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この第1話、すごく良かったです。主人公の「誰にも見せられない小さな願い」をノートに綴るという繊細な心情描写に、一気に引き込まれました。朝倉くんがあのノートを見て「素敵だと思った」と言った瞬間、胸が熱くなりましたね。自分の秘密を否定されずに肯定されるって、本当に救われる瞬間だと思います。雨のシーンでノートの妄想が現実になる流れも美しくて、続きが気になります。
私は、人付き合いが少し苦手だ。
話しかけられれば嬉しい。
でも、自分から輪の中に入るのは勇気がいる。
だから、放課後の誰もいない教室が好きだった。
窓際の席で、私は一冊のノートを開く。
淡い水色の表紙。
そこに書いているのは、誰にも見せたことのない秘密。
漫画のような恋に憧れた、私の小さな願い。
『雨の日、傘を忘れた私に気づいてくれる人がいたらいいな』
『頑張った日に、“ちゃんと見てたよ”って言ってほしい』
『寒そうにしていたら、何も言わずに温かい飲み物をくれる人がいたら嬉しい』
『名前を優しく呼ばれるだけで、特別な気持ちになれそう』
そんな、些細なこと。
でも私にとっては、大切な夢だった。
翌朝。
私は鞄の中を見て、青ざめた。
「……ない」
ノートがない。
昨日、教室に置き忘れたのだ。
よりによって。
あのノートを。
⸻
「白石さん」
名前を呼ばれて振り返る。
そこにいたのは、朝倉湊くんだった。
学校で知らない人はいないくらい人気の男の子。
優しくて、誰にでも笑顔で。
困っている人がいたら、自然に手を差し伸べる。
そんな人。
「これ、落ちてたよ」
差し出されたもの。
水色のノート。
「……!」
慌てて受け取る。
「ありがとうございます……」
でも。
湊くんは申し訳なさそうに言った。
「ごめん」
「少しだけ、中が見えちゃった」
顔が熱くなる。
「……変ですよね」
「え?」
「こんなの……」
私は俯く。
「こんなことされたら嬉しいって、子どもっぽいですよね」
すると湊くんは、優しく首を振った。
「変じゃないよ」
「むしろ、すごく素敵だと思った」
「素敵?」
「うん」
湊くんはノートを見る。
「白石さんが、何をされたら嬉しいのか分かるから」
その言葉に、胸が温かくなった。
⸻
その日の帰り。
突然、雨が降った。
「……傘、忘れた」
呟いた瞬間。
「白石さん」
振り返ると、湊くんがいた。
「一緒に帰る?」
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#地雷系
開かれた傘。
まるでノートの中の一場面みたいだった。
「でも……」
「嫌だった?」
「違います」
私は小さく首を振る。
「嬉しいです」
湊くんは笑った。
「よかった」
雨音の中。
初めて、誰かと並んで歩いた。