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ランス・クラウンと体調不良

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ランス・クラウンと体調不良

1 - ランス・クラウンと胃痙攣 ⚠嘔吐/胃痛

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2024年05月19日

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ランス胃痙攣 ドット看病

⚠嘔吐胃痛




ドットSide

始まりはシスコン野郎に対して、オレが怒りを

覚えたところから、──だったか。

「やっといてくれって言ったのテメェだろ!!」

「は、何のことだか」


何のことだか、とはどういうことだ?

アイツ自身が肯定して頼んできたことだ。

それを本人が忘れるだなんて、どうかしている。

本当にわからない、と言っているようだったものだから、刹那、不安を覚えた…否、覚えるべきだった。

その時は腹を立てていて、違和感に気付けなかった。


✩ ✩ ✩

結局、夜になっても

アイツは無視を決め込んでいた。

舌打ちは彼の耳に届かない。

紅茶の入ったカップも、飲まれなければただの液体を溢れんばかりとするただの物体だ。

それは、自身がいつもの習癖でふたつ注いでしまったうちのひとつだった。


冷めたティーカップが

たったひとつ、 テーブルの上。

装飾も繊細で、それが今はただ虚しい。


少しだけ寂しさを感じたというのは

実のところ本当だった。

そろそろ仲直りしてくれても良いのではないか。

仲直り?笑わせる。

所詮普段通りの喧嘩に過ぎなかったのだから。

そもそもオレは何ひとつとして悪いことをしていない。

今回ばかりは、断言できる。


癪だがこちらから謝るしかないのだろうか。

「はぁ…」

自然と、溜息がこぼれた。

それが空気の中に消え去るくらいの

明確な間を置いて、オレは口を開いた。


「…さっきは、…あー、悪かった」

「…」

無反応。

「…おい、聞いてんのか?」

「___」

無。


無視というのも合わず、彼以外そこに居ないのだとでもいうように、ただ青髪が明後日の方向を向いていた。

何だ?新手の嫌がらせか──?

それしか考えられなかった。



しかし、次の瞬間この考えは一蹴されていた。




「…ッ、う゛」

同室者はベッドの上で身体をくの字に折り曲げ、腹部を押さえて苦しそうに呻く。


「!?どうした!?」

焦燥感。

「っ、   何、でも な  い。

さっさと寝ていろ…!!」


鼓膜を掠めたのは震えた声。

それに、ギュッと強く手で押さえられた腹が痛々しい。

「はァ!?」




✬ ✬ ✬

ランスSide


今日はずっと胃に刺すような痛みや鈍痛が交互に起こっていた。

それに、目眩がした。

己の自己管理能力の低さを恥じた。


ぐらぐら、ふわりふわり。



一日中、ひとりで耐えた。

特に問題もなかった。


恥ずべき不調など人に言うことでもないし、第一、誰かに話したところで解決に至ることはないのだ。

別に大したことでもないと割り切った。


当然だが、会話に集中できる筈もなかった。

ドットはオレの気づかぬ間に机上を片付けてくれたようだった。

しかし、書庫から借り入れた魔導書や書類の所在が分からなくなってしまった。


「何をしてくれているんだ、困るだろう。

コレだから貴様はいつも…」

「やっといてくれって言ったのテメェだろ!」

何故かドットを怒らせてしまった。

机を片付けてくれと頼んだ覚えはないはずだが。


「は、何のことだか」

「…何でそうなるんだよぉ!」


もしかすると、否、もしかしなくともオレ自身が、頼んだことを忘れたのだろうか。ドットは素直に実行してくれたのだ。

だとすると_____。


悪いのはオレの方であることは間違いなかった。

あまりにも些末な__それにこちらに問題がある__喧嘩に発展した。



ふと普段考えないことを脳裏に浮かばせる。

アイツは意外にも繊細で、紅茶が好きで、仲間想いなヤツだ。非道いことをしたものだ、と自身でも思う。

気付いた時には後の祭り。


しかし。

謝るのも何だか癪で、そして無関係であるが胃や腹も痛くて、…

倦怠感も酷くて、考えるのも億劫で。

────兎に角、何もしたくなかった。


何となく切ない気持ちになって、自分のことがよくわからなくなる。

オレはこんな人間だっただろうか…。

目の前は依然として揺れている。

ガラにもなく、半ば助けを求めるようにドットの真っ赤な目を横目で視界に捉えたが、すぐに目を逸らされた。


どうして、オレは今寂しいと思った___?




窓から見える暗闇に、

粉状の魔法薬と紅茶に入れるミルクを零したような景色がうつる。それは無数の星屑で、明度は高く遠くからきらきらと瞬き始める。


間もなく就寝時刻。

オレたちは各々、自身のベッドに寝転がる。


痛みは更に激しくなる。

ぎゅう、と捻り潰されるような腹痛。

冷や汗が伝う。

「っ、」

背筋がぶわぁと寒気に襲われる。

顔は熱いのに、他が寒い。

内側からの痛みにはあまり慣れていないものだから余計に不安になる…

痛い、痛い痛い痛い────!!



