「のだ」 大漠波新
feat .ずんだもん .初音ミク .重音テト
滝綾 (仙綾)
「なぁ兵助」
「なぁに勘ちゃん」
「綾部ってさ_____?」
「あぁ、確かに_____」
まただ
「おい仙蔵 、喜八郎がまた___」
「なに 、それは_____」
またみんなが 。
みんながボクの話をしている
最後までは聞けないけど 、
きっといい思いはしないんだろう
また 、やっちゃった 。
これじゃあ 、滝の隣には立てないな
こんなはずじゃなかったのに
立花先輩が代わりに怒られることも
ボクが怒鳴られるのも
全部願っていたわけが無い 。
いつもいつも偽るせいで
ボクがボクじゃ無くなっちゃったみたい
本当は 、穴掘りが好きだったんじゃない
穴を掘ればこの思いも
全て掘り出せると思ってたから
ボクは 、いつまでも滝より劣っていて 、
それでも優秀ではいけなかったから
ボクは 、自分を偽ってでも愛してほしかったから
だからこれが 、ボクのありのままなの?
私が最も守らなければならないあいつは
いつも私を嫌っている 。
だけど 、理由は言わずと知れた 。
それは私の家が平家の一族であり 、
喜八郎を最も苦しめていた一家であったから 。
喜八郎とはじめてあったのは 、
歳は七つくらいだった 。
綾部家は喜八郎を売ろうと考えていた 。
そして何かの縁で御祖父様の目に止まり 、
御祖父様はお優しく喜八郎を家に招いた 。
そこで 、半月程度だろうか
喜八郎は孫同然として少々共に暮らしたものだ
後から聞いた話でも 、御祖父様は
南蛮人形のような可愛らしい姿の喜八郎を
大きくなった時にそのようなことを….
と考えて引き取ったのだと父上が仰った 。
正直 、言葉を失ったものだったが
そのおかげで喜八郎と会えていることもあって
仕方なしと感謝をしている 。
でも 、御祖父様はある戦によって戦死された
それからは父上が一番上に立つことになって
そこからだろうか 、私達に亀裂が入ったのは
その日は何事もなく 、私は寝坊助な喜八郎を
起こすべく少し離れた部屋を訪れた
そこには 、右頬を真っ赤に腫れて
侍女に女物の浴衣を着付けられている喜八郎の姿
『….喜八郎はなんでそんな姿をしてるんだ?』
恐ろしくも幼い心は純粋なもので
気になったものは聞くしか無かったのだ
僕が聞いても 、喜八郎は答えようとしなかった
その瞬間 、バチンッと
喜八郎の小さな手を侍女長が棒で叩いて
“綾華様!!お坊ちゃまの前で
無礼をするんじゃありません!!”と言った
綾華様??
私は今喜八郎と話しているんじゃないのか?
おかしく思い 、もう一度喜八郎と名前を呼んだ
すると 、酷く怯えた目が私を捉えた
びくびく震える唇がそっと口をひらく
「….滝 。これからは
ぼ..私のことを 、あやかと申し下さい …. 」
意味か分からなかった
何故喜八郎が女などになるのか
何故私に敬語を使うのか
何故叩かれていたのか
知りたいことは全て 、その日の夜知らされた
『失礼致します 、父上』
「入れ」
そう行って 、入ればぶわっと酒の匂いがきて
クラクラしてしまうほどだった 。
でも 、いつものお呼び出しとは少し違くて
目の前には南蛮衣装をまとった美しい女性が居た
彼女は喜八郎の母だそうだ 。
「ほれ 、挨拶せんか」
『…..はじめまして 、滝夜叉丸と申します』
頭をあげれば 、ジロっと私を舐め見る
女性の姿がいて寒気を感じた 。
その瞬間 、女性は言った 。
「Isso também vai ficar bom para Alice」
“これならアリースィも大丈夫そうね”
そう言ったらしいが私はなんも理解ができなくて
父上が簡潔に訳してくださった 。
アリースィというのは 、
そっちでの喜八郎の名前だそうで
高貴な女 、品のある人を指すようで
どうも喜八郎とは程遠いのではと思った
でも 、確かに朝の喜八郎の姿をみれば
何か忙しそうに礼儀を教わっていたと思う
それにしても 、今更喜八郎を捨てた親がどうして
ここに来たのだろう 。と怪しく思った
すると 、それを見かねた父上が笑いだした
「クククッ 、そう睨むな滝夜叉丸」
「喜八郎 、今は綾華だが
奴はお前と血が繋がっていない故
平家の末裔にはなれない 、よってお前の
滝夜叉丸の嫁にしようと思う」
お前だって嬉しいだろう?と言われて
この上ない殺意が湧いた 。
喜八郎の意思はどうなる?
