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書き終えた本を棚にしまう。
下の階から夕食の準備を手伝うように言われて、返事をしながら部屋の電気を消した。
扉を閉めて、俺は階下に向かう。
その後の部屋。
本棚にしまったはずの本が少しずつ棚から出てきて、そのままバサリと床に落ちた。
背表紙を床にして綺麗に開いた本の最後。
『君が約束を忘れないように_らっだぁ』
その一文に、クスリと笑みをこぼす。
きっと、君はまだ不安だったんだね。
ふわりとどこからともなく風が吹いて、机の上の羽ペンがひとりでに動き出す。
少し子供っぽい字で、文が書き出された。
『君が幸せな夢を見られるように』
少し躊躇って、ゆっくりとペンが動く。
『_みどり』
・ ・ ・
その日、その瞬間。
らっだぁは食べていた唐揚げを箸ごと取り落として、扉に右肩を強打して階段でずっこけた後、勢い余って自室の扉に頭突きをしたらしい。
慌てて跡を追う運営たちの心配の声にもロクに返事をせずに扉を開けると_
「おはよう、らだおくん」
無邪気に笑う、優しい幽霊がいたそうだ。