コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
私
は大きく伸びをして、部屋の中に戻る。
ふと思いついて、スマホを手に取った。
写真アプリを開いてカメラを立ち上げる。
画面いっぱいに広がる朝日を見てから、私はシャッターボタンを押した。
パシャリ!と音がして、画面に切り取られた風景が表示される。
そこに映っているのは、白い壁紙を背景に、キラキラとした光の粒をまとって輝く、まるで天使みたいな自分の姿。
我ながら上手く撮れたなぁと思って、一人でクスッと笑った。
それから、今度は動画撮影モードにしてみる。
再び構えてから、窓の外に向けてシャッターボタンに指をかけた。
「おはようございます!」
小さな声でそう言ってみたけど、当然だけど何も聞こえないし、誰も返事なんかしない。
でもね、今の私はすごく幸せだよ。
大切な人が側にいてくれるだけで嬉しいし、こうして写真を撮ったり、何かをしたりすることが楽しいって思えるようになったんだよ。
だから、本当にありがとう。
これから先もずっと一緒にいて下さい――
そう願いを込めて、私はもう一度だけシャッターを押した。昨日までとは違う今日の始まりを告げるように、太陽の光が射し込んでくる。
ふと時計を見ると、針はまだ五時を指していた。
二度寝しようかなと思ったけど、結局起きてしまうことにした。
カーテンを開けると、部屋の中に朝日が入り込む。
まるで部屋の中が浄化されていくような気がして、心が軽くなった。
窓の鍵を外すと、そのまま一気に開け放つ。
冷たい空気が流れ込んできたせいなのか、鳥たちが一斉に飛び立った。
雲一つない青空が広がっている。ふぅっと息を吐きながら伸びをして、立ち上がる。
そのまま部屋を出て階段を下りると、キッチンからコーヒーの良い香りが漂ってきた。
足音に気付いたのか、お父さんが起きてくる。
「おはようございます。お父様」
「あぁ、おはよう。良い夢は見られたかい?」
「はい。とっても素敵な夢が見られましたよ」
「そうか。それは良かったね」
穏やかな笑みを浮かべながらこちらに向かってくる人影が見える。
そういえば昨日の夜、お母さんからメールがきていたような気がするけど……
やっぱり夢じゃなくて本当だったみたい!
「おはよう!」
「うん、おはよー」
こうして迎えた新しい一日は、これまでに経験がないくらい幸せに満ちたものだった――
***
「ねぇ、これ見て?」
「ん~? なぁに?」
「ほら、ここに貼ったシール覚えてる?」
「あぁ、懐かしいね。確か、幼稚園のお遊戯会で使ったヤツだよな」
「そうそう! よく残してあったよね」
「まぁ、こういう思い出の品を捨てるのは忍びないし……それにしても、本当に色々とやってくれたよな」
「えへへ、ごめんなさい。でも、喜んでくれると思ったんだけどな~」
「そりゃもちろん嬉しかったさ。俺達のために一生懸命考えてくれたんだなって思ったし。でも、まさかここまで大掛かりになるとは思ってなかったんだよ」