私がひっそり小さく思っていたあの思いは
こんな形で無理矢理叶うことになるなんて
そう思いつつもその日の夜は
父上と喜八郎の母と盃を交わした
そこからというものの 、
喜八郎は綾華として女として生きていった
喜八郎はすっかり女性っぽくなり
お姫様の様なその姿にますます魅了されていく分
以前のあの喜八郎を懐かしく思っていた 。
それでも喜八郎は諦めず
何度か父上に訴えていたが 、
父上はそれを気に食わなくて喜八郎を
何度も何度も叩き切りつけた 。
「お前は所詮貰いモノなんだッ
そして今は平家のモノだ!
私に従えないのなら今ここで去ね!!!」
そう言って 、去ね去ねと何度もねぶた 。
そこから 、喜八郎は壊れたように
言うことを全て聞いて 、欲も出さなくなり
まるで機械のようになった
父上が女らしく髪を伸ばせと言えば
あの短い毛もその時はもう肩を超えていて
父上が舞を踊れと言えば
扇子やら何やらを使い綺麗に踊ってみせる
父上が女らしく体型に気を使えと言えば
大好きだったお肉もすっかり食わず
野菜しか食べなくなっていた 。
もうあの頃の喜八郎とは
似ても似つかないほどだった
そんなのが続いた頃 、父上は
私と喜八郎を忍術学園に行かせた
喜八郎は急遽男を偽るようにと言われ
また 、忍術学園に入学した
そこで私は体育委員会に入り
基礎体力を高め体を鍛えるべく毎朝
走り込みやら鍛錬やらを精一杯行っている
喜八郎はというと 、私と同室なのにも関わらず
以前よりすっかり無口になって
私の話など一切聞く気もなくて
寝る時以外はほぼ一緒に居てはくれなかった
でも 、あの人が現れてから喜八郎は変わった
私がどれだけ望んでいたか知らない
あのくしゃりと笑うあの笑顔
いつも私を揶揄っては御祖父様に注意されて
分かりやすく拗ねるあの顔
他にも色々 、元の喜八郎が見える
そんな場面がいくつもあった
そう 、全ては立花仙蔵 。
あなたのおかげでもあって
あなたのせいでもある
それは 、はじめて喜八郎から話を
してくれた日だった 。
「滝 、聞いてよ」
『!?!
な 、なんだ??この滝夜叉丸がなんでもっ
「立花せんぱいって人がいてね
とってもかっこいいんだよ 。」
「同じ作法委員会なんだけど 、
優しく僕に寄り添ってくれて 、僕ね
はじめて先輩に僕の事を話せたんだ 。」
だから滝の先輩はどうなの?そう聞かれたが
その時の私は上手く返せていただろうか
きっと上手くは言えてなかっただろうな
私の許嫁でもある喜八郎が別の男にかっこいいと
言っているんだ 、いてもたってもいられん
一体 、立花せんぱいとやらはどいつだ
としか考えていなかっただろうな
また 、喜八郎の穴掘りは突如始まるものだった
委員会もない放課後 、何も言わず出たきり
夜になってもなかなか帰らず 、
桜木先輩や先生方 、先輩方を起こして
それはそれは大掛かりな捜索を行った 。
すると 、学園の端っこで
茂みの間に浅くて広い穴が掘られており
その中に喜八郎を見つけ出した 。
何故 、穴を掘ったか問いても喜八郎は
答えなかった 。でも 、そんなときに
すかさず喜八郎を褒めたのが立花先輩だった
「くはは!喜八郎 、よくやったな!
