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「はあ…はあ、此処までくればもう…追ってこないでしょ」一人の少女は何かから追われているようで、息を切らしながら走り続ける。
と、限界が来て少女は倒れてしまった。「…………。」
これは七つの大罪の二次創作夢小説です。オリジナル要素が含まれます。また、これはもしもゴウセルが主役、主人公だったらという妄想上の世界線で物語の時系列は大罪メンバーがマーリンまでで、残りの大罪人エスカノールに再会する前の話になっています。
第一話 出会い
「ん…………、あれ」と少女は目を覚ます。そうして起き上がり、そこにいたのは、ピンク色の髪の青年のような人だった。「大丈夫か?君、誰かに追われていたようだが…」と彼は言った。「え、えっと、貴方は…誰なの」と少女が言うと、「俺か?俺は……」すると、青年は首元のとある物を彼女に見せるように向き、その物とは一体…、「これって……羊の紋様…え…?、まさか」「ああ、俺は七つの大罪の一人、色欲の罪ゴートシン・ゴウセル」と彼は素性を明かした。「七つの大罪って、あの…古の…ほんとに存在してたなんて」と少女は彼を見つめる。そうしていると、彼女を追っていたであろう聖騎士や騎士団がやってきて、「見つけたぞ!!、ちょこまかと逃げやがって」聖騎士達は彼女を追い詰め、捕えようと襲いかかる。すると、ゴウセルは彼女に、「君は下がっていろ、この聖騎士達は俺が引き受ける」とゴウセルは彼女に伝え、彼女は後方へ。「これくらい、早くカタが付くだろう」すると、ゴウセルは手から突然、とある物を出現させる。「神器双弓ハーリット・リライト・ライト」彼は紫色のような弓を発射。これが…彼の【魔力】だ。その魔力を受け、聖騎士達は精神錯乱状態になり。その隙にゴウセルは彼女の手を引き、気付かれないうちにその場を離れ……「此処なら聖騎士達も追ってこないだろう」「ありがとう…ございます」と少女とゴウセルは会話を交わし、もう其々別れるかと思いきや、「そういえば、君…逃げてきたのなら…帰る居場所はあるのか?」とゴウセルは彼女に質問した。「あるには…あります…でももう…ないのも同然なので、それに私、旅をしてて…その途中で」と少女はゴウセルの質問にそう返した。「つまり、今は居場所がない…そういう訳だな?」と彼は確認するように少女に尋ねた。「………はい、その通り…です」と少女はそう言って俯く。「なら、俺と一緒にくるか?俺の仲間なら、きっと君の事も受け入れてくれるだろう 」とゴウセルは提案し、彼女が出した答えは、「私の事を……、………行きたい」と答えた。「そうか。なら行こう、そういえば君の名前、聞いていなかったな」とゴウセルは言い、恥ずかしいそうに、「私は……レナ」と彼女は彼に話した。「そうか、ではレナ。行こう」ゴウセルはサラッと彼女の名を呼び、共に行動することに。そういえば、一体彼は何処に向かっているのか、そう気になりながらもレナは彼の手に引かれるがままについていき、そうしてついた場所は……「此処が…?」「ああ、此処に俺の仲間がいる」そこは何やら、家?で、でも何処かお店にも見える。すると、「あ!ゴウセル、お帰り………って、君は誰?」と二人の前に現れたのは大きな巨人の女の子で、彼女はレナをじっと見下ろし見つめる。「どうやら、聖騎士に追われていたようだから助けた」「聖騎士に…?なんかエリザベスの時と似てるような……で、連れてきたの?」「ああ、彼女は今居場所がないみたいだからな」とゴウセルは巨人の少女にそう事情を軽く説明した。「ふーん、でも居るのは良いけどそれは団長次第だね、それに僕らはまだ後一人の仲間探しの旅の途中だからね」「ああ、わかってる」とゴウセルは言ってとりあえずは彼女を中に入れる事に。入ると、そこは見るからに酒場のようだった。と、次に出迎えてきたのは白髪の女性だった。「いらっしゃいませ…あ、ゴウセル様お帰りになられたんですね」見知らぬ人ばかりの為にレナはゴウセルの背中に隠れる。「?、 ゴウセル様、お連れの方がいらっしゃるのですか…?」目の前の女性は話した。「ああ、そうだ。ちょっと事情があるようでな、それで連れてくる事にした」彼はそう淡々と話した。「事情…ですか…」と言っていると、「散歩に出かけてくるって言ってた割には随分遠くに行ってたのか?帰ったくるの遅かったじゃねえーか」とまた一人奥から誰かがやってきた、しかも大勢連れて。「ああ、ちょっとな」ゴウセルは少し濁した言い方をする。素性も良く知らない女性を連れているのだから、話したくないのか…それとも、何回も説明するのが面倒なのかは知らないが…。「ん?、何だ?そいつ」と目の前の金髪の少年はチラッと覗き見るようにレナを見つめた。「……っ?、な、何ですか…? 」レナがそう言うとその少年は背後に周り、彼女の胸部を揉み始めた、ムニムニ、ムニムニッ……と。「この触り心地……綺麗な髪、お前、女だな」とそんな事をやられていると、「おい!こら…!、エリザベスちゃんの時と同じ事をするんじゃねーよ、メリオダス…!」彼が揉んでいるとそう喋る豚までやってきて、もはやレナは唖然とする。と、レナはふと「はあー…、びっくりした 」と息をつく。さっき揉まれた事を気にしてるようだ、とさっきの金髪の少年はこうレナに質問してきた。「そういや、お前此処らじゃ見ない顔だな、何処から来たんだ…?」と。そうして、レナはその質問に答える。「私は……キャメロットから…来ました」と告げる。「キャメロットってあのアーサーがいる国だな、お前そこ出身なのか?」目の前の少年はそう言った。どうやら、彼らは彼女の出身国を知っているらしい。と、それから、「あの……そういえば貴方方は………?」とレナはそう言った。「おう、そういやまだ名乗ってなかったな、俺は此処豚の帽子亭亭主、そして七つの大罪団長憤怒の罪ドラゴン・シン、メリオダスだ」「オイラは七つの大罪団員の一人、怠惰の罪グリズリー・シンのキングだよ」「私は暴食の罪ボア・シンマーリンだ」「そして俺は残飯処理騎士団団長のホーク様だぜ」「私はリオネス王国の第三王女エリザベス・リオネスです」「ボクは嫉妬の罪サーペント・シンのディアンヌ。宜しくね、レナ」と皆其々自己紹介した。「そういや、お前腹減ってるんじゃないか?うちにいい腕の料理人がいるぞ、どうだー?食べてみないか?」「え、えっと…じゃあお言葉に甘えて」とレナはメリオダスからの提案で、お言葉に甘えて料理を振る舞ってもらう事に。「はあー、しゃーね。ちょっと待ってろ」とバンは早速調理する為、カウンターへ向かい…エプロンを着用し調理をし始めた。
