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傾「……。」

ただ何も言わず、2人はイドゥン教のものが潜んでいるであろう場所まで歩く。

傾は立ち止まり、アリィの目を見る。

アリィ(下手に喋ってバレたら折角のチャンスが台無しになる。だから目だけで合図してるってことだよね。…イドゥン教でよく使用される武器は銃。)

アリィは茂みに飛び込む。

細身の男「うわぁ!なんでここにいるって…いやそんなことはどうでもいい!全員武器を構えろ!」

アリィ「大人しく構えさせると思う?」

アリィは細身の男が立ち上がることを

許すなく、 その両手にある銃をへし折る。

傾「やはり強いな。」

傾(イドゥン教にめっぽう弱い訳でもない。なら何故『鴉』は接触を避けるよう命じたのか。)

傾「ふむ。」

アリィ「考え事してないで戦ってよ。こっちも必死なんだか…ら! 」

そう言い、アリィはへし折った銃の持ち主の腹を蹴飛ばす。

傾「とても苦戦しているようには見えないが…。既に1人殺している。」

アリィ「い、いつの間に!?」

体格の大きな男「く、くそこいつ片手間で仲間を…!」

傾「不意打ちで2人か。まぁ上々な方か。」

アリィ「1人だよ。確かに私も1人蹴飛ばしたけど、あれは遠くまで行っちゃっただけで生きてると思う。」

傾「そうか。」

イドゥン教を他所にアリィ達は会話を続ける。

低身の女「ちっ…!」

低身の女は舌打ちと同時に、銃を発砲する。

しかしその弾が標的に届くことはなく、傾の刀の鞘に止まり、地面に落ちる。

体格の大きな男「本命はこっちだ馬鹿がよ!」

傾が鞘で弾を受け止めた直後、傾の右耳を銃弾が貫く。

アリィ「けっ…!」

傾はよろけその直後呟く。

傾「俺の右耳がキュートすぎるあまりに…」

アリィ「んだコイツ。」

傾「やはり罠か。杏、2分1人で凌げ。耳に確かに風穴は空いたが、致命傷では無い。しかし、この耳では重心がズレて感覚を掴むのに時間がかかる。 」

アリィ「それが2分だね?分かった。あぁそれと…私の事別に庇わなくていいから。」

傾「人間の目では弾丸を捉える前に、撃ち抜かれると思うが。俺は死にかけの者を引きずり歩くつもりはない。 」

アリィ「それ、人間の話でしょ。 」

それだけ言い、アリィは傾から離れる。

傾「お前の自認は…」

細身の男「その女は悪魔だ!」

アリィ「おかえり。」

アリィに遠くに蹴飛ばされた細身の男は何やら、丸い玉の様なものを投げ、黒い煙が出るがアリィの手中からはなたれた黒い霧によって相殺され煙は消えていく。

アリィ「劣化品…いや、模造品…?」

低身の女「嘘…なんで…ねぇどういうこと!?アレがあれば悪魔の魔法を無効化出来るんじゃないの!?だってアレの為に私達アビスまで…!」

アリィ「アビスの遺物を利用したんだ。でもあんた達が行ったわけじゃないでしょ。それなのによくそこまで絶望できるね。アビス、死者の国は生者が立ち入ることも逃げることも許さない。何万年もの歴史がありながら、今まで生還できたのはたったの3人。貴方達はその器の持ち主じゃない。可哀想に…浮かれた正義思想によって何人が犠牲されたんだか…。 」

(4人居るはずなのに…どうして3人しか…)