胃も腹も全部ぎゅっと痛みに飲まれていた。

「…、う゛」

必死に手で口許を覆い声を抑えたが、

ドットの耳にまで届いてしまった。

「!?どうした!!」


「っ  何、でも な い 。

さっさと寝ていろ…!!」

「はァ!?」


迷惑を掛けるわけにはいかない。

自身に言い聞かせる。

そう、何でもないのである。

何でもない?そんな訳が無いだろう。

怖い。痛い。苦しい。辛い。

「何でも、な…   ~~~っ! 」



ドットは、なにかを呟いた。

空気が変わった気がする。

少しだけ離れた近い位置で、つまりドットのいる方から、布の擦れる音がした。

数歩分の足音。


「大丈夫か」

ひどく優しい声をしていた。そして、

痛むオレの腹に彼の手が触れる。



人肌の温度を感じとって

身体が温まるようで、少しだけ安心する。

「く、来るな、…、

っふ、、っあ、」

「あぁ。辛ぇな」


無意識のうちに、「いたい」だの「たすけて」だの、オレは馬鹿げたうわ言を並べながら呻いていた。


「大丈夫、大丈夫」

優しく擦ってくれるドットの手。


「い゙たい、痛ぃ゛、っは. ふ、

えく、ん、ひゅっ、ふ」

「ほら、息詰めんな。苦しいだろ」




─────!

途端、痛みが吐き気の信号に変わった。

「ん゙っ、ぇ、う……、ふは」

「!!吐く___?!起き上がれそうか、? 」

目に涙が溜まる。

薄く開けた視界はぼやけて、髪色の赤が見えた。


「ここで吐いていいよ」

やけに優しい口調だった。


しかし、気持ち悪さからえずくばかりで、吐くことはできない。あれ、どうやって吐くんだったか…?分からない、できない…気持ちが悪い、どうすれば…

「ゔ、っく、げほっんぇ…〰〰っ」


恨むなよ、とドットは呟いた。


「腹、痛いよなぁ。…少しだけ耐えろ」


そう言ってドットは、オレの腹を─────

「、許せ」

「い”  っ!ぐ、ぶ 、、ぇ゛

—-、ふ… う”ぇ、っ!!!」

────オレの腹を、グッと力いっぱい押した。

ぐるると再度喉が嫌な音を立てる。

「う゛ぇ、っげほ、、、ぅ、 .ん゙ぇっ」


びたびたとベッドに吐瀉物が広がっていく。

すでにどろりと溶けている。

「悪ィ、…ごめん、ごめんな。

これしか方法思いつけなかった」


部屋には饐えたにおいが立ち込め、頬には生理的とも感情的ともつかない涙が横に伝う。吐いたという事実。罪悪感に駆られた。

「え゛ぇ゙ッ 、は、ふ、ごめ…ん゙ぇ゛ぇッ」

「解ったから喋んな」

そう言ってまたオレの背と腹を優しく撫で擦ってくれる。


気持ちが悪い。どうにもしようがない。

そうこうしているうちに、そろそろ吐くものも無くなって、胃液や唾液ばかりが口内を苦く染めている。

「ぅぶ、、ふ、は、おぇ゛…ん゙ぇ゛ 」



ふと腹に置かれた彼の手の感覚がなくなった。

布団が落ちそうになったのを支えてくれたらしい。

おそらく近くにいるが、何となくひとりでいる気分になった。



ここまで吐くと、出すものがなくなってくる。

吐きたいのに、吐けない。

だからオレは、自身の口に深く指を突っ込むことで全て吐き戻そうとした。

「ん゙っ!!、ぐ、げほげほっ、お゛ぇぇ」

しかしそれは気分の悪さを助長するだけで、

実際何も吐き出すことは出来なかった。

空嘔吐は苦しい。


唐突。

「!何してんだよ!!?!!!」

突然の大声に驚き、身体をびく、と震わせる。

「…!!!、ごめ、」

「あ、いや、怖がらせるもりはなかったんだ…

体調悪ぃのにごめんな 」


オレだって、分かっていたら

やっていなかったと思う。

「すまな、いッう゛ぅ──、ふ、は、」

「そろそろ吐き気も落ち着いたか?」

「っ待、っ…」

「たぶんもう吐けねぇと思う」

「…」

「 一旦口濯ごうぜ、な?」



そう言ってアイツは立ち上がった。

遠ざかっていくその背中に不安を覚えた。


「ッ、ぃ゙、〰〰〰」

声を殺して耐える。戻したことでマシになったとはいえ、胃はまだチクチクと刺すように痛んでいた。



思考は痛みに支配され、回らない。




「常温でいいよなー?」


遠くからくぐもった声が聞こえる、気がする。


じょう、おん…と言ったか?


って、何だ…? あぁ、常温、か。…



「…ッあ゛…げほ、げほっ」


吐いたばかりで掠れる声。

返事のかわりに、くぐもった咳が出る。

それすらドットに届くことも許されず、

部屋の何処かにでも吸収されるかのようで…



部屋の中は吐瀉物の匂いと、

オレの呼吸音で埋められていた。



にしても胃が痛い。 吐いたことで喉が胃酸に焼かれたようだな。 熱いし、寒い。視界はぼやけ、ぐらぐらと夏の日の陽炎のように揺らぐ。










吐いたことによる体力の消耗。












オ  レ  は  意  識  を  手  放  し  た 。








つづく

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