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誰も知らない、高嶺の花の裏側4
第3話 〚途切れた映像と、朝の謝罪〛
澪視点
次の日の朝。
澪は目を覚まし、布団からそっと足を出した。
――その瞬間だった。
ふいに、胸の奥に“予知の映像”が流れこんできた。
けれど今回は心臓が痛くならなかった。
ただ、静かに、スッと頭の中に映像が映る。
西園寺恒一。
真壁恒一。
そして海翔と自分。
四人で普通に笑っていた。
まるで、ずっと前から仲の良い友達みたいに。
(……え?)
映像はそこで途切れた。
ちょうど、2人の恒一が澪に向かってなんて言おうとしているか、分からない所で。
なのに――澪は感じた。
(……心臓が言ってる。もう、恒一達は何もしないって)
安心したような、でも少しだけ警戒も残るような、なんとも言えない感情。
支度を済ませ、今日は一人で登校した。
雪はないけれど、冬の朝の空気は少し冷たい。
教室へ入ると、もう海翔達が席に着いていた。
「澪、おはよ!」
海翔はすぐに気づいて笑顔で手を振った。
その声が優しくて、澪の胸が少し温かくなる。
澪が海翔達と軽く話していた、その時だった。
教室の入り口から“2人”がこちらへ真っ直ぐ歩いてきた。
西園寺恒一と、真壁恒一。
2人とも目の下にクマがあり、顔つきは真剣で、迷いがなかった。
「澪さん……ごめん。」
西園寺恒一が先に頭を下げた。
続いて、真壁恒一も深く頭を下げる。
「……本当に、色々悪かった。反省してる。」
澪は驚きで声が出なかった。
だけど、2人の表情は嘘じゃなかった。
海翔を見た。
海翔は“決めるのは澪だよ”という優しい目で見守っていた。
その顔が澪にはすごく安心に見えた。
澪が返事を考えようとした、その瞬間――
また予知が流れてきた。
今度は西園寺恒一が泣きながら何かを伝えようとしている姿。
けれどその言葉が聞こえる前に映像は途切れた。
胸がきゅっとした。
でも、その涙の理由が“反省”だとすぐに分かった。
澪は静かに口を開いた。
「……大丈夫。もういいよ。許す。」
その瞬間、西園寺恒一と真壁恒一の表情が崩れ落ちるように緩んだ。
澪の優しすぎる言葉。
2人はその声に救われたように、深く息を吐いた。
こうして――
“冬休み明けではない1月”の朝、
澪は2人を本当に許した。
そして、ゆっくりだが、
“あの予知の映像に近づく未来”が始まった。