体格の大きな男「知ったような口利きやがって。」

アリィ「それ、そっくりそのままおかえしするよ。」

体格の大きな男「ガキが…!」

突進してきた男の上にアリィは飛び上がり、

男の背に拳を打つ。

体格の大きな男「がはっ…!」

細身の男「ジャック!」

低身の女「ねぇソイツなんかより私を助けてよ!」

低身の女を見てみると、傾の刀を銃で受け止めている姿があった。

傾「仲間を切り捨てるとは、大層なことで。」

低身の女「うるさいうるさい!動けないんじゃないんじゃなかったの!?」

傾「舐められたものだな。確かに俺は重心が安定しないとは発言したが…一言だって動けないなぞ言っていない。ああそれと時計を持ち歩くことを推奨する。」

低身の女「はぁ!?」

傾「2分経過済みだ。」

傾はそれだけ言うと、刀を払い女の腹を蹴る。

低身の女「最低!女に手を挙げるなんて!それでも男のすること!?」

傾「…随分甘やかされて生きてきたんだな。」

それだけ言うと傾は蹲る女の首筋に刃を当てる。

低身の女「エイド!!」

傾が後ろに飛び退いた直後、低身の女の横には大きな穴が空いた。

傾「殺意しかないな。」

低身の女「ちょっとエイド!私まで巻き込まれたらどうすんのよ!」

エイド「え〜?いいじゃない、助けてあげたんだし。」

声のする方を見れば、エイドと呼ばれた濃い赤紫色の長髪を風に靡かせている長身の女性がいた。

アリィ「……。」

アリィは目を見開く。

細身の男「アムシア…お前なんてことしてくれやがった!」

低身の女「だって!」

エイド「まぁまぁ2人とも落ち着いて〜。大丈夫よ、ちゃあんと私の任務は全うするから。私は戦いたいわけじゃないのよ?だからそこを通してくれないかしら〜。」

傾「見逃すっていう趣味はあいにくないな。」

エイド「あらあらそれは残念。じゃあ坊や達に頑張ってもらおうかしら〜。」

エイドがそう言うと、あらゆる草の茂みから体力の蛇が飛び出し、一体、また一体と結合し大蛇へと変化する。

エイド「坊や達〜、このお嬢さんを退かしてちょうだい〜。」

傾「俺は女じゃなくて男だ。その力、アヴィニア人だな。何故、イドゥン教に協力する?」

エイド「んー、だって私は保護された立場だもの〜。」

傾「保護だと?お前は騙さ…」

傾は眼前の状況にそれ以上の言葉を紡ぐことが出来なかった。

傾「は……」

(蛇が一瞬で塵に…違う、ソレじゃない。)

先程まで会話を交わしていたヒトだった物は、文字通り頭が四散した。エイドだった物は身体はまだ死んだことを理解出来ていないかのように立っていた。エイドの足元を見れば、アムシアと呼ばれた女も同様に頭が四散していた。

傾はアリィの方を見る。

それは酷い惨状であった。

ジャックと呼ばれた男と最期まで名前を聞くことのなかったリーダー格であったろう人間は、頭どころか身体の何もかもが四散し、周りの木は宙に浮いていた。そう、浮いていた。

傾「…ああ。」

(ようやく理解した。『鴉』があの子供をイドゥン教に接触させようとしなかった理由を。)

傾「…俺を死なせないためか。」

傾は確かに自身の判断の誤りを自覚する。

傾(俺が影響を受けていないのは白雪が保険をかけてくれていたからだ。だが)

傾「舐められたものだな。白雪、感謝する。だがもう加護は不要だ。」

白雪は遠くにいるのか、返答はしなかった。しかし、傾はアリィの前へと進む。

アリィ「…悪いけど、今は離れて。分かってる?今アンタが生きてるのは奇跡で…」

傾「そうだな。奇跡がヒトに作れない物であるというならば、俺は実力で受け止めよう。俺はこれでもフェニックスの1人だ。アヴィニア人を殺した理由を聞かねばならない。…が、先に個人の欲を優先しても『鴉』は咎めないだろう。」

アリィ「…アレは…」

傾「以前俺は言ったな。怒りの矛先を間違えるなと。お前は随分察しが悪いようだからな。直接的に言うことにした。お前が怒りの矛先を自身に向けている限り、魔法それを制御できることは無い。それはお前が1番分かっているのだろう?」

アリィ「……。」


私にとっての世界は、家の中と毎晩話しに来る彼が全てだった。彼が話す限りの外の世界はそれは酷く美しく見えた。

だから初めて家の窓からでない外の景色を見てがっかりした。辺り一面に広がる炎と何を言ってるか分からないけど私に捲し立てているヒト。

アリィ(熱いなぁ。)

