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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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88日目

 

 

今から1泊2日の旅行に行ってくるね。

 

 

楽しみだな…行ってきます

 

 

 


 


「あっ、奏~!待ってたよ!!」

 

 

『ご、ごめんね…息切れ…ッ…して…途中…水を……ぜぇ、ぜぇ…』

 

 

「大丈夫…?」

 

 

『今は……少し…』

 

 

「ま、まぁ…もうホテル目の前だもんね!入ろっか!」

 

 

「うんうん!ウェルカムドリンクに紅茶とかジュースとかあるみたいだし!」

 



「もしかして絵名、それ目当てで来たの…?」

 

 

「はぁ!?ち、違うから…!」

 

 

『…ふふっ』

 

 

他愛もない会話。

 

でもそれが、好きだったりする。

 

 

(もう少しでこういう会話も聞けなくなるんだ…)

 

 

  

ちょっとだけ、寂しかったりもする 

 

 

 

ーーーーーーーーーーー



 

ホテルは4人専用の部屋を借りたらしく、4人でも広すぎるぐらいだった。

 

 

『広いね……』


 

「わ~い!ベッドにダイブ~♪」

 

 

瑞希は嬉しそうにベッドにダイブする。

そしてそのまま横になり微笑んでいた。

 

 

「ホラホラ~皆もダイブしようよ~」

 

 

「はぁ!?そ、そんな事…私はしないから!」

 

 

「ホコリが飛ぶから私はいい。」

 

 

「えぇ~…でも絵名はしたそうだけど?」


 

「は、はぁ?そんな事……」


 

絵名はふかふかのベッドから目を背ける。

 

 

『…せっかくだから、ダイブしたら?』

   

 

「奏まで……、し、仕方ないわね…ダイブ…するから!! 」

 

 

絵名は勢いよくベッドにダイブした。

 

 

『どう?ふかふか?』 

 

「何これ…ふかふか……寝そう…、」

 

 

「あ~ダメだよまだ寝ちゃ!これからディナーとお風呂と夜食が待ってるんだよ!!」

 

 

「そ、そうだった…起きなきゃ……でもベッドで寝てたい…」

 

「絵名、早く起きて。」

 

 

「も~…瑞希、起こして~」

 

 

「何でボク!?……もう、、、よいしょっと!」

 

 

『…ふふっ、楽しそうだね』

 

 

「……奏は、楽しくないの?」

 

 

『え…あ~…、楽しいよ、?まふゆは…楽しくないの、?』

 

  

「…まだ分からない。けど……楽しくなると思う、」

 

 

『…そっか、そうだね……』

 

 

 

―――

 

 

『ふぅ…ご飯、美味しかったね』

 

 

「うんうん!お風呂も気持ちよかった!」

 

 

「だね~!…あ、奏!ちょっとさ…来てくれない?」

 

 

『え?どこに、?』

 

 

「いいから、付いてきて」


 

『えっ!?わ、分かった…、、?』

 

 

ーーー

 

 

『ここって……』

 

 

「ホテルの屋上!…いや~お金はちょっと消えつつあるけど……、、思い出の方が大事だしね、!!」

 

 

『え、そんな態々しなくて良かったのに…』

 

 

「大丈夫、私達の親が出してくれてるし!」

 

 

「まぁ、心配しないでいいよ。」

 

 

『わ、分かった……?』

 

 

「……それでね奏っ!奏にボク達から渡したい物があるんだ!」

 

  

『……、?』

 

 

瑞希がプレゼントボックスの様な物を取り出す。

 

 

『これは…?』

 

 

「奏へのプレゼントだよ!…開けてみて!」

 

 

『………………わっ、!紫色のリボン…可愛い…』

 

 

「じゃーん!実はニーゴ皆お揃いなんだよ!」

 

 

まふゆと絵名も似たようなリボンを取り出す

 

 

「瑞希、凄いわよね…可愛いし…これを手作りって……」

 

 

『え、手作りなの!?凄いね……』

 

 

