撮影が終わって楽屋に帰っても阿部ちゃんはまだ怒っているみたいだった。
口も聞いてくれないし目も合わせてくれない。
急に抱きしめたから気持ち悪いと思われたんだろうな…、
目黒)(どうしよう完全にあべちゃんに嫌われちゃったじゃん…)
一生懸命目を合わせようとしても、また顔を赤くしてそっぽを向いてしまう。
そんな様子を見て、鋭いしょっぴーは何か勘付いたらしい。
ニヤニヤしながらこちらへやってきて小声で話しかけてきた。
渡辺)お前、阿部ちゃんと何かあったの?
目黒)…何で?
渡辺)いやー、何となくだよ。何となく。
そう言うとしょっぴーはいやらしい笑みを浮かべながらまたどこかへ行ってしまった。
目黒)(なんでしょっぴーわかるんだろ…、)
阿部ちゃんの方を見るともう着替え終わってさっさと帰ろうとしていた。
帰りしな振り向いた阿部ちゃんとまた目が合ってしまい、顔を真っ赤にした阿部ちゃんが逃げるように出て行った。
俺も慌てて目を逸らし荷物をまとめる。
まあ、でもきっとすぐ忘れるてくれるだろう。
阿部ちゃんは俺のことなんてどうも思ってないんだから…、
だけど、俺の予想は外れた。
仕事で楽屋に入った時挨拶をしても、目を合わさずに小さい声で「おはよう…」と言ってくるようになったし、
俺が話の輪に入ると「トイレに行ってくると言って逃げるようにどこかへ行ってしまう。
結局あれ以来ほとんど話していない。収録でも俺の事に極力触れないようにしているようだった。
目黒)(マジでどうしよう…、)
阿部ちゃんと話さないようになって一ヶ月ほど経った。
もう阿部ちゃんが俺のことを待ち伏せすることもなくなっていた。
流石にこの空気はいけないと思って今日はいつもより1時間以上早く楽屋に向かった。
今日はそれスノの収録。
阿部ちゃんはいつもメンバーの中で1番楽屋に着くのが早いのだ。今日もきっといるはず。
楽屋につき扉をそうっと押し開ける。
ドキドキしながら部屋に中を覗くと私服姿の阿部ちゃんの後ろ姿が見えた。心臓が大きく跳ねる。
どうやら今到着したようだ。
荷物を置き着替えるのかと思ったら、
驚いたことに阿部ちゃんは俺の化粧台に向かい、置いてあった俺の衣装をギュッと抱きしめた。
急なことで脳が追いつかずにいると彼は俺の衣装に顔を埋めた。
そして、泣いていた。
俺の衣装に涙がつかないよう顔を上げ、自分の袖で涙を拭う。
がたんっ
目黒)っ…!
まずい。置いてあった椅子に足が当たってしまったらしい。
阿部ちゃんがハッと顔を上げる。
阿部)めめっ…!?
阿部ちゃんの顔が見る見るうちに赤く染まっていく。
目黒)あー…、お、おはよう…、
阿部)見てたのっ…!?
目黒)いや、今来たとこで…、、本当にちょっとだけ、見ちゃったっていうか…、
阿部)っ…!
阿部ちゃんの目から大粒の涙が溢れ出し、頬を伝っていく。
目黒)あ、阿部ちゃん!?
慌てて駆け寄ろうとすると彼は両手で顔を押さえ、俺を押し除けるようにして楽屋から走り出ていった。
目黒)待って、!
絶対に彼を逃したくない。もう今みたいな関係は嫌だ。
拳を握りしめ俺も阿部ちゃんの後を追って楽屋を駆け出して行った。
佐久間)え?どういうこと、どういうこと?
一方その頃、楽屋に着いた佐久間くんが2人が飛び出していった後ろ姿を眺めながら、途方に暮れていたとさ。
続く…、
短くてごめんなさい。
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