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「どうした?迷子か??」
音もなく紫苑たちの前に現れたそいつは、紺色の髪を後ろでまとめ両目に包帯を巻いている…この町に言い伝えられてきた神の姿そのものだった。
邪神、恐怖、不安
脳内で様々な事が混ざり反芻して上手くまとまらない。それでもジリと後退しながらも神からは目を離さずにいつでも逃げられるように警戒を強めている。
「俺は何もしないよ、大丈夫」
「心配なら見ていてくれていいから」
目線を合わせて口元に笑みを浮かべた、印南の膝に優しく手を添えて撫でた。小さな炎が手を纏い膝にあてがわれる。
「おいッ!!」
「大丈夫だから」
紫苑が神に近寄り見れば、そこには傷一つない印南の姿があった。本人も驚きを隠せないまま座り込んでいる。
「な、大丈夫だから…全員ボロボロだな」
「治すからこっちおいで」
地面の上に躊躇なく座り膝をぽんぽんと叩く、乗れと促すかのように。未だ警戒を解いたわけではないけれど、少しは信用してもいいじゃないかと思ってしまった。
恐る恐る紫苑が腰を下ろせば濃紫色の髪に温かい手が添えられてゆっくりと撫でられた。すれば炎がゆらりと纏わり体を蝕んでいた傷を消していく。
痛みも苦しみもない、ただただ温かいだけ。
その添えられた手に紫苑は安心を覚えてしまった、今まで感じたことがなかったのだから。
傷つけられるのではなく癒やし護るための手を、向けられる微笑みの温かさを。
「な、んで…」
紫苑が溢したその言葉にフッと息を吐き笑みを浮かべた。再度優しく頭を撫でられながら神はそっと返した。
「困っているやつがいたら、誰だって助けたくなっちまうもんだろ?」
「ほら、残りの二人もおいで」
紫苑達にとっての特別は彼にとっては当然だった。普通で当たり前。
その当たり前が紫苑たちには酷く嬉しくて、それこそ神の救済のようだった。
いまだ様子を伺う馨と波久礼にも手を差し伸べた、 その手を話さないように力強く二人は握った。
傷も癒えた体を抱きかかえられて山の麓に静かに降ろされた。
「もう、ここには近付くなよ…」
「ここは危ないんだからな」
そう言い残した声だけがそこに木霊していた。そこにいたはずの神はすでにその場所には居なかった。
それが約10年前のこと
紫苑たちは15になった。家の教育は相変わらず続いたし、あの神様はいくら探せど再度見えることはなかった。
「マジでありえねぇ…」
「あのババア共思いっきり殴って来やがった」
「ネコめっちゃ痛そうじゃん」
「そういう馨も足腫れているじゃないか」
「幽もだけどな」
幼い頃から変わらずにあの山の麓で座って集まっている、また会えるかもという期待半分誰にも知られたくないという逃走目的半分。それも今日で終わる。
今日、紫苑たちは贄として神に捧げられるのだから。
コメント
4件

四季くんどこだぁぁ!?((殴 とうとう次回は生贄かぁ…✨ 今回もめっちゃ面白かった✨✨ 続き楽しみにしてるねッッ!!
四季くんが優しすぎるって!!! 展開がもう最高すぎるっ😭 続きちょーーーーーぜつたのしみっ!