そうして、暫く料理が出来上がるまで座って待っていると、香ばしい香りが立ち込めてきた。「はいよ、出来たぞ」とバンは料理を持ってきた。「頂きます……、…………」彼女は料理を口に運ぶ。と、メリオダスが、「どうだ?うち自慢の料理人が作った手料理は」それに対し、彼女は、「………凄く美味しいです」と答えた。「ていうか、さり気無く受け入れるつもりになってるけど、キミはどんな理由があって旅をしていたの?」とキングはそうレナに尋ねた。すると彼女は戸惑いだし、「あ………えっと……その…」とレナは突然言葉を詰まらせ始めた。何かそう簡単には話せない事情でも抱えているのだろうか。と、その様子が気になったのか、ゴウセルは彼女に近寄り、「どうした?」そう声をかけた。暫く沈黙して彼女は抱えていた秘密の一部を曝け出す。彼女は上半身が見えるように服を捲った。「なんだ……これ…」メリオダスは彼女にある何やら謎の紋章?のようで、痣のようにも見える痕跡を見た。「私……キャメロットにある……小さな村に住んでいたんです…でも小さい頃から私の事を……皆んなして…魔神の血を受け継いで生まれた呪われた子だって……言われ続けてきて……それにその得体の知れない魔神族の呪いのせいで…村に皆んなが苦しんで…挙げ句の果てには…村の数人の子供や大人達が…この呪いのせいで魔神化しちゃって…それで」そうレナは彼らに衝撃を与える事情を明かした。しかし、その言葉を聞いてすぐには理解できず、信じられない様子のメリオダス達。「どういう事…?キミは…魔神族なのかい…?キャメロットにそんな話…聞いた事がない」キングは困惑する。でも、それを否定するようにレナは、「違う……私は…魔神族なんかじゃ……」レナはそう否定した。でも、それには疑問というか一つの謎が生じる。「じゃあ、何でそんな扱いされたんだ」メリオダスは当然な疑問を彼女に投げかけた。と、レナはまた沈黙して、そんなの知らない…そう言うように下を向き、でも…「無理矢理……魔神族の血と……魔力を……捩じ込まれたの」とレナは話した。何もともあれ、彼女が旅をしていた理由が少しではあるが、何となく判明してきた。と、とある事が気になり、マーリンが口を開いた、「それにしても…魔神族の血に、魔神族の呪いか、まさか聖騎士長や団長殿以外からそのような言葉を聞く事になろうとは」「聖騎士になら魔神族の血を入れた事例はあるって誰かからか聞き覚えがあるけど、まさか一般市民に……でもそれならキミに何かしらの裏の事情があるんじゃない?その儀式の生贄にされたぐらいなんだから」キングは彼女にそう話すが、彼女は何の心当たりもなく強引に強制的に、儀式の中に放り込まれ、結局人為的に魔神族の血が流れる子供として…生きる道を強引に命じられたと。そうして、何故か気づけば周囲から蔑まされるようになった…と。「生まれ持って魔神族の血縁を混入させられた種の人間って訳か、そりゃー大変だったな」と何ともあんまり思ってなさそうなメリオダス。「つまり最初から君は生贄の存在で、歓迎もされていなかった、だから君が成長し、それを待って追い出した…、そう言う事ではないのか?レナ、君は旅をしていると言ったが、本当は軽蔑や差別を受け、耐えられなくなって村から追い出された…」とそうゴウセルが告げると彼女レナは不意に涙がポロポロこぼれ落ち、レナは理解者がやっと出来た…その思いに感激して苛まれ、彼女は会って間もないゴウセルにこの瞬間初めて抱きついた。「生まれ持って呪われた存在とした上、更なる魔神族の魔力を入れ込んだとは……お前は本当に残酷で可哀想な子供として生まれてしまった訳だな」マーリンは何やら神妙な面持ちで彼女を見る。「え……生まれ持っての呪われた存在だって教えられるまで知らなかったって事は……まさかキミ」キングはそう話した。と、何かに勘づいたメリオダスは、「ああ、そういう事だろうな、何もともあれ、あいつを探す旅のついでにレナの生まれ故郷、キャメロットに寄り道するのもありだな」とメリオダスが言うと気怠そうに、「だんちょー、本気で行くのかよ」と。それとは相対してキングらは、「まあ、事情がある程度見えてきたしその真実を確かめる為にもオイラは団長の考えに賛成するよ」「ああ、それに出会ったのも何かの縁であろう、たまにはそれに従うのも悪くない」他の団員の大罪メンバーが乗り気の為バンもそれに面倒くさがりなからも仕方ないかというように溜息をつき、とりあえずメリオダスの判断に賛成、残るはゴウセルとディアンヌの二人の意見も聞かなければ。「ゴウセル、お前はどうする」「俺もそれに賛同だ。いくらレナの事情が分かってきたとはいえ、全てを知った訳じゃない。だから何処かまだ納得がいかない、真実をこの目で一度見る必要がある」とゴウセルはやる気のようだ、もう一人、ディアンヌにもどう思うかを聞いてみると、彼女も乗り気のようで、「団長達が行くならボクも行く、それに君別に悪い子じゃなさそうだし、だから力を貸すよ」とディアンヌも賛成、満場一致で意見が纏まり目的地を増やし、旅をする事に。「よおーし!じゃあそれで決まりだな、そんじゃ早速向かい始まるとしますか、ホークママー!頼むぞー!」とメリオダスが言うと、突然大きな揺れが起きた。地震か何かか、そう思い、びっくりした様子のレナ。「わわ、な、何…」「にっしっし、びっくりしたか?実はこの酒場…豚の帽子亭はホークママの上部を借りて建てたんだよ、まさに移動式の酒場だ」「……こんなの初めて…」とレナは言った。レナがメリオダスと話していると、まだレナの加入に納得がいかないのか、レナがいるところに寄ってきて、「そういや団ちょー、さっきキングのやつが言ってたんだけどよー、ほんとにそいつを此処に居させるつもりなのか?」と。メリオダスはこの問いに、「おう、そのつもりでいるぞ?それに居場所がない上にあいつと出会った訳だし、だから此処を居場所として提供する」とメリオダスは言うが、「でもさー、だからって何か裏があるとか思わねえーのかよ、幾ら事情を聞いたくらいで安易に信用し過ぎだろ」バンはレナがいる事に対して否定的な心境を抱いている模様。でもメリオダスは気楽そうに、「人数が増えることくらいどーてことないだろ、それにそれを確かめる為にキャメロットに向かうんだし」とそう答えた。確かにちょっと不思議で、何やら色々訳ありな事情を抱えているレナ、 それに多少の疑問や違和感を感じてしまうのは別におかしくはない。でもだからこそ、今は彼女を信じよう、そうメリオダスらは思っているようだ。すると、レナは少し話が遅れてメリオダスにこう確認するように問いかけた、「私……此処に居ていいの…?」と。「ああ、勿論だ。お前、ずっと居られるような居場所がないんだろ?、ならそんなの遠慮せず此処に居ればいい、俺の団員と巡り会った奇跡の証としてな、七つの大罪の団長として許可する、ずっと此処に居ていいぞ」とメリオダスはそっと彼女の側まで接近して、ニタっと微笑んだ。「あ、ありがとう…ございます」「油断するんじゃねえーぞ、姉ちゃん。そいつ女性にはところ構わずセクハラ行為をしだすんだからな」と、しゃべる豚ホークがそうレナにアドバイスをした。「そ、そうなの…?」「キミ、ある意味初めて会う大罪人がゴウセルで幸いだったね、団長だったら大変だったと思うよ」とキングまでこう言う始末、よっぽどメリオダスは女癖が酷いのだろうか、一目だけではそんな風には思えないが。しかし、レナも実際触られたのだから、ちょっと引け目を感じているようだ。「全くお前ら揃いも揃って酷いな…そんなつまりじゃないんだけどなー、あれは一種の……」とメリオダスは言いかけるも、「結局のとこ、変態行為に変わりねえーだろ!」とホークから叱られたメリオダス。「そういえば、レナ様…私達とこれから同行して共に旅をするのは良いのですが、お部屋はどうするんですか…?」そうエリザベスはメリオダスに尋ねた。「うーーむ、そうだなぁー………よし!決めたぞ!、ゴウセルと一緒ってのはどうだ?」とメリオダスはレナと一緒に過ごしてもらう相手をゴウセルと指名した。とりあえずは彼女にとっての住む場所やずっと居られる部屋を与えられ、一安心のようだ。と、「そういえば、何故団長は彼女と一緒にいる相手に俺を選んだんだ?」とゴウセルはすぐさま気になり、メリオダスに質問した。すると、メリオダスは案外マトモは返答を彼に返した。