これほどの穴をその華奢でよく掘ったものだ」
「……そうだ喜八郎 、
落とし穴や罠を得てみてはどうだ?」
きっと 、その言葉が喜八郎の救いだった
久しぶりの愛を受けた喜八郎は
特段に立花先輩に懐いていた
その証拠に喜八郎は
毎晩 、立花先輩の話をするから 。
それでも 、日に日に
ありのままの喜八郎に戻った気がして
私はとてもうれしかった 。
でも 、それが私の思い込みだったなんて
知る由もないのだった 。
一年生に入ってはじめての休暇の日
つまりは夏休みに入った頃
私たちは家へ帰らないとならない 。
そこで 、喜八郎は強く拒否をした
無表情で無口だった喜八郎が
泣き喚いて癇癪を起こすほどだった
周りの先輩方は強く驚いていたし
立花先輩でさえ少々引いているというか
気を使っているように思えた 。
それを喜八郎は感じとったようで 、
やっと落ち着くようだった 。
そうして 、喜八郎の手を引いて
私は我が家へ帰って行った 。
家に帰れば 、また元通りで
綾華の状態の喜八郎になってしまう
『綾華』
そう呼べば 、酷く美しくまるで
紫の彼岸花の様に儚く繊細な姿が現れる
「なんですか?滝」
なんて 、嘘つきな笑顔を貼り付けて
また綾華を演じる 。
休みも終盤になった頃 、
ふと父上が喜八郎を夜呼び出した
何をするのかは分からなかったが 、
不敵な笑みを浮かべる父上に恐怖を覚えた
次の日 、お腹を痛そうに抱える喜八郎をみて
ただただ心配しかしなかった自分がバカバカしい
何も言えず 、できずにいる私に
酷く怒りを覚えたのはこの頃からだった
学園に戻れば 、普段の喜八郎に戻っていて
周りも 、休暇前のことなんて
対して覚えていないようだった
でも喜八郎は違っていた 。
まだ 、綾華が抜けていないかのように
嘘の自分を混ぜこみながら日常を過ごしていった
そんな姿から 、周りは喜八郎を気味悪がり
距離を置いたり関わるものが格段と減った
それでも喜八郎は嘘の笑顔を見せて
穴をより一層掘っていた 。
でもそれは 、三年に上がるころピタリと止んだ
今度は口が悪く生意気になっていた
落とし穴の腕を上げたことにより
多数の被害者がでて食満先輩や生徒達が
沢山の不満を喜八郎にぶちまけた
「落とし穴に落ちる方が悪いんじゃない?」
「目印に気付かないなんて 、
上級生として如何なんですか??」
「後輩の落とし穴にハマった 。だけの事で
そんなに怒んないで頂けますか」
「落ちたのはそっちなのに 、
負け惜しみなんて悔しくないんですかーー」
そんなのを言われてしまえば当然キレるだろう
喜八郎と縁を切るものや殴り掛かる者もいた
でも喜八郎は逃げずにそれを受け止めていた
そうしていくうちに
喜八郎を怒る食満先輩
喜八郎の代わりに謝る立花先輩
喜八郎の穴に落ちつつ手当をする善法寺先輩
そんなお決まりができて 、
私平滝夜叉丸も喜八郎を叱ったり
時に一緒に謝ったりだった 。
そんな騒がしい毎日も
また楽しく思う日だってあった筈だ
でも 、それでもやっぱり
元の喜八郎は見ることが出来ぬまま
四年生へと上がってしまった 。
三学年にそれぞれ後輩が出来て
喜八郎も少々成長を遂げた 。
今まで沢山お世話になった七松先輩率いる
六年生の皆様も今年でおさらばとなってしまう
そんな委員会前日の日
各委員会はそれぞれ六年長屋や五年長屋で
会議を行っている時 、大きな悲鳴混じりの声が
辺りに響き渡る 。
「ボクを知ったふうに言わないで!!!!!!」
その声を辿るべく 、
私や七松先輩はその部屋を大きく開いた 。
そこに居たのは 、息が切れるほどの喜八郎と
冷静を保ちつつ思案している立花先輩の姿が
あり 、お互い見つめ合ったままだった
その後すぐさま善法寺先輩 、食満先輩 、
中在家先輩に五年生の方々
三木ヱ門までもが集まった 。
『…喜八郎 、?どうしたんだ 。』
なんて聞けば喜八郎はばっとこちらを見て
すぐさま目線を下に戻した 。
その後すぐさま立花先輩が口を開いた
「またそうやって現実から逃げるのか」
「ちょっと仙蔵 、」
「止めるな伊作 、喜八郎の為にならん」
そう冷たく言えば立花先輩はまた喜八郎に問いた
「喜八郎 、私はありのままのお前に会いたいぞ
一年生のあの夏休み 、お前には何が起きた」
次の瞬間 、ガシッと喜八郎の細い腕が
立花先輩の襟を強く掴み睨み付けた
「なに掴んで終わりか?….なぁ!」
強く 、それは鈍く部屋に響いた
立花先輩がはじめて喜八郎を傷つけたものだった
頭突きをされておでこを抑える喜八郎に
今更駆け寄るものは居なくて
ただ 傍観するだけだった 。
「逃げるな綾部喜八郎!!!」
「お前は誰だかハッキリしろ!
