注意事項は第一話の冒頭部分ご覧下さい
謝罪:今回言うほど水赤じゃないです
どちらかといえば青水・水青要素強め
痛々しい描写があるのでご注意を
ここまで大丈夫な方のみどうぞ
リウラは途轍もなく困惑していた
自分は確か、捕虜に情報を吐かせる為にこの拷問部屋に来た筈だ
それなのに何故
「貴方になら僕、殺されても良いかも…♡」
目の前の捕虜は此方を
ハートの浮かんだ目で見つめてくるのだろうか
「…まろ、銃貸して」
「はいよ」
「あ、これ僕殺される感じ?」
死への恐怖を微塵も感じていなさそうな表情で、空色の瞳をぱちくりさせる捕虜の男
刹那、銃声が鳴り響く
「…ワァ」
「おちょくるのは構わないけど、自分が今どんだけ危険な状況に置かれてるのかもう少し理解した方が良いんじゃない?」
表情をピクリとも動かさずそう言う放つリウラ
裏社会を統べるボスである彼の圧力に、周りの構成員は身を震わせる
だがしかし
「…分かっていますよそんなこと」
ホトケはにこやかにそう返してみせた
自分の頬すれすれに銃弾が飛んでいったにも関わらず
この男、肝が据わりすぎている
益々視線が鋭くなっていくリウラと
何を考えているのかよく分からないホトケ
この二人が睨み合う(見つめ合う)だけで部屋の空気が冷えていくような気がした
次にどちらが何と言うのか
どちらがどんな行動をするのか
此れは命のやり取りなのだ
周りの構成員が皆緊張する中
「(…リウラすまん)」
イフは心の中で滅茶苦茶リウラに謝罪していた
数十分前
「お前がホトケ・ラリマーか」
「…」
イフがそう尋ねると、ちらりと空色の目を動かした男…ホトケ
「ほーん…爆発に巻き込まれたんやっけ、お前。よく生き残ったなぁその傷で」
ホトケの姿は痛ましいものだった
あちこちに血が滲んだ包帯を巻き、椅子に縛られ手錠と足枷で拘束されている
死ぬ程ではないものの、相当深い傷を負っているのは一目瞭然
「なぁホトケ、お前今大分辛いんとちゃう?」
「…」
「俺も人を傷つける趣味とかはないから、正直お前を余計に苦しませたくなんてないねん」
「やからさぁ…」
「自分の組織の事、話してくれん?」
酷く優しい声でそう語りかけるイフ
彼の海のような深い青色の瞳は、憐れみと慈愛に満ちているかのように思えたが
『喋らなければ殺す』
遠回しにそう伝えていることは明らか
「…話す気にはなれない」
ホトケがようやく口を動かす
男にしては高い声
「…自分の組織に忠誠心があんのはええことやねぇ」
更に目を細めるイフ
ホトケとは正反対の低い声が響き、ぴりっと緊張が走る
「うーーん、傷が深いからあんま激しいのはやれんけど」
がちゃり
手錠が外された
「これ位ならやってやれるで?」
めりめりっ
「…いたい」
自身の剥がされる爪を眺めながら、そう呟くホトケ
「なんや、もっと声出してもええのに。それともそんなに痛くないん?凄いなぁ」
急に爪を剥がされれば大抵の人間は叫ぶというのに
この男、拷問慣れでもしているのか
「悪いけど、僕あんまり痛みを感じない体質でね」
拷問では吐かないし、吐かせないよ
挑戦的にイフを見つめるホトケ
その空色の瞳は、心做しか濁っていた
「…随分と肝が据わっとるんやね」
「そういう奴がどういう風に鳴くのか…それが楽しみでこの作業しとるようなもんやからなぁ」
「お前は何時までもってくれるんやろ?」
にこりと微笑み、負けじと見つめ返すイフ
「…ねぇ、拷問するなんてお互いの為にならなくない?」
「んぉ?」
急に何を言い出すんだ此奴は
此処まで来て命乞いか?
