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junp_
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あべさく正義♡
27
コアラと木の実
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第2話:解き明かされる真実
黒塗りの高級車の後部座席は、雨音を遮る静寂に包まれていた。
温かい暖房の風が流れ込む室内で、翔太は蓮から手渡された吸入器を口にし、ゆっくりと息を整えた。
胸の苦しみが徐々に和らいでいくのと引き換えに、緊張感がじわじわと身体を締め付ける。
隣には、黒のコートを脱ぎ捨てた蓮が座っていた。
以前よりも引き締まった肩幅と洗練された佇まいは、彼がこの3年で背負ってきたものの大きさを物語っている。
「……落ち着いた?」
低い声で問いかけられ、翔太は膝の上の涼太をそっと抱き直した。
涼太は車内の不思議な空間と、見知らぬ大きな大人に興味津々なご様子で、丸い瞳をぱちくりとさせて蓮を見つめている。
「……うん、助かった。ありがとう」
ツンとした口調を繕おうとしたが、安堵から声が少し震えてしまった。翔太は視線を落とし、小さく問いかける。
「なんで……ここにいたんだよ。お前みたいな大企業のトップが、こんな住宅街の近くにいるわけないだろ」
蓮はしばらく沈黙した後、車窓の外を流れる雨模様を見つめながら口を開いた。
「この近くで打合せがあったのは本当。でも……本当は、ただ一目だけでも会いたかった」
「え……?」
「翔太がこの街の高校で教えてるって聞いてから、邪魔をするつもりはなかったけど……たまに、遠くから無事を確認することしかできなかった」
蓮の言葉に、翔太の胸が強く締め付けられた。
3年前、世間を騒がせるほどの後継者争いと家庭の圧力の中、蓮は「別れよう」とだけ告げて翔太の前から姿を消した。
冷酷に切り捨てられたのだと、自分に言い聞かせてきた。
だが、目の前にいる蓮の瞳には、あの頃と何も変わらない、まっすぐで切ないほどの情愛が宿っていた。
「あの時、黙って去って悪かった」
蓮は翔太に向き直り、誠実に言葉を紡ぐ。
「俺の家族は翔太たちの存在を脅かすような連中だった。あの時の俺には、翔太を守る力がなかった。引き裂かれるくらいなら、俺が憎まれる形で離れるしかなかったんだ……でも、一度も翔太のことを忘れた日はない」
無愛想に見えるその表情の裏で、どれほどの孤独と闘ってきたのか。
外面を硬い鎧で固め、24歳で財閥の頂点に立った男の真実が、静かに解き明かされていく。
翔太の目から、じんわりと涙が溢れ出そうになった。
意地を張って「今更なんだよ」と言い返すことなどできなかった。
ずっと、自分もまた一途に蓮を思い続けていたのだから。
「……蓮」
翔太は意を決して、腕の中の小さな頭を優しく撫でた。
「この子……涼太っていうんだ。2歳になる」
蓮の体がピクリと強張る。
「お前と別れたあとに……妊娠が分かった。喘息もあるし、一人で育てるのは楽じゃなかったけど……お前との宝物だったから、絶対に産みたくて」
蓮は息をのんだ。視線をゆっくりと涼太へ注ぐ。
小さな手足、翔太によく似た愛らしい目元、そしてどこか自分を感じさせる面影。
すべてを理解した蓮の瞳に、あたたかい光と、深い後悔、そしてそれ以上の愛おしさが満ちていった。
「……そっか」
蓮の声が微かに揺れた。
大きくて温かい手が躊躇いがちに伸びてきて、涼太の小さな手元にそっと触れる。
涼太は嫌がる風もなく、その太い指を小さな両手でぎゅっと握り返した。
「苦労させたな、翔太。……これからは、二度とお前たちを一人にしない」
冷たい雨の降る車内で、途切れていた3年の時間が、穏やかに再び動き始めた。
コメント
1件
うわあああ〜!!第2話、読み終えたよ😭💕💕 蓮の「一目だけでも会いたかった」…そこから3年間遠くから見守ってたっての、マジで胸が苦しくなった…!あの時は守るために黙って去るしかなかったんだね…。翔太も涼太を一人で産んで育ててきた強さ、涙出る🥺✨ ラストの涼太が蓮の指をぎゅっと握るシーン、尊すぎてもうだめ…!3年の時間が動き出した瞬間、本当に良かったね💖 続きすっごく気になるよ〜!!