何がしたくて何がしたくないか
私達にどうされたいか全て言え!!」
「それが出来ないなら私と勝負だ」
それはあんまりだ
喜八郎には無理だ
弱いものいじめじゃないか
と全員が止めに入るが立花先輩は立ち上がって
縁側を出て振り向いた 。
「さぁ 、来い喜八郎」
その瞬間 、喜八郎が立花先輩に食らいつく
涙を流し何度も何度も鋤を先輩に振り上げる
「それがお前の本気か?」
「お前は所詮そんなものか?」
「お前にはがっかりだな」
なんて煽る立花先輩に向かって喜八郎は
うるさいと何度も叫びより一層殺意を向ける
それでも今まで女として生きていた身として
体力の限界があって 、疲れ果てた喜八郎を
見据えつつ容赦なく腹を蹴る立花先輩
「立て 、喜八郎じゃないのなら
私だって容赦はしないぞ」
その言葉を聞いても喜八郎は口を開かず
フラフラと立ち上がりまた鋤を構える
駄目だ
ふとそう思い叫んだ
『辞めろ!!綾華!!!!!!』
呼べば喜八郎はピタリと動かなくなって
ぎぎぎと鈍くこちらをみた 。
綾華?と皆がはてなを使う中 、
私は喜八郎に近づいた 。
「たき…?」
『なに馬鹿なことをしてるんだお前は..!!』
「なんで 、その名前を使うの..?」
『今はそんなことはっ』
「そんなこと??ふざけんなよ…」
「ふざけんなよ!!!!」
喜八郎に押され七松先輩に支えられれば
今度は七松先輩が喜八郎を叱る
それでも喜八郎は聞く耳を持たないまま
とうとう話をしだした 。
「ボクは 、その名前のせいで ..
綾華として生きていく人生のせいで
ボクの全てがぱーだ!!!」
「ボクのお母さんはポルトガル人で 、
ボクを捨てたくせに今度は帰ってきて?
女にさせることを許可するし」
「御義父様だって 、いつもいつもボクを
いやらしく見てきたと思ったら 、
一年生の夏休みの最終日 、ボクを襲ってきた」
『….は?』
『 今なんて言った?
私には 、お父上にあの日の夜
寝込みを襲われた様にしか聞こえんのだが』
そうとえば 、そうに決まってるでしょ 。と
信じられない答えが帰ってきた 。
「後処理分からなかったボクは
そのまま帰ってきて 、ましてやあんな事が起きて
誰も慰めて貰えないまま学園に戻ったんだよ
普通に居られないなんてわかってた 。
そしたら 、元の自分がわかんなくなっちゃった」
「立花先輩だって食満先輩だって竹谷先輩も
いつもいつも怒鳴って来て
鉢屋先輩はいつも意地悪ばかり 。
いつも先輩方は言うじゃないですか 、
“普通に生活をしろ”とか“反応が面白くない”とか
ボクは普通とか面白い反応とかわからないです
ボク 、綾部喜八郎の人生は
あの日で終わったんですから 。」
「…..喜八郎」
そう竹谷先輩が呟けば喜八郎が少し伏し目がちに
再度口を開いた 。
「別に 、先輩方は嫌いじゃないです
むしろ好感を覚えます 。
でも 、ボクは皆様の期待には応えられないし
迷惑をかけるばかりだから 。
だから 、もう僕には…..