「そんなのは直感だ!それに見てる限りじゃー、お前が一番そいつの傍に居るには適任じゃないのかなって思ったんだ、お前レナを騎士団から守ったんだろ?それならきっと他の奴らよりお前の方がレナにとっても安心材料になる…そう思ってお前を選んだんだ」と。その返答に、「適当に言ってるのかって思ったけど、ちゃんとした理由があるのかよ…」とバンは呆れ半分感心半分といったところだろうか、そんな反応をした。「そういう事なら、俺は団長の指示に従おう」とゴウセルはあっさりとメリオダスの案に乗っかった。「え、…えっと、良いの…?」とレナは戸惑いながらそう言うと、「おう!勿論だ、お前も今日から俺の…いや、俺たちの仲間だ!」と彼は快く彼女が此処に居る事を認めて、正式な仲間として受け入れた。すると、外にいる巨人族の少女ディアンヌは「良かったね!レナ、これからはずっと君はボクらの仲間だよ!、それとせっかく出会ったんだからゴウセルと仲良くなれると良いね」とレナに何だかウキウキ気分でそう話した。と、ゴウセルはまたも、「何でお前まで、彼女といる相手として、俺を勧めるんだ…?」と彼はそう質問を投げた。それにディアンヌはこう答えた、「君は感情とか気持ちとかましてや異性にも無頓着なところがあるから良く分からないだろうけど、でもボクからも…もしかしたら団長と似たり寄ったりの事を言っちゃうけど、君がレナを助けたってことは紛れもないことなんでしょ?なら、ゴウセルに対しての恩も少なからず感じてると思うし、だからこそボクらなんかより君の方がレナにとって安心感があるんじゃないかな、レナの事を守ってやれるのは君しかいないと思う、きっと上手くやれると思うよ、団長の言ってた通り、君の方が最適だよ」とディアンヌまでもゴウセルの事を押している。「そうなのか…?俺にはそういった感情や気持ちがよく理解できない、しかし彼女を良く観察していると団長やディアンヌが言っているのは間違いではないのかもしれないな」ゴウセルは何故かすんなりメリオダスやディアンヌが言った意見の意味が分かったようで、それで自分が選ばれた事を納得した。「まあ、でも君はそう言うのに疎いからね、ゴウセルならきっとレナを守れると思うよ」とディアンヌらは揃ってゴウセルの事を褒める。といっても彼はとある事で、一切の感情を失ったらしいが、その事情を知るのはまだ後の話。「そうか」と一言。と、それからとりあえずはゴウセルと共にこれからは居ることになったレナ。そうして、次の目的地キャメロットに向かうまで最中…彼女は助けてもらった恩人である彼との時間を過ごす。戸惑いもあるが彼女はゴウセルを含めたこの場所にいる皆んなの優しさや心の温かさに救われ、安心感に満ちて安心して落ち着いていて楽しいひと時を過ごしていた時…、そんな時突然彼女の中にある魔神族の呪いがゆっくり蠢き始める…彼女はゴウセルと読書や談話などをしていたその時、レナは突然胸を抑え、ガクッと倒れ込み、悶え始めた。
「うう……あ……うああっ……! 」と悶絶の声を突如として苦しみ始めたレナに違和感を覚えたゴウセルは、「レナ……?どうした?具合でも悪いのか…?」とゴウセルはレナに寄り添い、声をかけるが、そこでとある異変に気づく。レナの首元に何やら、何かの獣?悪魔にも見える謎の紋章が浮かび上がっているのが目に入り、同時にレナの苦しい呻き声は大きくなり、それが明らかに何かに苦しんでいる声だという事に気づき、「まさか………」とゴウセルは彼女の痛みを和らげるために自身の魔力で彼女を苦しめる魔神族の血の力を抑え、抵抗するように神経を刺激し促した。「あがっ……うああああああああああああああああっ!」とレナはかなりの大声で悶絶、絶苦し続け…ゴウセルの魔力の効果が効いてきたのか、彼女は突然大人しくなり、バタっと一気に力が抜け落ち、意識を失いゴウセルは倒れかけた彼女をそっと支え、「………呪いは嘘ではなかったか」とポツリとぼやく。と、先程響き渡った声に遅れて駆けつけたメリオダス達は、「ゴウセル、何があった!!!」と慌てた様子で駆けつけ、着いた頃には彼女は気絶状態になっていて、休んでいた。そこでゴウセルはメリオダスらにこう話す、「団長、彼女が我々に話していたあの事はどうやら真実だったようだ」と言い放った。一体何がどう真実なのか、しかしそれはすぐに思い当たり、「って事は、そいつは本当に魔神族の血が混じっている人間なのか?」「ああ、彼女の神経に刺激を送って抑制を図ってみたが、彼女が持つ膨大な魔神族の魔力が俺の魔力を拒絶していた、少なからず彼女が話してた事は虚言とは言い難い」と。真偽を確かめる為にキャメロットに向かう予定であったが、それらしき事に辿り着こうとしている…でもまだそれが確定的と決まった訳ではない。だから、その真意を確かめる為にも目的地は変えずこのまま向かう。「でも……だとするなら、彼女が言ってた事が嘘じゃない……って事になるけど…ほんとに魔神族の血縁が流れる人間なんて…でもだとしても何の為に…」とキングが言っているといると、更に残酷な新事実と思わしき発言をゴウセルがかます、「……そもそも、レナは最初から誰にも望まれてなかった存在なのは間違いないかもしれない」とと話した。望まれなかった…確かに魔神族の魔術の儀式の犠牲・生贄、奴隷として無理やり突き出された……いや、もう生まれる前からこの運命は既に決まってしまっていたのかもしれない。でも、何故そんな事がゴウセルは分かったのか、それが不思議でならない。「何でそんな事が分かるんだよ」とバンが言うと、ゴウセルがとある一点を指差した。それは………薄黒く残った何かに縛られていたような、そんな痕がくっきり残っていたのだ。「この痕…何だ?何か鎖つーか、なんていうかそんな感じがするな 」「ああ、団長の思う通り、これは鎖の痕で間違いないだろう、それがくっきりと残っている…これが何を意味しているか…分かるか?」とゴウセルはメリオダス達にそう問いかける。信じたくもない、レナに関する新事実、それはまだまだ残酷なものであった。
