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若き覇王に、甘くときめく恋を

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若き覇王に、甘くときめく恋を

219 - 番外編 貴仁さんと双児の結と誓と私の、スゥイートホーム EP.2「結と誓と、じいじと源じいと」③

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2025年07月07日

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「ところで、結と誓はどれくらいしゃべるようになったんだ?」


思いっきり前のめりで、子どもたちのことを覗き込む父に、


「お父さんたら、落ち着いてないと嫌われちゃうかもって、話したでしょ」


改めて念押しで口にする。


「おぉーそうだったな! わかっている、わかっているから。それで、一体どれくらい話すんだ?」


興奮冷めやらぬといった感じで、全くわかっている素振りの見えない父に、やや呆れ顔で傍らの貴仁さんを見やると、


彼がふっと顔を崩して、


「まだ言葉は少しずつですが、ママとパパは、ちゃんと言ってくれるようになりまして」


代わって答えてくれたことで、場は束の間に和んだ。


「そうか、パパとママはちゃんとか……」


うんうんと何度も頷いて見せた父が、


「……それで、じいじは?」


そう、身を乗り出して訊いてくるものだから、


「それで……って、」


と、聞き返して、どうにも先走るその有り様に、ついにはこらえ切れなくなって吹き出してしまった。


「うん? 何かおかしなことでも言ったか?」


大まじめで首を傾げるのに、クスクスと笑いが込み上げて止まらなくなる私を尻目に、


「パパ・ママの他にも、だいぶしゃべるようにはなったのだろう?」


父が貴仁さんへ話を振る。


「ええ」と、頷いた彼が、


「単語はだいぶわかるようになってきたので、良ければ”じいじ”と話しかけてみると、覚えるかもしれないですね」


人当たりのいい穏やかさでそう口にして、目を覚ましていた結を抱き上げると、父へ顔を向き合わせた。


すると、「おおー、それはぜひともやってみる価値ありだな!」と、言うやいなや、


「ゆーいちゃん、じぃーじって言ってみてくれるか?」


父が結を間近に見つめて、娘の私ですら聞いたことのない猫なで声で、さっそく声をかけた。


「じぃーじだ。ゆーいちゃん」


一心に言う父に、「じ……?」と、結が不思議そうに声に出す。


「おっ、おぉ~そうだ、じいじだ、じぃーじ」


はた目にもわかるえびす顔で、飽かずに促す父を、


目をまん丸にしてじーっと見つめていた結が、しばらくして口を開くと、「じっ、じ……」と、たどたどしく口にした。


「おぉ~、言ってくれたぞ! 聞いたか、彩花!」


あからさまにはしゃぐ父に、コクコクと頷きを返して、「わかったから、もうちょっと静かにね」と、唇に指を当てたしなめた。


「ああ、すまない。しかし、いいものだな。孫にじいじと呼んでもらえるのは」


父が満面の笑顔で、しみじみと口にする。


「うん、そう思う。私たちもパパとママって呼ばれた時は、すごくうれしくって幸せだったもの…ね?」


貴仁さんを振り返って言うと、


「ああ、確かに。とても愛おしくも思えて。だからお義父さんの喜びも、よくわかります」


いっぺんで周りまでもが幸せに包まれるような、温かな笑みを浮かべた──。


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