テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
久々に逢ったケンは、少し髪が伸びていた。
でも、変わらない笑顔・・・。
笑った時に小さくなる目が絵里は大好きだった。
懐かしさに胸が苦しくなる。
そしてケンは、絵里と夏くんの方を見た。
二人の間の時が止まる―――。
絵里はゆっくりとケンの方へ向かっていった。
「ケン。
今までありがとう。」
ケンは下を向いて唇を軽く噛んだ。
これは少し困った時や動揺しちゃった時の無意識の仕草だ。
絵里は続けて言う。
「もう、苦しまないでいいよ。ごめんね。
東京で頑張ってね。
あ。あとね、これ、お守りにして。」
クリスマスに渡す予定だった指輪をチェーンに通したネックレスを渡す。
ケンと目が合う。
涙が出そうだった。
まだ好きなのって伝えたくなった。
でも、胸の中に押し込む。
よりを戻したって、お互いツライだけってわかるから・・・。
もう、戻れない。
後はいい想い出にして終わらせる。
『絵里、俺はまだ――』
「じゃあ、またね!
頑張ってね!!」
ケンが何か言おうとした言葉を遮った。 何を言うのかわかったから・・・。
その言葉を聞いたら止まれない。
お互いツラくても、一緒にいたくなる。
ケンが東京へ行くことも許せなくなる・・・。
ケンの幸せを願いたい。
東京で頑張る事を応援したい。
・・・その為には戻れない。
ケンは少し黙った後、いつもの笑顔で『これ、ありがとな』と言ってネックレスを付けた。
絵里はケンに背をむけて歩いた。 そしてドアを開ける。
外に出た瞬間、目の前がぼやけた。
そして頬を涙が伝っていく。
「頑張ったじゃん」
そう自分に言いたかった。
翌日、ケンは地元を離れていった。
胸には絵里が渡した指輪がキラキラ光っていた。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!