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誰も知らない、高嶺の花の裏側4
第4話 〚授業中のざわつきと、初めての会話〛
授業中。
澪は黒板を見ているはずなのに、頭の中はさっきの“予知”のことでいっぱいだった。
――泣きながら、自分に何かを伝えようとする西園寺恒一。
その表情は悲しそうで、必死で、胸がざわつく。
(……なんで泣いてたんだろう)
気になって、どうしても授業に集中できなかった。
先生の声が遠くに聞こえる。ノートの文字も途中で止まった。
授業が終わると同時に澪は立ち上がった。
(……聞いてみよう。真壁君なら知ってるかも)
そう思って、澪は真壁恒一の席へ歩いて行った。
「真壁君、少し…いい?」
声をかけられた瞬間、真壁恒一はわずかに驚いたように顔を上げた。
「澪? あ、うん。どうしたの?」
澪はさっきの予知のこと――西園寺恒一が泣いていた場面を思い出しながら、
慎重に言葉を選んで話した。
「西園寺君…大丈夫かなって、思って。」
真壁恒一は少しだけ目を伏せ、真面目な声で答えた。
「……あいつ、澪に許してもらえたこと、めちゃくちゃ嬉しかったと思うよ。
きっと、色々溜め込み過ぎてただけで。」
その表情は優しくて、友達のことを本気で心配しているのが分かった。
澪は、ふぅっと胸の奥が少し軽くなるのを感じた。
だが、その様子を――
教室の後ろからじっと見つめる存在がいた。
海翔だった。
(……めっちゃ話してるじゃん)
真壁恒一の席で澪が微笑んだり、話を真剣に聞いていたりするのが目に入る。
澪は気づいていない。
けれど海翔はずっと見ていた。
視線は完全に“安全確認モード”。
でもその目の奥には、ほんの少し…ほんの少しだけ嫉妬の色が混ざる。
(なんで俺、こんなに気になるんだ……)
モヤモヤが胸の奥で静かに膨らむ。
海翔は自分の感情を誤魔化すように、教科書を開いたふりをした。
澪が席に戻る頃、海翔はそっぽを向いて、澪の方から目を逸らした。
しかし耳はしっかり澪の足音を追いかけていた。
気付かれない程度に。
誰にもバレない程度に。
――海翔は、今日初めて“嫉妬”を知った。
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