なんか辛いことあったの?』
『俺でよければ話してくれない?』
その人は俺の近くに寄ってきて、そう言ってきた。
『一体どんなことがあったの?』
・・・・
暫く沈黙が続いていた。
本当は話す気はなかった。
でも
「実は_____」
気づいた時には喋り出していた。
男の人は黙って頷いたりしてくれた。
『それは辛かったねぇ…』
『ほれ、これやるから元気だしなよ』
そういうとその人は懐から何やらアヤシイ粉を取り出した。
俺はその粉を受け取ってしまった。
「で、でもお金とかはっ…」
『んー?また“今度”でいいよ』
俺はアヤシイってわかってた。わかってたはずなんだけど…
その粉を吸い始めてしまった。
この粉は案外中毒性があり、中々やめられない。
『(ココは眠らないチャイナタウン。)』
『(老若男女関係ない。客なんだから)』
『出来れば若い子がいいんだけどねぇ……』
『……ロン。大三元』
「あ、…‼︎あぁぁッ‼︎‼︎」
『…連れてけ。』
「承知。」
『(使い終わったら捨てればいいだけなんだから)』
俺はあの人を探しにこの街にまた来てしまった。
“眠らないチャイナタウン”
ここはそーゆー名で知られている。とても有名だ。
『…あれ?また来たのー?』
「は、はい!あの粉を貰いにっ…!!」
『ん、代金はこれくらいね』
見せられたのは請求書。
0が多すぎる。
「う、嘘だろ……?」
『え?払えないのかい?』
「…はい……」
『んー…じゃあ君にピッタリの仕事があるからさ』
ギィィィ…重たい扉を開ける音が店内に鳴り響く
『着いてきな?』
暫くトンネルの中を歩き、少し光が見えた。
『……ほら、着いたよ?』
そこに広がっていたのは
焼かれた酒場にしゃがれた看板を掲げているオーナーらしき人。
[気をつけろ…ナイフで刺されたぐらいじゃ……]
[あの人の思惑通りだ…]
と、目隠しをつけている男の人?から言われた。
どうゆうことかわからなかった。
思惑通り?ナイフで刺される?
『何してんの?置いてっちゃうよ〜?』
「い、今行きます!!」
『…着いた。ここ、中に入って。』
着いたところは周りよりも少し豪華な店。
そして言われるがまま中に入った。
『そこ、寝っ転がって。』
指を刺している方向には
血のついた手術台だった
「ひゅッ…」
奥は薄暗くてあまり見えなかった。
人の頭…腕、眼球などが培養ポットに入っていた。
「いやだ!!やだ!やだぁ!!やだ!!!やだやだやだ!!」
「ごめんなさい!!許してください!お金なら払います!!!」
『黙れ。座れ』
低い声で言われる。だけど俺はパニック状態でずっと叫んでいた。
「出して!!出してください!!!」
『黙れつってんだろうが』
さっきよりも低い声で睨まれた。
「金ッッ!!お金なら払います!!だから!!許してくださいッッッ!!!!」
『チッ…はぁ……うるっせぇな……』
『おい、お前ら。殴れ』
[承知]
ガタイのいい複数人の男が俺に周りを囲む。
そして何発か殴られた。
俺は逃げたくて暴れまくった。
暴れて暴れて、暴れた。
『……縛れ。』
[承知。]
俺は縛られた。そして思い出した。
“ナイフで刺されたぐらいじゃ、あの人の思惑通りだ”
あぁ…そういうことか……
『じゃ、どこがいい?』
『ないなら…』
あまりよく聞こえなかった。
「な、ないですッ…ないです!!」
『……そう…。』
あの人はナイフを持って、こちらに近づいてきた。
『じゃあ、心臓だね。』
俺はそこで人生が終わった。
『…ふぅ……後は全部バラしていいよ。』
俺は血だらけの顔を手で拭う。
[はい。]
『……』
「また、来ちゃいましたぁ!!」
『お金。あるのー?』
「はい!!ちゃんとあります!」
『ん。どうぞー』
『今夜のはどうだい?採ったばっかりだよ』
「スゥ…ハァ……最高です!!」
『はい、代金はこれくらいよ。』
「…どうぞ!!」
『…ふふッ、丁度ぴったりだね。』
『じゃ、いつもありがとねぇ…』
『(生きてれば客だけど…)』
『(死んだら商材。)』
『(無駄なく転がすビジネス)』
『ねぇ、どっちを向いてんの?』
『……やぁ、項垂れているそこの嬢ちゃん。』
『俺でよけりゃ話してくんない?』
コメント
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すげぇ…すげぇ…すご…((( やっぱり小説書くの上手いよね、、尊敬すぎるんだが?😭💕