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虚 無 天 .
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薬 チャン ❕ 💭
80
チュンチュン、と窓の外で小鳥が鳴く声で、いるまは目を覚ました。視界がひらけた瞬間、昨夜の記憶がフラッシュバックする。なつに縋り付き、醜く泣き喚いた自分。
(……なつ、いない……?)
隣に体温を感じず、心臓がドクンと嫌な跳ね方をしたその時。
「……あ、起きたか。……おはよ、いるま」
キッチンから、コーヒーの香りと共になつの声がした。
いるまは飛び起きるようにしてリビングへ向かう。そこには、自分のシャツをぶかぶかに着こなしたなつが、少し眠そうにマグカップを握っていた。
「なつ……! どこにも、行ってないんだな……?」
「……当たり前だろ。……ほら、こっち来いよ。……お前、まだ顔色わりーぞ」
なつがソファに座って、自分の隣をポンポンと叩く。
いるまが恐る恐る隣に座ると、なつはためらいがちに、でも自分からいるまの肩に頭を預け、空いている方の手でいるまの大きな手をギュッと握った。
「……なつ……?」
「……昨日、あんなに泣いたんだから、もう不安になるなよ。……俺、お前のこと嫌いになんてならねーし。……だから、そんなに怖がるな」
なつは顔を真っ赤にして、視線は手元のカップに向けたまま。
でも、その指先からは「ここにいるよ」という強い意志が伝わってくる。
「……なつ……、ごめん……。俺、本当にお前がいないとダメで……」
「……知ってる。……分かったから、もう謝るな。……ほら、頭……撫でてやってもいいぞ」
なつが上目遣いで、精一杯の「甘え」を見せる。
その瞬間、いるまの瞳に宿っていた暗い影が、朝の光に溶けるように消えていった。
いるまは震える手でなつを抱き寄せ、その柔らかい髪に顔を埋める。
なつが自分を必要としてくれている。自分から触れてくれている。
その事実だけで、崩れかけていたいるまの情緒は、魔法のように穏やかな凪へと戻っていった。
「……ありがとな、なつ。……世界で一番、愛してる」
「……ん。……俺も、……お前がいないと、コーヒー淹れてくれるやついなくて困るから。……ずっといろよ、バカ」
朝の静かなリビング。
二人の間に流れる空気は、昨日よりもずっと濃密で、そして切っても切れないほど深く、混ざり合っていた。
コメント
1件
うわああああ朝から尊すぎて心臓もたん!!😭💕💕 なつが自分からいるまの隣に座って、手を握って、頭撫でてやってもいいよって…!!あのツンデレなつがここまで素直になるなんて、いるまの涙がちゃんと届いたんだね…🥺✨ 「ずっといろよ、バカ」って台詞、完全にプロポーズじゃん?!?!朝の光とコーヒーの香りに包まれた二人の空気感が映像のように浮かんで、もう何度も読み返しちゃったよ…🌸 次回も絶対読みに行くからね!!二人の距離、もっと近づいてくれ〜〜!!🔥