感想としてはただそれだけだった。

火傷跡が残るから、逃げるべきなんだろうけど、足には寝ている間に鎖が嵌められていたものだからそれは出来なかった。

何やらボトッと大きな音が鳴ったからそっちを向けば、目の前には両親の首が落ちていた。

アリィ「あ、お母さん、お父さん。ねぇそれどうやったら出来るの?」

首だけの両親に問いかける。が、返答は返って来ない。

アリィ「2人して目を開けながら寝てるの?んもー。おじさんがこれやったの?凄いね!」

群衆「見たか!ヒトが死んでいても何も思わない!これが悪魔の証拠だ!」

群衆「なぁさすがにやりすぎじゃ…」

群衆「ソイツらは俺達を裏切って悪魔の味方をしやがったんだ!」

群衆「放っておけば、女子供が喰われるところだったんだぞ!」

群衆の群れの中から、1人の黒髪で目つきの悪い男性と銀髪の女性がアリィの元へ足を2歩進める。

黒髪の男性「…村長。今回は俺が。」

村長「ヘリオスが行うのであれば確実だな。」

ヘリオス「…息子には負けますよ。」

アリシア「私もいていいかしら?」

銀髪の女性は挙手し村長に許可を求める。

村長「構いませんが…貴方は本当に居るつもりですか?」

アリシア「ええ。」

会話は聞こえども私の視線の先はその夫婦ではなく、別の所へ向いていた。 銀髪の彼がまるで信じられないものでも見たような顔を遠くでしていて。

ヘリオス「……。」

アリシア「貴方?」

ヘリオス「いや、なんでもない。…アリシア、こんな形になってすまなかった。」

アリシア「私は構いません。」

ヘリオスは村長と呼ばれた老人に渡された赤い斧を構える。そして振り下ろす直前、ヘリオスの動きは止まった。

ヘリオスは自身の胸を見下ろす。

ヘリオス「…ああ。」

それだけ言うとヘリオスは倒れ込む。

そばに居たアリシアも同じように矢で胸を貫かれ倒れ込んでいた。

村長「これは一体…!?」

群衆「悪魔がやったんだ!きっとそうに違いない!」

群衆「んなことはいまどうでもいいだろ!手当を急ぐんだ!」

群衆「どうでもいいってなんだよ!」

群衆が言い争い、誰も下など向かない。だから、気付かなかった。彼に。

ジーク「逃げよう。」

群衆を抜け炎の中に飛び込み、彼はそう言った。そして手を私に差し伸べた。そう言われたから。私は、逃げることにした。

ジーク「鎖が…」

アリィ「これくらい平気だよ。」

彼に耳打ちする。

アリィ「火を押し当てて。」

多分周りから見た私はきっとどこか頭のネジが外れていた。でも決めたことには手を抜かないのが私の信条だった。


慣れた手つきで、罠を解除し引っかかった獲物を運び、彼が作った簡易的な拠点に帰る。

彼は罠の設置や、獲物の捌き方、順序を踏んで色んなことを教えてくれた。それは多分、私が両親のことを理解できるようにするため。

ほかのヒトからしたら理解させない方がいいと思うのかもしれない。でも私は彼に感謝してた。きっと私はその理不尽さを理解することが出来なかっただろうから。

アリィ(…私だけを殺せば良かったのに母さんと父さんが死ぬ理由なんて…)

ため息をつき、移動する。

アリィ「ねぇジーク、獲物引っかかってたけど、これ2人分あるかな?」

拠点でジークに話しかける。が、返答はなくジークは横になっている。

アリィ「ジーク?」

彼の顔を覗き込めば、顔色の悪い彼の顔があった。

アリィ「だいじょ…なわけないよね。」

(近くから足音が聞こえる…普段ならジークはこれだけで起きるのに… )

私はそそくさと荷物を袋に詰め込み、拠点の片付けをし袋を背負う。

アリィ「よい…しょ…。」

アリィ(後はジークを背負えば行けるかな。)