「まさかこいつ、奴隷だった……って事か、この鎖の痕、手枷と足枷って訳か、最初から魔神族の血縁を受け継いじまった人種って分かった上で奴隷やらやたらめったらにこきつかってたな、こりゃー、じゃなきゃ有り得ない行為だぞ」とメリオダスは冷静に話しているが、バンを含めた他の者達はその事実があまりにも突きつけられたのが突然で、話についていけない。「え……?、その子が…奴隷でもあったって事…」「つまり、そうなると彼女が住んでいた村の者は徹底的に忌み嫌い、呪いのせいだと言いつけ、彼女に対して村からの追放行為を村全体でやっていた訳だな、あまりにも不憫な存在で、可哀想だ…我々は何とも悲しき少女に出会ってしまったものだな 」とマーリンはそう告げた。となると、彼女が旅をしていると言っていた理由が少なくとも、何か特別行く当てもなく村から追い出される形で離れたから、ふらふらと放浪を余儀なくしていた、そういう事になる。と、エリザベスは何かふと気になったようで、レナを見つめながら、「…レナ様は先程気絶されたのですよね、でも…だとしても何だが普通より深い眠りについてらっしゃるように見えるのですが…大丈夫なのでしょうか 」と心配の声をあげる。というのも、少し気絶と言ってもそこまで大した事ではないが、此処まで深く眠っているのに違和感を覚えたようでそう言ったのだ。「魔神族としての魔力がレナを苦しめて侵蝕しているのかもしれないな、幼い頃のからのものであれば、その呪いもより強力になっている可能性も十分にあるだろう」ゴウセルはそう考えを出す。とりあえず、無事かどうかの安否確認のため、メリオダス達はレナが気絶から目覚めるのを傍でじっと待っていることに、その後数分が経過、まだ目覚めない…と、思いきや……、「……ん 」レナは目を覚ました。「やっと目が覚めたか、気分はどうだ? 」ゴウセルはレナに寄り添う。「大丈夫……それより何で…皆んなも…レナはメリオダス達に視線を向け、聞いた。メリオダス事は、「突然お前の悲鳴が聞こえてきたもんだから、気になって慌てて様子を見にきたんだよ、お前…どうした?」メリオダスが尋ねると、彼女から出てきた言葉はやはり、「呪いが……急に蠢いて、魔神族の呪いで…急に身体が痛くなって…もう苦しむしか…抗う方法がなかった」とレナは呪いの仕業だと打ち明けた。薄々感付いていた事が当たり、そこで此処は一つ、メリオダスが、「なあ、お前がどうしてもってなら話さなくても良い、お前の中に埋め込まれたっていう魔神族の血の呪いに関して、もっと俺達に話せたりしないか?」とメリオダスは突然に、しかも今日出会ったばかりの彼女にぐいぐい歩み寄り、話を聞こうとするも、彼女は突然とその事について話す事を拒み始めた、さっきまでは平然と話していた筈だが…何故か急に。「話せない……、だって…私、この呪いの事…私だって…聞かされるまで…知らなかったから…自分が穢れ者、呪われた魔神族の娘なんて言われ始めて…そこで初めて知ったもん」レナはまたポロポロと涙を流し、号泣し彼女は現時点で最も安心感を寄せている人物、ゴウセルの元へ抱き付き、その様子を物珍しそうに眺めているメリオダス達。ゴウセルに対して何も知らない人間が此処まで寄りつく事がなかったから何のか、興味津々に眺め、注目されている事に謎の違和感を持ち、
「団長達はそんなにこっちを見て何をしているんだ?」とポツリ。「いやー、特にこれといって深い意味はないけど、随分レナはお前に懐いてるな~って思っただけで」「なるほど、そういうことか」とゴウセルはほんとに意味がわかっているのか、そう疑いの目を向けるメリオダス達、でもそれ以上に彼らがゴウセルに対して驚いてる理由は普段の彼ならはあまり他人に無関心で、デリカシーのない発言をしたり、そんな人柄な彼の為に、それに会って時間も浅いのにもうなぜか親密な関係っぽくなっている事に困惑している。
するとレナから、「ねえ………ゴウセル」「?、何だ?」とゴウセルが言葉を挟んだ後レナから飛び出た言葉は、とある感謝の言葉だった。「ありがとう………あの時、私を助けてくれて、ほんとに感謝してる」とレナはそうゴウセルを見つめながらそうぼやいた。と、すっかり二人の様子に見惚れるメリオダス達、そこから暫く呪いの痛みが再度来ないかを様子見していた、その時キングからふと、「そういえば、彼女の加入祝いの宴はしないの?」と。そう、実は彼らは団員と再会し、再加入する際、祝いの宴を夕暮れ時からやっていて、勿論彼女が今惹かれているであろうゴウセルの時もやっている、でもやるという意見もある中ゴウセルだけは違い、「宴をするのは良いが、彼女の場合…またいつ魔神族の呪いがまた暴れ出すのか予測がつかない、それに制御出来るものなのかは分からないが、だからレナは少なくとも、宴を楽しめそうにない状況にあるのは間違い無いだろう」ゴウセルはそう冷静に話す。これまた珍しく彼女を配慮するような言い方を彼の方から告げられた。彼女の事が彼を何かしらの方へ導き、誘われたように。彼自身、よく思った事ははっきりと口に出す為に空気の読めない発言をしてしまう事もしばしば…でもそれが何故か今の彼には嘘のようの無いのだ。と、それに流石に今のゴウセルに違和感を感じて、メリオダスから、「お前、随分レナの事を気にかけてるな、それに団員以外の人間に興味深く接してるし…なんか変な物でも食べたか?」と言われ、それに対して少々ゴウセルは気に食わなかったのか不機嫌そうになり、そこまでなのか?というような顔で、「団長達は何故そこまで疑うんだ?彼女に対して優しくする事がそんなに変なのか?」とゴウセルは直球にそう言い返し、メリオダス達は逆に困惑の反応になり、「い、いや別に変とかおかしいとかそういう事じゃねえーけど、お前の場合はそれが珍しいからな…」「まあ、君は元々そんなタイプじゃなかったし、だからこその違和感はあるね…一瞬ゴウセルの姿形をした偽物かと思ったけど、本物みたいで安心んしたよ 」とキングとメリオダスはそう話した。と、ついさっき数分前に魔神族の呪いによって悶絶し、かなりの体力を消耗したせいか彼女は疲れきっていている様子だからか、弱った声で、「……さっき言ってた宴…参加してみたい……でも、今はまだ少し休みたい」とレナはメリオダスに伝えた。「そう来なくちゃな!よし、分かった!準備して待ってるからな」とメリオダスはそう言って一旦メリオダス達は部屋から出る事にし、それにゴウセルもついていこうとすると…彼女はゴウセルにそっと手を伸ばし、彼も誰かに…レナに手を掴まれた感覚を感じ取り、ゴウセルが後ろを向くと、レナが彼の手をぎゅっと握って、「………行かないで… 」と寂しげな事を告げた。でも、そもそも彼は呪いの副作用で疲れきっている彼女の事を休ませるのが最優先だと感じて、休息に集中してほしいと感じて離れようとしたのが彼なりの本心らしい。でも彼女の思いは真逆で助けてくれた恩人である彼だからこそ、一緒にいて、自分の側にいて欲しい…そんな気持ちが彼女の心に湧き上がってきたのかもしれない。けど、レナを苦しめる【魔神族の呪い】は更に強さと支配力が増して……「うう……、ううっ!!、ま…また……痛みが…!うがっ……、うあああああああっ!あああっ、痛い…痛い…!! 」彼女の内側から魔神族の呪い力のオーラが段々と漏れ始め、「た…助け……て 」レナは魔神の意志にだんだんと侵されつつあり、それでも逆いの意思でゴウセルに助けを求めた。すると、ゴウセルは何の考えもなしに、とある行動に出た。それは……抱擁だった。「あ…あ..、うあ……あ 」彼女は意識がぼんやりし、彼女の中にいるであろう魔神は抵抗に苦しみ、それは段々と弱まり…また気絶した。どうやら、魔神族の呪いというのは中々厄介もののようだ。すると、ゴウセルは気絶の間に彼女の精神部分に触れ、「やはり魔力が拒絶されている、となるとレナ、お前は本当に普通の人間じゃないのか?」と彼女は意識を失っている彼女を見つめなからそっとぼやく。それから更に時間が経過し、「ん…………あれ…私…そっか…私」とレナはぼんやりとだが意識が戻り始め、ゆっくり目覚める。「レナ、起きたか…、もう起きて大丈夫なのか?、今回もまた随分と痛みが強いように見えたが」とゴウセルが状態を気にしてくれ、レナは、「うん…もう平気…大丈夫…大丈夫だから」とレナはそう言うも、実はかなり顔色が悪く、話を聞いていくとまだ体力が奪われている感覚があるという…魔神族の呪いは一体彼女の身体をどうするつもりなのか…副作用の影響もあってレナはかなりヘトヘト状態なのだが、それでも宴に行きたいと言い、「皆んなを待たせてるだろうし…行こう」とレナは疲れきった重たい体で頑張って起き上がり、メリオダス達に改めて宴への参加希望を伝え、メリオダスによれば準備はどうやらもう整っているらしいので、レナはゴウセルに寄りかかるように寄り添いながら向かう。