「えっへへ~」

 

 

「…じゃあ、私からは 」

 

 

まふゆはスマホを取り出し、何かを再生する。

 

 

~♪

 

 

『わぁ…!』

 

 

優しくて、暖かい音色。

 

でも何処か寂しさやダークな所もある。

 

それがまふゆらしいな…と思う

 

 

 

~♪……

 

 

『すごいね…まふゆ1人で作ったの?』

 

 

「うん、歌詞は時間が無くて作れなかったけど…後で、作る予定だから」

「後でこの曲奏にも送っておく」

 

 

『本当?楽しみにしてるね!凄く…いい曲だったから』

 

 

「うんうん!MVも付けてあげるよ~」

 

 

「なら私のイラストもあげるけど?」

 

 

「別に大丈夫。」

 

 

「はああ!?」

 

 

『ふふっ…嬉しいな』

 

 

「……あ、なら私からも!」

 

 

絵名は1枚のイラストを差し出す。

 

 

『わ、凄い…!これってもしかして、ミステリーツアーの景色……?』

 

 

「そう!さっすが奏~♪」

 

 

『綺麗だね…桜も細部まで細かく描き込んであって……思い出が蘇ってくるよ』

 

 

「ふっふん」

 

 

「うわ~ドヤ顔」

 

 

「……絵名、嬉しそうだね」

 

 

「え!?…そりゃあそうでしょ!奏に褒められてるんだから」

 

 

『……ありがとう、皆。すっごくうれしかったよ、大切にするね』

 

 

「……あ、待って!最後に1つだけ言わせてよ」

 

 

『、?』

 

 

まふゆと絵名と瑞希は、私の前に立つ。

 

真剣な眼差しをしていた。

 

 

(な、なんだろう…?)

 

 

「……奏、奏は今死にたい?消えたい?」

 

 

『え…』

 

 

突然現実に引き戻された感覚になる。

 

 

今さっきまでは、幸せなユメに浸っていたような物だ。  …結局、帰ったら死ぬまでのタイムリミットが進むだけ。

 

 

だから…浸っていたかったのに。

 

 

なのに、

 

『何で急にそんな事……』

 

 

「…ただの質問よ。どっちなの? 」

 

 

『え、えっと……、』

 

 

「…奏自身が1番分かってる筈だよ?」

 

 

『っ……』

 

 

ただ 死にたい 、 消えたい 、 と言うだけでいいのに。

 

 

なのに…なのに、言えない。

 

 

ただ簡単な事なのに。何で……、

 

 

『っ…』

 

 

「正直に言って欲しい、…受け止めるから」


 

『……死にたい、消えたいの』

 

 

私の目は真っ黒に染まっていたと思う。 

 


でも3人は、動じなかった。

 

 

「そっかぁ…その気持ち、よ~く分かるよ」

 

 

「そうね……私も少し前までは同じだったし」

 

 

「うん、…分かってる」

 

 

『……、』

『でも、聞いてどうするの…?何もならないのに…意味なんか、ないのに……』

 

 

「ん~…まぁボク達は奏にも生きて欲しいからね」

 

 

『うん…、、?』

 

 

「だからさ~!」

 

 

瑞希は私の手を掴み、まふゆは私の手に持っていたプレゼント達をいつの間にか持っていた。

 

 

『え、え…?』

 

 

訳も分からず困惑していると、絵名が屋上の扉を開ける。そして瑞希は私の手を引き走る。

 

 

『な、何?鬼ごっこでもするの……?』

 

 

「違うよ~!」

「……これはね、生きる為に必要な事なんだよ」

 

 

『……?』

 

 

またまた更に困惑して立ち止まっていると、まふゆと絵名が私の背中を押す。

 

 

『わっ…な、何するの……?』

 

 

「ふふん…よ~く聞くがいい!」

 

 

瑞希はニヤリと笑うと、私の手を更に引き階段を駆け下りる。

 

 

『、?』

 

 

「これはね! 」

ボク達の生存逃走だよ!

 

 

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