遠い場所で2人の男がひそひそと話し合う。

通りすがりの男性「なぁあれ指名手配者じゃね…?」

連れの男性「だよな?俺の見間違いと思ったわ。」

通りすがりの男性「俺行くわ。」

連れの男性「おい、片方悪魔だぞ。気をつけろよ。」

通りすがりの男性「お嬢ちゃんちょっといいかな。」

(どうせこいつ擬態型だろ。)

通りすがりの男性はこちらへ向かい私に話しかける。

アリィ「…なんですか?」

通りすがりの男性(結構頭がいいなこの悪魔。会話ができる…。人間だけなら楽勝だけど…)

通りすがりの男性「いやぁ嬢ちゃん荷物多くて重たそうだしさ。俺達が一分手伝ってやろうか?特にヒトとか重たいだろ?」

アリィ「…結構です。」

通りすがりの男性「…なぁ嬢ちゃん俺が優しく言ってる間に言うこと素直に聞いた方がいいよ?」

アリィ「貴方と私達にになんの関係があるんでしょうか。お気遣いありがとうございます。ですがお気持ちのみお受け取りします。 」

通りすがりの男性「…あー…イライラしてきた。お前さぁ、自分の立場分かってる?もういいわ、悪魔つってもガキだろ?これくらいなら俺でも余裕だわ。」

連れの男性「お、おい…!」

通りすがりの男性は私の腕を掴むのではなく、ジークの腕を掴もうとした。それが嫌で。

アリィ「彼に触らないで!!」

咄嗟に男性の腕を掴んだ。本当に確かに掴んだだけだった。それなのに。

通りすがりの男性「あ、ああ…うわあああああ!!腕が…!腕がぁ!ああああぁ…!」

連れの男性「ハルクド!」

連れの男性は通りすがりの男性に駆け寄る。

ハルクドと呼ばれた男性はただ片腕を失った痛みに悶え蹲る。 私はというと。

アリィ「ち、ちが…私…そこまでするつもりじゃ…ただ…」

私が持っている千切れた腕から、本来見えてはいけないものが流れ出る。

アリィ「う…」

(吐きそう…なんで…私…本当に軽く触れただけで…こんなことするつもりじゃ…これじゃ…)

皆が言う悪魔と何が変わらないと言うのだろう。

連れの男性「早く逃げるぞ!…あ。」

連れの男性はハルクドを肩で支え、私から逃げようとした。しかし、それは叶わなかった。

きっと言っても誰に信じて貰えない。

どうやっても動きそうになかった近くの大きな岩が浮いていて、いや正確には私の近くの何もかもが浮いていた。逃げようとした2人は浮いていたものの一つである大岩に運悪く潰された。その時の匂いと、音と、光景を今でも覚えていて。悲鳴もなく死んだ彼らの光景を。

早くこの場から離れたかった。

アリィ「ジー…」

その身体に触れようとして止まった。

さっき見たばかりじゃないか。酷い惨状を。

怖い。怖い。触れるのが怖い。失うのが怖い。

アリィ「…ああ。」

どこかで現実逃避を私はしていた。

両親を失ったのは私が魔法を使えたからで。

ジークが目覚めないのは数少ない食糧をほとんど私にくれていたからで。

最初から最後まで。

アリィ「…アンタのせいじゃないの。 」

ずっと心の奥底のどこかで、私は確かに怒りを抱いていた。その理不尽さに。討伐しなければいけないなんて言われてもおかしくない自身の力の理不尽さに。イドゥン教も恨んでる。けどそれ以上に自身が許せなくて。

アリィ「ぅ…おぇっ…!」

吐き気が限界に近づき、いよいよ食べたものを戻してしまう。早くこの場からジークを連れて離れなければいけない。

アリィ(ジークだけは…死なせる訳には…でも…)

この腕で?

アリィ「私、どうしたら…」

???「…こんな所に童が何故…」

声の主を見れば、ソレは黒い長髪をし変わった瞳でこちらを見ていた。

正直、賭けだった。

アリィ「…彼を助けて欲しい。」

それが、ナストナとの出会いだった。

ポルポルは今日もお腹が空いている

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