「おっ、いらっしゃーい!」とメリオダスは手を振った。そこは豪華な料理が並び、バーニャエールがあった。これぞまさに宴だ、「これが……」レナは見た事もない光景に見惚れる。今までの彼女が育ってきた環境はこんなに平和なものではなかった、だから余計に未体験な事に胸を躍らせる。と、「そういや、聞きそびれて事があったな、お前酒は飲めるか?」「ま、まあ………一応」とレナは戸惑いながらもそう答える。こうして、レナの歓迎祝いの宴が始まった。「…………」「どうだ、こういうのもたまには良いもんだろ」とメリオダスはそう話し…と、一方で宴の最中ゴウセルはとある事をマーリンに相談をしていた。その相談内容というのが、『マーリンの魔力を通してレナの体の内部を診て欲しい』と尋ねていた様子のゴウセル。「何故そのような事をする必要が?彼女にまた何かあったのか」「彼女は単に人間の形をした魔神族ではなく、そもそも魔神族そのものではないか…そう思ってな、試しに透視して欲しい」「成程、分かった。まあ私の魔力無限【インフィニティ】に不可能などない、レナ…少しこっちへ来てくれないか?」とマーリンはレナにそう指示するも、彼女はゴウセル以外の人物に近寄ることはまだ抵抗があるようで躊躇しながらもそっと近寄り、「何するの……?」「すぐに終わる」マーリンの魔力『無限』は様々な魔力を有し、自在に使う事が出来る、ある意味最強の魔力と言えそうだ。透視はものの数秒で終わり、「診終わったぞ」「それで、結果はどうなんだ?」ゴウセルが言った途端にマーリンはこう口を開くのだが、その言葉でゴウセル以外のメリオダスを含めた全員が驚愕することになる…「視てみたところ…レナには魔神族特有とも言える特徴である、心臓が複数彼女の心臓部に存在するのが分かった、それとお前が言っていたように魔神族の魔力の気配も感じられた」と。もう嘘だとは疑えなくなった、そんな瞬間が訪れた。「じゃーよ〜、試しにそいつの心臓を一つ奪っても良いか?それだったらマーリンが言ったことが真実だって分かるだろ〜 」とバンは神器と思わしきムチを手にしてそうぼやく。と、そうやってバンがムチを持って彼女に近付きムチを構えたその時、何やら危険を察知してゴウセルはレナを庇うように片手を横に出して守りの姿勢を取った。
「やめてくれないか?疑いたくなる気持ちもわかるが、今は彼女を信じているべきではないのか?もし彼女に手を出すつもりなら、俺が相手しよう」と。彼はまさに今日出会ったばかりの彼女を思い、もしかするとゴウセルはどこか無意識に、彼女を、彼女の事を守りたい人と認識し出した可能性が浮上した、バンはそんな彼を見て、すっかり諦めムードになりムチを閉まった。此処で争いあっても面倒なことにしかならないと判断したのだろう、こうして一先ずは何とか収まり、宴の続きだ。酒に、料理に。「そんじゃ、レナが俺達の仲間になった祝いの宴を祝してカンパーイ!」メリオダスの合図で樽のジョッキをコツンと交わし合う。「そう言えば、もう具合の方は大丈夫なのか…?」「あ………う、うん、大丈夫……ありがとう、ゴウセル」とレナは何だか浮かばれない顔をする。「どうした?まだ何か気にかかる事でもあるのか?」と心配してくれてるのかは感情が読めないからわからないが、心配してくれているのだろう。と、レナはそっとゴウセルの肩に寄り、「……たまに思い出すの、奴隷だったあの頃、散々こき使われ、体罰とか迫害もされたあの頃……それの記憶が蘇る度に凄く胸が締め付けられて泣きたいくらい……もう私なんてこの世界には必要ないんだって……思って……」と話した。何と、奴隷として散々な扱いを受けていた だけでなく、追い打ちをかけられ迫害までもされていたという過去を打ち明けた。「私…呪われてるんだ……化け物なんだって…ーこんな魔力を体に閉じ込められて…こんな力じゃなかったら私だって……幸せに生きれてたのかな、今まで一度も…誰からの愛情とか、愛される事さえなかった……何も知らないまま、生きてきて」レナは下を向き、大粒の涙をポロポロと溢す。ゴウセルは何故泣いてるのか、どういう意味の事を言っているのか、そこまで深くは理解できないが、でも少なからずとも彼女が余程苦しい日々を旅に出る以前にはしていたことは理解し、そこでまた…抱擁することにした。
「にしても酷い話だ、女の子一人相手にそんな事までするとはな…だからこそお前にとっちゃ助けられて救いの手を差し伸べられたのが何よりの幸せだった訳だな」とメリオダスはレナのそう言い、レナは体をゴウセルに寄せたまま、静かに頷いた。すると、キングは驚愕した様子で、「それより、キミの魔力……持ってる魔力全部魔神族のものなの…!?じゃあキミは疑いようのない正真正銘の…魔神族!?」「私は………昔それでか知らないけど…魔神族の…人型兵器ってずっと言いつけられてきた…私は魔神族の血を入れられた、だから生まれ持って貰った魔力だって必然的に魔神族のもの……」とレナの口から次々語られる悲しき事情、レナはその為過ごしていくうちに、いつしか行き場を失い、気づけば放浪して村を出るという選択しかなかったという…。と、ディアンヌが思わぬことを言い出す、それはレナを心配する声だった、「ねえ、ほんとにレナ……僕らと一緒にキャメロットに向かうの?今からでも良いから君はゴウセルと二人で残ってた方が良いんじゃない?」とディアンヌはそう話した。さっきまで力を貸すと言っていたが、一体何で急にこのような事を言い出したのか、それはレナが何で一人で旅をしていたかの経緯を知ったからこそが理由だった。
「レナ……またそこに戻ったら…また奴隷として連れ戻されたりしないかなって…それに辛くて逃げて離れたのに…それなのにまた戻ったら…」ディアンヌはそう自分の思いを告げた。でも、進むと決めたからには…どんなことが待ち受けていようがそれに立ち向かうしかない…だから、「……ありがとう、ディアンヌ…そうやって心配してくれて、でも私だって……知りたい…本当の事を…だって私だって……私…自分のこと…何も…知らない事ばかりだから」レナは幾度も涙が流れる、呪いを受け、忌み嫌われる存在だろうが、これは決して彼女が望んで与えられた事ではない…ただ言いなりのままに生きて、虐げられ…まるで操り人形のように奴隷として扱われ、周囲からも白い目で見られてしまう始末…彼女がゴウセルと出会う以前の人生は残酷極まりない物だった。「なら良いけど、辛くなったらボクらを頼ってよ?君はもう一人じゃないんだから、それに君の傍には君を助けてくれた恩人のゴウセルもいるし」「ありがとう…ディアンヌ」とレナはこの面々に慣れ始めたのかちょっとずつゴウセル以外の人物にも馴染みつつある。