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『―という目撃情報があり、今も尚警察は調査を進めています。』
「どうなってるんだ!!日本は!!」
山口巡査が、机を乱暴に叩きながら叫ぶ。
それは世間で今起きている、
行方不明兼殺人事件が
史上最悪であり巧妙だからだ。
「巡査、落ち着いてください」
「落ち着いてられるかって、
影山!!意味がわからないんだぞ!!」
「…ですが、我々がこのまま
じっとしてるのも違います。
手がかりを集めましょう。」
「………分かっている!分かっているが…」
影山は『怪物』に関するデータを広げ始めた。
「見てください、この写真」
「…?」
その写真には大きな黒い腕と、
シマシマの角、
獣のような大きな耳がそれぞれ映っていた。
「…これを信じろってのか?」
「それしかありません、今のところは。」
「……………。」
「あなたの思ってることは分かります、
『信じられない』って」
山口巡査は大きくかっぴらいた目で写真を見て言った。
「…あぁ、こんなのアニメとかの話でしか聞いたことがない!!」
「それが、『化け物』です。」
「…今日も、このためにパトロールに行くのか?」
「当たり前です、野放しにはできません。」
山口巡査は黙って外に出た。
彼らはパトカーに乗り込み、
夜の東京を走る。
「………それにしても、少なくなりましたね〜、人」
「仕方ない、こんなニュースもあれば外も恐ろしくなる。」
人のいない江戸通りは閑散としていて、
なんだか不気味だった。
(これなら、怪物が出てきても不思議じゃないな。)
「………。」
パトカーは、静かに走った。
「がははっ、がはははっ!」
「みんな見てみろよ、食べ物が車に乗ってるぜ!」
「グフ…グフ…ワルクナ、イナ…!」
カスミはニコッと笑って、
巨大な岩をパトカー目掛けぶん投げた。
ズドンッ…バーンッとパトカーは大破した。
「ナイスだカスミぃ!」
「………!」
彼らは一目散にパトカーを壊し始めた。
「人間もあんまり壊れてない!喰らうぞ!」
潰れた人間を引っ張り出し、切り裂き始めた。
「…がは、これは食いやすい!ケーサツ?だったのか!」
「ヒ、デテ…」
「!!」
パトカーは爆発して空を舞った
「がははぁ!!花火みてぇ〜!!」
「…ノン、キダナ」
「呑気で何が悪ぃんだぁよ、
この食いもんどもがいる間は呑気だろ〜ぉよ」
「…フン」
バタッと、誰かが倒れた
「んぉ〜?」
樹は倒れたまま動かなくなってしまった。
「…融合が厳しかったか?
なかなか身体が強いと過信したな。」
バクンッと喰らいついた。
「…不味、融合したら美味しくなくなるな。」
「…」
「カスミ、よく食うな〜」
「…………。」
カスミは眉間に皺を寄せ、
口からぐちゃぐちゃの肉塊を吐き出した。
「やっぱ、不味いよな。」
誰かが自衛隊が、
国家権力が、
犯罪だと歌のように口ずさむ。
「僕には僕がいる。
僕にはカスミがいる。
カスミには僕がいる。大丈夫だ。」
「……………?」
「あぁごめんよ。気にしないでおくれよ。」
そう地球人が詠唱するならば、
僕は怪物の鎮魂歌を吠えてやる。