その続きを遮るように
立花先輩が喜八郎に語りかける 。
「喜八郎 、お前はどうなんだ」
「何がですか」
「お前の閉ざされた心はどうなんだ 。
閉ざしたまま綾華として生きていくのか」
「…そのつもりです」
「そんなのをして今みたいに
ぶちまけてしまったらどうする」
「今度はそんなヘマはしないです」
「…はぁ 、全くお前は」
そっと優しく立花先輩は喜八郎を抱き締めた
今までそんなことがあったんだな 。
気付かなくてすまない 。
お前はさすがだな 。
なんて言葉をかける立花先輩を
強く抱き締め返す喜八郎 。
きっと 、泣いているのだろうか
するとぽとりとひとつずつだが
喜八郎は本音を話してくれた 。
「…ボクはボクなんです…」
「..あぁ 、勿論だ」
「ボクは喜八郎で綾華じゃないんです…」
「そうだな」
「それでもみんなは綾華を求めて 、
滝も綾華であるボクを愛してくれるから」
「….そうか」
「綾華は滝の許嫁なんです 。
滝のお嫁さんは完璧でないとじゃないですか」
「でもボク 、完璧じゃ無くなっちゃった 」
「僕は 、もう滝のそばにいれないの..?」
「…..そうだな 、それは本人に聞けばいい」
そう言って立花先輩は私に喜八郎を授けた 。
「…ひっく….うぅ 、たき….」
『え….あ 、き..喜八郎、、』
皆が見ている中 、泣いている婚約者を
よそに私の頭はぐちゃぐちゃだった
まさか 、嫌われていると思っていたのに
むしろその逆だったということ 。
今まで散々な目に遭ってきたこと 。
どうして気づいてあげれなかったのだ
そうグダグダ考えていると
ふとひとつの野次が飛んできた
「この意気地無しヤロー!!
そんなに勇気が出ないならこの私が!!
喜八郎を奪い取るぞ!!」
『…ダメに決まってるだろう!?』
『…….三木ヱ門のやつめ、』
まぁ 、ライバルからの後押しも偶にはいいものだ
そうして 、やっと喜八郎と向き合えば
未だに泣いており 、親指の腹でそれを拭う
『そんなに泣いては結婚式の日に泣けぬぞ』
そう言えば 、喜八郎は思いっきり顔をあげた
「…ぼくと結婚してくれるの..?」
何を当たり前なことをとそう思いつつ
ちゅとひとつ唇に落としてやれば
顔を真っ赤にさせながらおやまぁとひとつ零す
『さぁ喜八郎 、私が綾華ではなく
喜八郎を好きだということを証明するべく
少々部屋へ行きたいと考えているんだが?』
なんて言えば「んー 、30点」と
ふざけた答えが返ってくる 。
『まぁ 、そんなものは後でもできる』
『….喜八郎』
私は跪いて喜八郎に手を捧げる
『この平滝夜叉丸が態々頼むんだ
この上なく幸せな気分になるだろうな』
「早く言ってよ」
『まぁそう焦るな』
ひとつ深呼吸をして
とうとう言った
『喜八郎 、私はお前を愛している
それはもう出会った頃からずっと 、
お前を離すなんて惜しいことはしたくない』
『お前のことは私が命をかえても守り抜く 。
どうか 、私と共に過ごしてくれないか?』
なんて 、とうとう言ってしまい
恐る恐る喜八郎を見れば 、
またひとつの涙が流れていることに気づく
『どうしたんだっ…!?嫌だったか..??』
なんて 、焦りに焦って
どうすれば良いかと考えていれば
グイッと引かれて次の瞬間柔ない食感が
私の唇を捉えた
「….これが答えだよ 、ばか」
なんて去っていく喜八郎に
はあぁ、、としゃがみこみ顔を真っ赤に染めれば
七松先輩に抱き抱えられ振り回されて
中在家先輩や不破先輩には素直にお祝いをされて
久々知先輩 、竹谷先輩 、鉢屋先輩には
少し悔しそうにおめでとうと言われて
伊作先輩には忠告をされて
食満先輩には励まされて
三木ヱ門には嫌味混じりの
お祝いを貰って喧嘩をして
立花先輩とは最後 、よく話をした
「あぁ 、やはり平だったんだな」
『やはり..とは 、?』
「喜八郎はああ見えて詰めが甘い」
「素なんてよく見とけばわかる」
『!?』
「そこで喜八郎は別の者に
必死なことも分かっていた」
『….立花先輩 、』
「平 、もし喜八郎を泣かしたら私が容赦しんぞ」
『何を言いますか 、この私ですよ』
『平滝夜叉丸は嫁を泣かせる
愚か者な訳がありませんよ』
コメント
5件
あああ恵の小説だああああああああああ生きてて良かった‥
もう最高すぎます( ´›ω‹`)💕
本当にすいません🥲 修学旅行に行っていて全く書くことが出来ていませんでした🥲🥲 なので今週は下書きにしている話全て出す勢いで投稿していきますのでよろしくお願いします‼️‼️