その後、彼女の歓迎の為の宴は幕を閉じた、彼女と彼らは偶然の出会いを遂げ、事情を知り…今思うと、とんでもない出会いだったが、彼女はずっとこの先も自分の傍にいて欲しい、そう感じられる存在に出会い、彼女は今夜いい夢を見られるだろう……と思っていたが、現実はそう甘くなく…宴が終わり気づけば、夜になっていたので、レナは静かに眠りにつき…一方の彼は彼女が寝ている姿をそっと眺めながら調べていて…その時だった、傍で寝ていたはずのレナは悪夢で魘され、苦しい声をあげ発汗も酷く、その様子に気づき、「レナ…悪夢を見てしまっているのだな、その様子では…だが、すまない…俺の魔力では今のレナの状況を悪化させかねない、しかし救えないという訳ではない」とそう言ってゴウセルは自身の魔力の一つを彼女に付与する………と、「あれ……?、私…何で苦しんでたんだっけ…ねえ、ゴウセル…何か知らない…?」レナは突然ゴウセルに尋ねた、そう実はこれはゴウセルの魔力による影響で、彼が先程彼女に付与した魔力は消えゆく彼岸【ロストワールド】と呼ばれる魔力でこれは彼が他者の記憶を任意のところまで消去していく…というものでその効果で彼女は一時的に記憶喪失状態になり、彼女は悪夢から解放された。「レナ、もう思い出さなくて良い、君がさっきまで見ていた悪夢…恐らく昔の記憶がトラウマとなって再生されたのだろう、なら今のレナの記憶には必要ない」とゴウセルがそう言うと、レナはポカンとし、でも何処か安心に包まれて、「………ゴウセルが消してくれたの…?」「ああ、俺はそういった魔力が得意なんだ、記憶や精神操作など…俺の魔力なら簡単にこなせる 」とゴウセルはそう言うと、彼はそっと彼女に手を握った。この日、レナから握ることはあっても、彼の方から手を伸ばして来たのはこれが初めてのこと。もしかすると、彼の中でレナは守るべき人、としての認識が高まって来ているのだろう。「ありがとう……ゴウセル」とレナはすっかり安心したようで、それからは落ち着いた安眠に着いた。
「……やはり痣が酷い…、これはレナの生まれ故郷の奴らに話をせねばならないな」そうゴウセルが不意に言葉をこぼした先の視線に映るのは一度確認したあの奴隷時代に負ったとされる濃くくっきりと残っている鎖の痕、よっぽど強く締め付けられていたのか鎖のサイズ感が分かるくらいにはっきりとある。それだけでなく、彼女により接近する事によってもっと残酷な傷跡を目にすることとなった。それは打撲痕や古傷の数々…奴隷として無理やり労働させられた上に、体罰らしきこともされたことが分かる体のあちこちに見える傷、いくら彼女が魔神族の血を引いてこの世に生み出された存在とはいえど、やはり非道過ぎる……と、ゴウセルはポツリ独り言で、こう呟く「……本当に彼女の生まれ故郷がキャメロットにある……たった一つの小さな村なのか、怪しくなってきたな」
そうしてあっという間にまた、朝を迎える。レナは目覚め、すると早速彼の方から、「起きたか」「うん…ゴウセルの方こそ、もう起きてたんだ」「ああ」と朝の挨拶の会話を交わして、その後いつの間にやらバンが作っていたらしい朝食のメニューを食べる。「そういえば…キャメロットには…あとどれくらいで着くの?」とレナのこの問いにメリオダスが答える。「もうすぐでつく筈だ、丁度景色も見えるし、見てみろよ、良い眺めだぞ〜」とメリオダスはそうレナに言い、彼女はそっとゴウセルを誘い、豚の帽子亭から見えてくる景色を見てみる事に。「わあー!この眺め、凄く綺麗…!」目前にまで迫った元故郷を目にして、拒絶するかと思っていたが意外な反応を見せた。そうして景色を眺めていると、あっという間に目的の地キャメロットへ辿り着いた。けど、着いたのは良いが、「さて、降りるとするか!」とメリオダスは特にこれといった行動作戦も考えないまま動こうとする為にキングから、「それは良いけど…彼女がいた元いた村の場所の事とか何も情報を得てないんじゃ探しようがないんじゃない?辿り着けるの…?」と。確かのキングの言う通りだ、彼女の生まれ故郷の国はキャメロットだという事なら現時点でも既に知ってる事だが、肝心のキャメロット内の何処の村で生まれ育ったのか、その事については一切の情報を得ていない、行こうにも行けない状況という訳で、彼女に直接聞こうにも、そうなれば思い出したくない記憶を思い出させてしまう事になりかねない、それはなるべく避けたい、ならば今からやる事はたった一つ、「良し!こうなれば、手分けしてレナが元いた故郷についての情報収集をやるぞー、とその為にこの豚の帽子亭を構える仮土地が欲しいところだな、どのみち此処には長く滞在する事になるだろうしさ」メリオダスは大罪メンバー全員に向けてそう話す。
すると、一つ気になった事があるのか、バンはメリオダスに、「そういや、彼奴の事についても聞き込みするのかー?」とバンはそう話す。バンが言う彼奴とは、最後の七つの大罪団員の傲慢の罪ライオン・シン、エスカノールの事だ。「ああ、彼奴の事についてもついでに聞き込みをするつもりだ」と意気込み、それを聞いて他メンバーもその気に。「団長がそうするなら、オイラたちはその指示に従うよ、それで肝心の分担はどうするの?少なくとも、彼女は外での聞き込みにはあたらない方がいいじゃない?下手すれば、まだ街中に彼女は以前いた故郷出身の奴らがそこら辺を彷徨いてる可能性もあるし、危険を避ける為にもキミはゴウセルと留守番してた方がいいと思うよ」とキングは彼女がまた連れて行かれることを危惧してそう提案を出した。それにメリオダスも頷き、「だな、良し!レナ、お前はこっちで少しでもお前の故郷に関する確信的な情報を掴むまで、お前はエリザベスとゴウセル、ホークと一緒にこの酒場を切り盛りしながら此処での情報集めを頼んだぞ、下手に動いてまた嫌な目に遭わない為にもな」とメリオダスは唐突にレナにすべき事を決め、伝えた。が、彼女は昨晩悪夢に魘され、ゴウセルの魔力で何とか一時的ではあるが、綺麗さっぱりトラウマの記憶を忘れられているが、それでもあれはそれだけの効果というだけであって彼がかけた魔力が解けてしまうと、また…しかも、魔神族の呪いの束縛が激化する事も今後かなりの懸念点だ。それを踏まえるとメリオダスが出した指示はある意味正しい判断と言える。でも、レナは戸惑い…「で、でも…………分かった此処に、いる」戸惑いながらもメリオダスらの聞き込みが一旦終わるまで、レナは店内に留まる事に、「おう、じゃあそんな訳でエリザベス、ホーク、ゴウセル、それとディアンヌも俺らが此処に帰って来るまでレナの事頼んだぞー」とメリオダスの方は、残りのバン、キング、マーリン、そうしてメリオダスの四人で街中にいる人々に聞き込み、そうしてそれ以外のメンバーは留守番しながら、来る客に対して話を聞く事という分担に決まり、早速行動開始だ!と、思いきや…その前に店を構える定位置探しだ、敵に…もし見つかれば襲いかかってこられる場合も想定して、なるべく隠れ家っぽく、でも聞き込みをするにあたり、人気が丁度いい場所を見渡しながら…。「おっ、この場所良さそうだな、一先ず此処で決めるか、なんかあったら場所を変えればいい話だ」とメリオダスはとりあえず豚の帽子亭を置く場所を決定し、「あとは聞き込みして情報収集だな、じゃそんな訳でお前ら行くぞー」「しゃーねーなー、あいよ」「了解」とキングとバンは動き始めるが、その一方で、マーリンはゴウセルへ渡しものがあるようで、その渡し物というのは…彼は見覚えがある代物、魔力抑制の薬だった。「ゴウセル、これを渡しておこう…その少女にある魔神族の呪いの力を制御する為だ、これを彼女の呪いが暴走を始める前に飲ませるとより効果的だ」「ああ、分かった」ゴウセルはマーリンから薬を受け取り、マーリンもメリオダスらについていく。それを見送るようにゴウセルは静かに手を振った。