「任務帰りでコートの血痕を洗う暇もないくらい忙しそうな君に言いたいことがあってね」
「忙しいっつっても仕事やし、お前の相手はたっぷりしてやるけど」
「拷問なんて面倒臭いことしなくても、僕に情報を吐かせる方法があるって言ったら?」
「…言ってみろ。一応聞いてやる」
「そっちのボスとお話させてよ」
ぶすり
爪の間に針を刺され、ホトケが小さく呻く
「良いって言うと思ったか?」
「思ってないけどね、これから良いって言わせるよ」
血塗れのホトケの手をイフが掴む
「…知っとる?手って一番痛覚が集中しとるとこなんよ」
みしっ
「…い゛っ…」
「これでも呻く程度なんか。お前凄いな」
「そりゃどーも。手足合わせて爪20枚位は耐えられるよ」
ホトケが唇の端を持ち上げて言った
「…特別に教えてあげるよ。1個だけ」
「ダイスがいずれ潰されるってのは本当の事だよ」
「…」
「あは、あんまり驚いてないね」
「お前らの組織の動きは色々不自然だったからな。何か裏で企んでる気はしてた」
「今この瞬間も、ダイスを潰す為に動いているかもしれない」
真っ直ぐイフを見つめるホトケ
「僕は深い傷を負っている。せいぜい爪剥ぎくらいでないと死ぬ可能性が高い…傷が治るのを待ってそれから責めるか、死ぬリスクを承知で激しい拷問を行うか。前者はかなりの月日を要する、後者は死んだら元も子もない。さてどうしたものかって貴方は今考えてると思うんだけど」
「どうかな?ダイスへの忠誠心が人一倍高い最年長幹部のイフ・アイオライトさん?この死にかけの捕虜の前にボスをお呼びするだけで情報が手に入るよ?」
しれっと名前を呼ばれたことに突っ込みたい気持ちもあるのだが、それよりイフはその条件を呑んでも良い気がしてきた
身体検査も行ったし拘束されてるし、この捕虜がボスに何か危害を加えられるとは思わない
それに
ホトケの真剣な表情見るに、とても嘘を言っているようには思えない
「…一つ答えろ」
「何故ボスに会いたい?」
イフが威圧するように目を細める
「…会いたいから、じゃ駄目?」
「明確な理由を言え」
ホトケがにこりと笑った
「噂には聞いてる。真っ赤な髪を揺らしながら人を殺める赤い死神…」
「実物を見たいの。どれだけ美しいのかなって」
その微笑みはまるで
恋する乙女の様だった
「(あの表情からして正直に話すだろうと思ったからリウラに会わせたけど…)」
「(なんか危害どうのこうのよりこっち心配するべきやったな)」
「…♡」
「…ゾワァ」
たった今
リウラガチ恋勢が爆誕してしまった
登場人物紹介part2
イフ・アイオライト
ダイスの幹部の一人
幹部歴最長かつ幹部の中で最年長の人
ボスからの信頼も厚いハイスペ人間
どこぞの情報屋と距離が近い
今回水赤ミリ程度でした前回嘘つきましたすみません
次回:とても水赤(の筈)
閲覧ありがとうございました
コメント
3件
わー!!とても好きです🫶🏻😭水さんが赤さんを溺愛…?してる感がたまらんです!!
💎くん耐えられ行けるのすご、、 見てるだけでこっちは痛すぎる、 💎🐤の尊いを楽しみにしときます💞 続き楽しみです♪
水彡相変わらず狂っていらっしゃる…✨✨(T^T) 爪剥がされたり針刺されても悲鳴を上げない体が凄すぎるわ… 水赤の絡みが楽しみすぎる…( ◜ ꒳ ◝ ) お体に触らない程度に執筆頑張ってください🙌 応援しています💪💪