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みら

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#ご本人様には関係ありません
コンソメパン
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⚠︎少しグロいかも
*
8月15日の午後12時半くらいのこと。
天気がいい。病気になりそうなほど眩しい日差しの中、俺たちは特にすることもなく、いつもの公園のベンチで駄弁っていた。
「でもまぁ、夏は嫌いやなぁ」
足元に寄ってきた野良猫を撫でながら、ひまじんがふてぶてしくつぶやく。
まったく、こいつはいつもそうだ。
あぁ、だけど——。
急に、ひまじんが飼い主のいない猫の後を追うようにベンチから跳ね起きた。
「あっ、待てよ……」
「おい、危ない!」
俺が叫ぶ間もなく、ひまじんの体が飛び込んでしまったのは、赤に変わった信号機。
バッと突っ込んできたトラックが、ひまじんを轢きずっていく。
絶叫する間もないまま、周囲の悲鳴が耳を刺す。
血飛沫の色と、ひまじんの匂いが混ざり合って思わずむせ返った。
嘘みたいな陽炎が、ゆらゆらと俺を嗤っている。
夏の水色、かき回すようなセミの音に視界のすべてが眩んだ。
*
目を覚ました。
枕元で、けたたましく時計の針が鳴り響くベッドの上。
「……今は、何時だ?」
スマホの画面を見るまでもない。
そこは、8月14日の午前12時過ぎくらいを指していた。
やけに煩い蝉の声が、耳にこびりつくように残っている。
でもさぁ、少し不思議なんだ。
昨日も、一昨日も、何年――いや、何十年も前にあるはずの同じ公園で、全く同じ夢を見た気がする。
「もう今日は帰ろうか」
次のループ、道に抜けた時のことだった。
周りの連中が、一斉に上を見上げて口を開けている。
「……っ!」
落下してきた鉄柱が、隣を歩いていたひまじんを貫いて突き刺さる。
劈く悲鳴と風鈴の音が、木々の隙間で空回りした。
ワザとらしい陽炎が、また俺の耳元で「夢じゃないぞ」って嗤う。
眩む視界の端で、ひまじんの横顔を見た。
あいつは、最期に笑っていたような気がした。
*
何度世界が眩んでも、陽炎がすべてを奪い去っていく。
繰り返して、もうとっくに気が付いていた。
こんなよくある話なら、結末なんてきっと1つだけなんだってことくらい。
繰り返した夏の日の向こう。
*
また同じ8月15日がやってくる。
――今度こそ。
ガタッ、と公園のベンチから立ち上がる。
野良猫を追いかけて走り出したひまじんの背中めがけて、俺は迷わず走り出した。
バッと力任せに押し退けて、自分が代わりに飛び込んだ。
目の前に迫る、瞬間――トラックにぶち当たる。
鮮烈な血飛沫の色が、ひまじんの瞳と、俺の体に乱反射する。
文句ありげに歪む陽炎に向かって、俺は息絶え絶えに笑ってやった。
「……ざまぁみろよ」
実によく在る夏の日のこと。
そんな何かが、ここでようやく終わった。
*
目を覚ました。
また、見慣れた8月14日のベッドの上。
ひまじんは、ただ一人でベッドに座り込んでいた。
「……っ」
震える腕で、膝の上の猫を強く、痛いくらいに抱きかかえる。
彼の目から、大粒の涙がポロポロと零れ落ちた。
「……また、ダメやったわ」
蝉の声だけが、夏の空に虚しく響いていた。
コメント
5件
クッッソ好きなんですけど!!!!神ですありがとうございます
読み終わりました……。夏の陽炎と蝉の音がずっと耳の奥に残るような、切なくて苦しいお話でしたね。 ひまじんが飛び出して轢かれる瞬間の、血飛沫と匂いの描写が生々しくて、一気に引き込まれました。ループに気づいた主人公が「今度こそ」と命をかけて飛び込むシーンでは、最後の「ざまぁみろよ」の笑顔に胸が熱くなりました。 それでも終われないループ。また「ダメやったわ」と涙するひまじんの無力感が痛いほど伝わってきます。第1話からこれだけ感情を揺さぶられるなんて、続きが気になって仕方ないです……!