それからメリオダスらの方は早速情報収集の為に街中を探索しレナの故郷とされている村について知っている者がいないかを探っていくことに。「でも団長、探すって言っても誰に聞き込みするの?彼女から聞いた過去の話からすると誰もそう易々と情報提供してくれるとは思えない」
「分かんないぞー、レナの事を嫌ってるのは実際はその噂の村の奴らってだけで此処の奴らは案外協力的かもしれないだろ」「そう簡単には協力してくれねえーんじゃねえーの」メリオダスは話しながら探索を続け、レナに関しても情報を掴むための手掛かりをこの街の人々に聞いて回る。最初こそはあまり大した有力な情報が出る事がなかったが。聞き込みを続け、暫しの時間…とりあえずは簡単に情報を整理し。と、そんな時だった、この街に住む一人の住民から有益な情報を聞ける事になった。「あんた、この街の住民か?」メリオダスは直球にそう目の前の男性に尋ね、勿論その男性はそうだと答え、「何だ…?君らは誰だ、此処らじゃ、あまり見ない顔ぶれのようだが…」彼はこの街出身で今も此処に長年住んでいるらしく、レナの事を質問したところ彼女の事も面識があり、知っているようで、そこでメリオダスは自分らの素性を明かした後…話を聞いて見ることに、「ああ…レナちゃんの事か…ほんとに可哀想だよな、自分自身が望んでた事じゃないのに幼い頃から虐げられて、この街の連中も昔数人程レナちゃんの事を嘲笑ってた事もあったよ、相当辛かっただろうに。この街によく彼女は奴隷の労働場所としてきてたよ、それに少しでも手を休めたら鞭で叩かれたりもしたね…それに剣で脅されたりね、レナちゃん、その度に大声で泣き喚いてこっちに助けを求めていたのを今でも覚えているよ、でも彼女はそれでも必死に耐えて…」と彼が打ち明けたのはレナの奴隷時代の実態…と、今の話を聞いてふと疑問に浮かぶ事が一つ、「労働で此処に来てたって事はー……、レナが生まれ育った場所は此処じゃないって事になるな」「ああ、違うと思うよ。まあ俺達もそんなに深くは彼女との交流はしてなかったから、俺から話せるのはこれくらいだ、あまり役に立てずすまない」「そっか」とメリオダスが言っていると、「というか何で急にキミらは彼女の故郷探しを……?まさか、行く気じゃないだろうな」と男性はそう言ってきて、メリオダス達は?というような反応を示し、この彼の言い方から察するにそれ程危険な地という事なのだろうか?しかし、それは思っていたよりもかなりまずい状況にあった、「そうだけど…何でだ?」メリオダスはがそう言うと、彼は口を開きこう答えた、「やめた方がいい、それこそレナちゃんは特に…これは噂話で聞いた程度の話なんだが、彼女を魔神族の娘として仕立て上げた張本人と思わしき集団が…魔神族を崇拝してるっていう奴らが彼女を連れ戻す為に今探す回ってるって話だ、だからそれを防ぐためにもむやみやたらに行くのはやめた方が彼女の為になるだろう」と男性はそうメリオダス達に伝えた。何と、彼女を魔神族の呪われた少女として創造したとされる集団がレナを再び奴隷として連れ戻す為に放浪しているというのだ。
「それでも、レナが話していた事の真実を確かめる為にも一度行ってみたいんだ、頼む…場所を教えてくれ」「でもなー…実はさっき話したと思うけど彼女とは此処に彼女が労働しに訪れてたってだけで俺は彼女の事あまり詳しくは知らないんだから俺は彼女の口からは故郷についての話なんて聞いて事もないんだ」「……そっか、でもサンキューな!彼奴の事少しでも情報を仕入れられただけでも感謝するぜ」とメリオダスは言い、キングらを連れて次なる新情報を求めて再び聞き込みをしようとした時、さっきの男性から呼び止められた。
「ちょっと待ってくれ、俺は…役には立てなかったけど、俺の知り合いに多少程度ではあるがレナちゃんと交流をしてたってやつが数人いるんだが…そいつらで良ければ、すぐにでも呼んでくるよ、少しでも多くレナちゃんについての情報を知りたいんだろ? 」と男性はそうメリオダス達の去り際にそう話し、手掛かりを掴めるかもしれないチャンスを此処で逃すわけには行かない、そう思ったメリオダスらは彼の提案に乗っかり、「本当か!!?じゃあ、頼めるか」「おうよ、じゃあ連れて来るから少し此処で待っててくれ」と男性はそう言ってレナについて少しではあるが彼女の事を知っているらしい数人に声をかけに行き、待つ事数分後。
「お待たせ、この二人が唯一彼女の事についてよく知る知人だ」「初めまして…えっと、貴方達は…?」と片方の女性の方からそう聞かれたメリオダス達。まあ、それもそうだ、キャメロットに来た事はあるとはいえ、この街は初めて足を踏み入れる地なのだから。そこでメリオダスは、「俺達はリオネス王国にある騎士団の中でも、伝説の騎士団七つの大罪だ、で俺はその団長、憤怒の罪ドラゴン・シンのメリオダスだ」とメリオダスは名乗り、その後後ろに居るキングらも一応前に出てきて正体を告げた。と、「七つの大罪って……あの…古に伝わる伝説の…騎士団!? 」「ああ、そうだ」と、一驚きあったところで、メリオダスは早速本題、彼女についての過去や故郷などについての質問していく事に、若き団二人から出た言葉もまた、衝撃の連続となるのだった…「彼女か…、レナちゃんとは…彼女が随分幼い頃から一応の面識はあってある程は知っているよ…でも、何て言葉にしてキミらに伝えれば良いか…」ともう片方の若い青年は躊躇を見せ始め、彼女の事を話すとなった途端躊躇い…、「何でも良い、仲間としてレナの事についてもっと深く知りたいんだ」とメリオダスの本気の熱意を告げると、「……レナちゃんが産まれた場所……私たちの前に話を聞いたっていうそのとことは全く違う場所だとは思うわ……私も詳細までは知らないけど、疎遠されて無理矢理奴隷としてこき使われてあの村に送還されたってだけで彼女の本当の居場所ではなかった筈よ、それと…彼女からポツンと告げられた話が一つだけ、彼女の中には強大で膨大な魔神族が封印されて眠っているって、それでたまに力を制御できなくなって暴走してしまった事があるって話してくれた事はあったわ」とと女性の方は躊躇してつつも、新たな情報を話してくれた。新たなワードとしては彼女に封印されているという膨大な魔神族の呪いのエネルギーというもの…。でも、メリオダス達が一番欲しい情報としては彼女の過去、それから秘密もそうだが、彼女が疎まれた過去がある故郷の場所の特定…、そこで、「確定的じゃなくても構わない、何処で生まれ育ったとかそんな話聞いたりしないか?」と直球でまた本来の目的の質問を二人にした。
「……ごめんなさい、本当の場所…知っていたとしても教えられないわ、教えてしまったら彼女の身が危うくなるのは目に見えてる、彼女のためにも、それに此処に住んでる人々皆んな一度レナちゃんに関わってるから、その影響で私達も彼奴らに監視されてる状況なの、だから無理よ」
