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7月?日


私が目を覚ましたのは病院だった。点滴を打とうとしていた看護婦が私に気が付いてくれた。


「呉林は?」


病室、3つあるベットの真中にいた私は、上半身だけ起き上がって、両サイドの白い布の仕切りを覗き込もうとした。


「動かないで、お友達の呉林さんは重体だそうです。でも、すぐに良くなりますよ。今はゆっくり休んでください」


私は点滴を打たれていた。そして、安堵の溜息を吐いてから、


「夢の治療代はどうなるんだ……」


…………


私はたったの二日で退院できた。重い熱中症と脱水症状だそうだ。病院で二晩寝たら全快になり、即退院をして、タクシーで自宅に戻ると昼の12時30分だった。


呉林が心配で仕方がなかった。みんなのリーダーだし他の面子より、私は呉林のことを考えていた。


腹が減ってコンビニで何かを買ってこようとして、玄関を開けると、目の前に食材を抱えてすっかり元気になった安浦がいた。


「どうして、ここに?」


「住所を病院で聞いたの。ご主人様。昼食はまだですよね?」


その時はフリルがいっぱい付いた緑色の服装をしていた。私はまだと答え、


「呉林は大丈夫か。何時頃出られるんだ」


安浦はニンマリしてから、


「もう退院です」


「え?」


「ご主人様にお礼を言いたいって、私の少し後に退院したんですよ。ご主人様にお見舞いに行こうと相談したりと、とにかくピンピン」


私は胸を撫で下ろした。


「助かった。安心したら腹が減ったかも……。お、俺にお礼?」


「そうですよ。みんなが助かったのはご主人様のお陰です」


安浦はぺこりと頭を下げ、私の殺風景な白いキッチンを借りる。安浦は包丁片手に得意満面の顔をこちらに向けた。


「俺は何もしていないぞ……ただ生きたかっただけだ……」


私は恥ずかしくて唇を噛んだ。


「そんなことありません。あ、と。謙遜していないで、立ってないで、座ってください」


安浦は私に不思議と優しかった。


「ああ。解った……」



私は自分が少し緊張していることに気が付いた。無理もない。女性経験が皆無な私の家に女子大生が、しかも料理をしてくれているのだ。今の方が、夢の世界の様な感じだ。恥ずかしくて、緊張していて、落ち着かない。


私はエコールに入ってから使っている。日持ちがいい長椅子に座り、角材で出来た質素な木製のテーブルに座っていた。

ウロボロスの世界樹

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