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瑠璃🍫✨💭ྀི
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「幼いって、結構しっかりしてたぞ、東谷。あと俺の周りだけかもしれないけど、23あたりで知り合った相手と結婚してる奴多くない? その辺の年齢の恋愛って結構大事だよ。幼い恋で片づけなくても」
橘さんは恨めしそうに口を尖らせ、私も苦笑いする。
「確かに、学生時代からの恋人と社会人になっても続いていた人ってその相手と結婚してるかも」
橘さんはだろう?とばかり満足そうに頷いたがすぐにハッとして嫌そうな顔に変わった。
「自分で言っといてあれだけど……東谷の彼氏もそのくらいの年じゃないのか」
「え……ああ。4月から社会人なので……」
「へえ、どこの会社」
「実は……」
と、大学名と就職先を告げると橘さんはひゅうと口笛を吹いた。
「青田買いかよ。向こうはそのくらいの年で東谷と出会った。なんだよ。気づいてなかったんだったら俺は自分の首絞めただけじゃないか……」
「ふ、ふふふ。もう。おっかしい」
橘さんが優し過ぎて笑ってしまう。ハッとした顔が少しわざとらしかったんだもん。
「タイミングってものがあるよな、何事も。32の東谷の気持ちがどこにあるか。23は俺だったんだけどな」
「尊敬してます。本当に」
「うう、ありがとう。その尊敬が愛に変わるのを待つよ、俺は。俺は急いでないし……。ってこういうこと言うと“産まない側”って言われるのか。東谷のタイミングで! あ、会社から電話だ。待てよなぁ、昼くらい」
そう言って橘さんはめんどくさそうに電話に出る。感じのいい声と裏腹に、顔はわざとめんどくさそうにしていて吹き出してしまう。電話を終えると首をすくめた。
「悪い、先に戻る」
そう言って立ち上がった。
「あ、はい」
差し出されたお金を身振りで断ると、ふっと笑って伝票を持って行かれてしまった。
尊敬……してます。
その背中に呟いた。
そう時間を置かず、私も店から出るとセルフのカフェに立ち寄りアイスコーヒーとカフェラテをテイクアウトする。呼ばれた案件は早々に片付いたのかデスクで休憩している橘さんの前にアイスコーヒーを置いた。
顔を上げた橘さんが微笑む。
「ありがと」
私も微笑み返して席へと戻った。橘さんを見るとまだアイスコーヒーを見て嬉しそうに微笑んでいた。
――――広睦くんとの約束の土曜日を数日後に控えていた。
その日、別れを伝えるつもりだった。他に好きな人が出来たわけでも、婚活が成功したわけでもない。約束は違うけどもう一緒に入られない……。
結局、好きだけで選べなかった。
この間、橘さんとは何度か昼休憩を一緒にとったり、仕事帰りに飲んで帰ったりもした。
橘さんはいつも通り、先輩として接してくれた。時々確認するように意味深に微笑んでは私を無駄にドキドキさせた。……無かったことにしてませんてば。だけど……。
『既に信頼関係が確立しているちょうどいい年齢の独身男性がパッと目の前に現れた』のに『なーんにも悩まずにさっと解決』しなかった。
完璧な相手、完璧な条件。信頼、尊敬。
それをもってしても橘さんと付き合おうという気が起きなかったのだ。それが答えだと思う。
――私は広睦くんの事が好きだ。
だから一緒にいると手離せなくなってしまう。広睦くんの相手は私じゃないと思う。
結婚に焦っているけど、今すぐ結婚したいくらいだけど、この気持ちのまま誰かと結婚は出来ないと思う。広睦くんと出会ってから後悔と自己嫌悪の繰り返しでわかっているのに正しい判断が出来ない。これ以上自分を嫌いになりたくなかった。
一旦一人になって、仕事に一点集中。目の前のやることに全力注いで落ち着いたら動き出そう。こんなんじゃダメだ。しっかりしなきゃ。だから、決めた。
残業もなく帰れた日だった。まだ外も十分に明るく寄り道を決めた。
今週、広睦くんと会ってないなぁ。と気づけばあの子の事を考えてしまっていた。いつもは約束までにもう1、2回ご飯食べに行くくらいはするのに。忙しいのかもしれないな、広睦くんも。バイトもそろそろやめて海外旅行に行くんだっけ。いいなぁ、学生の頃にしかできないよね……。
ふと、遠くに今考えていた人の姿が見えた。
遠目の後ろ姿でも広睦くんだって気づくようになった自分に苦笑いする。
コメント
1件
あああ〜〜〜😭💕💕 もう、この回の切なさがすごいよ…! 「橘さんと付き合おうという気が起きなかった」って、完璧な条件よりも自分の気持ちを選んだ決断が尊すぎる…でも「広睦くんの相手は私じゃない」って自己否定しちゃうのが苦しくて、そして無意識に彼の姿を探しちゃう最後のシーン、もうズルいよ〜!「遠目の後ろ姿でも広睦くんって気づくようになった」って一文に、どんだけ好きなんだって伝わってきて泣ける😢 橘さんへの「尊敬してます」って言葉も切なくて、尊敬と恋愛って違うんだなって改めて実感した…。 次、どうなるんだろう…広睦くんと別れ話、しちゃうのかな…(震)