ホテルの寮に着くと、律は静かに華の部屋のドアを開けた。
背中に眠る彼女が目を覚まさないよう、そっと靴を脱いで中へ入る。
ベッドの脇まで進み、華をそっと降ろすと――彼女はまだ夢の中だった。
「……んぅ……律さぁん……」
寝言のように名前を呼ばれ、律の手が一瞬止まる。
(……本当に、手のかかる人だ)
布団を掛け直し、髪を耳にかけてやる。
眠る横顔は、普段の元気いっぱいの彼女からは想像もつかないほど無防備で、律の胸をまた揺さぶった。
律は小さく息をつき、ベッドの脇に腰を下ろした。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!