イチャイチャ続きます。
目の前に並べられた料理にとてつもない飢えを感じて次から次へとかき込んでいく。
「ちゃんと噛んで食べないと胃に負担がかかっちゃうよ」
その食いっぷりに涼ちゃんが呆れて苦笑する。
用意された料理だけでは飽き足らず、冷蔵庫に入っているものにまで手を出してようやく空腹の方はおさまってきた。
俺は満足そうにふぅっと息を吹き出す。今度こそ身も心も満たされた気がする。
「元気になったねぇ」
よかった、と言って涼ちゃんはそんな俺を優しく見守ってくれていた。
そんな時、ふとある事に気づく。
「ねぇ、例の涼ちゃんを襲ったプロデューサーってどうなったの?」
「えっ?その場では若井に蹴り飛ばされて意識失ってたけど、後から地方に飛ばされたって聞いたよ」
それがどうしたの?と不思議そうに涼ちゃんが首をかしげる。
「俺の目の届く範囲にいるなら改めて俺から鉄槌をくらわせてやりたかったなぁって」
精神的に落ち着き、冷静になった今、怒りがふつふつと湧き上がってきたのだ。
薬で身体の自由を奪ってまで涼ちゃんに手を出そうとするなんて…。
たまたま若井が見つけてくれたからよかったようなものの、もし気づかれないままだったらと思うと冷や汗が止まらない。
「若井にお礼言わなきゃな…」
「そうだね。今回もぶっ倒れてすっごい心配かけたんだから、それもちゃんとあやまるんだよ」
若井との絆はこんな事では切れない確信はあるが、今回は勝手に暴走していろんな意味で思いっきり迷惑をかけまくってしまった。
ガックリと肩を落とす俺の頭を涼ちゃんはなぐさめるように撫でてくれる。
「若井だったら大丈夫だって」
そう言って笑う涼ちゃんにちょっとだけムッとする。
「ずいぶん若井の事信頼してるんだね」
「当たり前でしょ〜。若井いい男だもんねぇ」
なんだかおもしろくない。
無言で席を立って座っている涼ちゃんを後ろから思いっきり抱きしめる。
「元貴。何すねてるの。もうかわいいんだから」
若井が『いい男』で俺が『かわいい』なのも気に入らなくて唇が尖ってしまう。
「…恋人が他の男褒めてたらやっぱり気分悪いでしょ」
「なに言ってるの。元貴だって若井の事信頼しまくってるくせに」
確かに家族を除いたら誰よりも信頼している。いや、家族以上に?…でも本当に『いい男』なのを知っているだけになんだか気分が悪い。
「でも!涼ちゃんは俺の恋人になったんだから、たとえ若井でも他のヤツ褒めたらダメなの!」
俺のその言葉を聞いて涼ちゃんはお腹を抱えて爆笑する。
「今回の事といい、元貴がそんなやきもち焼きだなんて初めて知ったよ」
「うるさいなぁ。別にいいでしょ」
抱きしめた肩口に額を押し付けてすねたようにつぶやく俺に、涼ちゃんは振り返って俺の両頬に手を添えながら優しくキスしてくれた。
「大丈夫。俺は元貴の事が大好きだよ。他の誰にもよそ見なんかしないから安心して」
そう涼ちゃんに言われて勝手に頬が緩んでしまった俺の頭を涼ちゃんはぐしゃぐしゃと撫でる。
「やっぱりかわいい!」
「かわいいってなんだよ。もしかしてバカにしてる?」
自分でもかっこ悪い事言ってる自覚があるので恥ずかしくなって涼ちゃんの手から逃れようとするが、今度は涼ちゃんに抱きしめられて動けなくなってしまった。
「なに言ってるんだよ。俺は元貴のかわいさにやられて好きになったんだから」
縋り付いてくる元貴に、泣きながら眠る元貴に、安心したように微笑む元貴に…。
「なんかそれ、情け無くてかっこ悪いトコばっかりじゃん」
じろりと涼ちゃんをにらみつける。
「俺はねぇ、そんな元貴に何かしてあげたくなっちゃうの。何でも望みを叶えてあげたくなっちゃう。もう元貴のかわいさに全面降伏なの」
「なんだよそれ…」
「知らないの?『かわいい』って最強なんだよ?」
そう言って明るく笑う涼ちゃんに俺はため息をつきながら、まぁ涼ちゃんが好きって言ってくれるならいいか、と自分を納得させる。
「でも、じゃあ20年後30年後オッサンになってかわいくなくなったから嫌い、なんて言わないでよね」
「ば〜か。元貴のかわいさは見た目じゃないから大丈夫だよ。…まぁ見た目もかわいいけど」
これからもずっと好きだよ。と言いながらキスをしてくれる涼ちゃんに「俺も」と答えながらキスを深くした。
ずっと欲しくてたまらなかった本当に優しい時間を俺は手に入れた。
この2人の話しはここで終わりです。ハッピーエンドだけど、なんか涼ちゃんよりもっくんがかわいいで終わっちゃいました😅
まぁ発想元がBFFなので…
この後、最後ににひろぱ視点のお話しを加えて本当に締めになります。
コメント
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おぉ✨続きがあるのね! 楽しみにしてます!