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キッチンを首だけで覗くと、安浦が信じられないスピードで、手料理を作ってくれていた。ものの三分で、二ラレバ炒め、味噌汁、ご飯、お新香が出来上がった。
「どうぞ」
安浦の自信から、私はゴルフ場での安浦の料理を思い出し、今度の料理にもかなり期待した。
私は箸で二ラレバ炒めのレバーを口に運んだ。
「うまい!」
「ありがとうございます。ご主人様」
前を向くと、角材で出来たテーブルに座っている……安浦がいた。
「長椅子をもう一つ買うよ……」
その時いきなり、家の黒電話が鳴った。私は近所のビデオ屋さんで暇な時にビデオを借りるために、家の電話を買ったのだ。家に電話が設置してないと借りられないのだ。主にアダルトビデオだが……。
電話にでたがっている安浦を押しのけ、受話器を取ると、相手はエコールにいるはずの谷川さんだった。
「やあ……。悪いが仕事に出てくれ」
谷川さんの明るい声が受話器ごしに聞こえる。
「え、どうしたんですか」
「……」
ツー、ツー、ツー。と、電話が切れた。
…………
昨日の不可解な電話の後、私は不思議がる頭で仕事場へと久しぶりに顔をだした。株式会社エコールの看板は何故か株式会社セレスとなっていた。駐車場のボロ車から中村が現れ、私たちは工場の中に入った。
工場の中には変わりはない。けれど、正社員たちは知らない顔ぶれだった。
「おはようございます!」
私たちは作業場のところにいる若くてがっちりしている正社員に挨拶をした。多分、この人はここの新しい担当の方だろう。
「おはよう。担当の田戸葉です」
「は、はあ。よろしくお願いします」
私は中村・上村の後に続いて挨拶をした。
「みんな揃ったので、作業の説明をする。まず、あなたたちが働く場所の説明からします。場所はここから、50メートル程歩いたB区での洗浄されたペットボトルの最終目視検査になります」
田戸葉は50メートル先を指差した。そっちはベルトコンベアーの突き当りに位置し、ところどころの機械類をよけて歩いて行く。