「ただ、彼女を呪われた存在の子供として…魔神族の儀式で今の彼女が生まれた…全ての根源は彼奴らだというのは間違いないと思うわ」と女性はそう打ち明け、悲しき秘密を知ってしまったメリオダス達、でも故郷のことについては知れないという現実、『もし本当の真実を全て話してしまえば、殺す』とでも脅迫されているのか…?どうしてもそう思えてしまう程に話すのを拒む住民たち。座標でも、方角でも、せめてそのあたりの情報一つでも出て来ると良いが、出そうにない。これでは向かおうにも向かう事が叶わない。
「どうしても無理なのか?」「どうしても行きたいと言うなら、教えるわ、でももう彼女から聞いたのはもう何十年もの前の話だから、場所は正直うろ覚えなんだけど…それで良いなら」「それでも構わねえー、今はとにかく元の居場所の手掛かりを掴めればそれで良い」とメリオダスが伝えると、「分かった、確か私の家に…キャメロット全体の地図があったと思うから、それを取って来る…少し待ってて」とそう言って女性は見ず知らずのメリオダスらに彼女の居場所らしき場所を記した地図を自宅から持って来る…。そうして、待っている事数十分、先程の女性が片手に地図を待って戻ってきた、「お待たせ、持ってきたわ、えっと、それでレナちゃんの元故郷なんだけど…昔聞いた記憶だと……この辺だった気がするわ」と女性は地図のそれと思わしき場所に指を置いてメリオダスらに伝える。「此処か……今いるこの地から随分離れてるな、四千マイルくらい有りそうだな、で、此処はどういう場所だ?レナは元いたのは村って話してたけど」とメリオダスが言うと、「かなり人々が豊かな場所だと聞くわ、でも多少の奴隷制度が時代が経った今でもその風潮が残ってるって話も…それと、もう開拓されて大きな街になってると思うわ、村があったのは間違いないけど…どれも聞いたってだけの話だから確信はつけないけど…魔神族との妙なこ繋がりもあるって、だからもしかしたらそこで間違いないんじゃないかしら」と女性はそう話した。ようやく、彼女の故郷についての有益な情報が得られた。「サンキュー!ってそういや、確信じゃないって事は他の土地で生まれ育ってのもあり得る訳だな?」「ええ、多分ね。そもそもあの子は魔神族によって創造された子…だとするなら、それに関与した奴等はそれを知られたくない筈だから、隠蔽する為に彼女の素性を一切明かそうとしない…真実を知るのはそいつらだけよ、だから私達は話すにしても曖昧な言葉でしか言えないのよ」「そういう事か、でもサンキューな!よし、じゃあ次の行き先は此処で決まりだな!」とメリオダスは張り切って言うが、あまりにも遠方の距離の為に流石のキングも、「えー!?、団長…今から向かおうとしてる場所…此処からだと約四千マイルもあるんだよ!!?、ほんとに行くの!?」とキングは驚愕、とメリオダスは、「ああ、とりあえず情報確認の為にもな、核心付けないって訳だからそこじゃないってのも可能性としてはある訳だ、それにレナ本人にそん時は聞いてみれば良いしな、そこかどうかのさ」「しかし、随分遠方のようだな、此処からだとかなり南方方面だ」
それからメリオダスらはもう暫くに聞き込みを続け、そうしてある程度の情報収集を終えて一先ずは店に留守番している残りのメンバーに今現時点で得ている情報を共有する為に、一旦仲間達が待つ豚の帽子亭に帰宅。
と、店に帰還すると、すぐさまマーリンは出発前に渡していた抑制薬についてゴウセルに確認を取る、「そういえば、我々が出る前に渡しておいた薬の効力はどうだ? 」帰ってきて早々にマーリンはゴウセルにそう問う。彼から返ってきた言葉は、「ああ、あれは壊れた。恐らく彼女の中に 眠る魔神は薬だけでは抑えきれない程大きな、膨大な魔神の魔力が眠っている…」ゴウセルが言うと、マーリンは少し考え込むような仕草をし、「ふむ、それ程恐ろしく悍ましい者が封印されているという訳か…それならさぞかし、苦しむ痛みが計り知れないのにも頷ける」とマーリンは一人でに理解し、一方でメリオダスは店の方で聞き込みをしていたエリザベスに、「そういや、そっちの成果はどうだ?なんか良い情報あったか」「はい、レナ様の事をよく知るというお客様も来店したお客様の中にも居ました、レナ様の過去や幼い頃の記憶、それから周囲にはあまり口外しない方がいいと言われたレナ様に関する秘密のような事まで色々話してくださいました」「うん、ボクは外からしか皆んなの話を聞けなかったけど、でも外から聞いてたボクでもレナが相当辛い思いをしてたんだなって途中で胸が痛くなってくるくらい、悲しい事ばかり話が出てきて……それに何か情報に違和感を感じて…」ディアンヌはそうポツンと成果と、出てくる情報に何か違和感があると明かしたのだ。違和感とは、なんなのか。「変ってどういう事だ?」「その、もしレナ様が普通の人間という事を信じるとするなら…そうじゃなくても、彼女のご両親についての情報だけ、何一つ出てこないのが少し不思議っていうか…おかしくありませんか?」とエリザベスが話してるとキングは自分達の方でも情報収集していた時をよく思い返してみる、と。「あ!!、確かに言われてみればオイラ達の方も街の人に聞き込みを結構してたけど、過去やそれ以外の事は沢山情報として出てきてたけど、彼女の両親の話なんて一度も…!」とキングはその違和感の訳を感じ取った。「うーん、そう言われれば確かに不自然な話だな、やっぱ普通の種族とは言い難い存在って事になるな、出生地とかそもそもの出生の事自体不明ってなると」とメリオダスらが話していると、「私……親が誰かなんて知らない…、私が起きた頃にはこの世界に居たから」レナは意味深な言葉を告げた。この言葉の意味とは何なのか、「もう古い記憶なんて、思い出せない……もう思い出したくない…」幼い頃の記憶といえば彼女からすれば全てがトラウマで満ちた記憶。だから蘇るは残忍で残酷な悲壮の記憶しか彼女の脳裏に焼き付いていない、トラウマばかりが先走ってくる。でも、微かな情報ではあるがちょっとずつ、彼女に関する様々な情報が分かってきた、そうして次に向かうは情報を貰ったあの場所、これからまた次なる目的地へ向けて大移動が始まる、「よし!そんじゃ次なる目的地へ向けて出発だ!」とメリオダスはそう合図を出し、一先ずこの街から離れ、ホークママに移動の指示。
「………本当に向かうの…?」とレナはポツリとぼやいた。逃げたくない気持ちとは裏腹に、やはり怖い、そんな気持ちが溢れてきた。「ああ、真実を明かす為にも俺達は向かわなければならない」「……怖いの、また軽蔑の目を向けられたりしないかって…すごく怖い、でも私だって知りたい…」レナはゴウセルに抱きついた。彼に抱擁されることが今の彼女にとっての幸せのようだ、いや一緒にいるだけでも本当は幸せを感じているものの、彼女はまだそんな事を伝えられる勇気などない、伝えたとしても感情が欠如しているゴウセルのその思いが届くのか、そんな彼女にとっては変わった不安まで押し寄せる。「レナ、どんな事が起きようと…レナは一緒に居れば良い、何があっても…お前に不安やマイナスな感情は必要ないんだ、傍に居る」とゴウセルはそう告げた。「……!!!、ありがとう…ゴウセル…!」彼女は嬉しくなってまた涙を溢した。「?、これは…レナから少し前に教わった嬉し泣きという事だな?」とゴウセルは彼女の顔を見つめながらそう言った。「…うん…!」とレナは微笑んだ。と、それをただ何も言わずメリオダスらはじっくり眺めて。これからまだまだ続く旅路、彼女ら二人の関係も変わっていくのだろうか、彼女は……この瞬間、彼によって初めての愛を感じ始めた。