TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

テラーノベルの小説コンテスト 第3回テノコン 2024年7月1日〜9月30日まで
シェアするシェアする
報告する

「………私、また連れていかれちゃうのかな…また、また……」とレナはトラウマが再度蘇ってき始め、頭を抑えて怯えている。すると、またゴウセルは彼女に近寄り、そっと寄り添った。気持ちをリラックスさせる為に彼は彼女の背中をそっと手を置いた。今度は抱擁はせず、優しく寄り添うスタイルで接したゴウセル、あまり同じような事をやり過ぎると彼女から嫌がられると思ったのだろう。「無理しなくて良い、レナはずっと悲しい思いをし過ぎている…、少なくともレナは不幸などではなく、寧ろ幸せでいるべき者だ、だから辛い事、悲しい事など何も考えなくて良い」とゴウセルはやたら彼女に珍しい程気を配った、かなり配慮した言動を数多く出会ってからずっと定期的に言い放っている。これに対して、「やっぱお前、なんかいつもよりおかしくないか?どうした、そんなに団員以外の…まあ今は仲間だけど…けど異性にそんな優しくしてるとは、俺らに黙ってなんか変な物でも食ったか?」「うん…あまり仲間内でこんなこと言いたくないけど、明らかに違和感はあるよ」「頭でも打っちまったかー?」とまだメリオダス達はゴウセルの言動の変化に違和感を抱いてるようで、偽物ではないかと疑いを向けるほどに、それぐらい一変した彼の言動の変化は驚愕の事実ようだ。「そんなに違和感に感じる事なのか?、俺は至って普通に接しているだけだが?」とゴウセルは首を傾げてそう反論する。でも、メリオダス達からすればこれまで彼の無神経な発言を身近で聞いてきた為にそれとは正反対に、ここまで彼女に対して真摯に向き合い、且つ彼女に寄り添うような優しい姿勢をしていることに違和感を抱えずにはいられない、そういう訳だ。

「まあ、お前がそう言うなら普通なんだろうが…、お前の場合は本当に疑うレベルで人が変わったように感じたものだからな、こんな光景今まで見たことねえーし」とメリオダスはそう言うも、ゴウセルは何処か納得のいってない様子。

そうしている間もこの酒場は数千マイル離れた故郷の地へ…でも、本当に今から向かう場所が彼女の元居た場所で正解なのか、それにあの街…次なる目的地の街へ行くことすら行かない方が良いと向かう事を否定していた事も気にかかる。だからこそ、一度でも出向く価値がある…本当の真相と真実を知る為にも。

その間レナは心と身体を休ませ、彼とまたゆったりと対話を取り、少しずつ仲を深めていくようにしたようだ。彼女は…ここでとある一つの質問を彼にしてみる事にした、それは彼女が彼に対して助けてくれたという恩を心から持ったというのがあっての事かは正直分からないが、彼女はこう彼に告げてみる、「ねえ、ゴウセル。ゴウセルはどうして私に…魔神族の呪いで穢れてる…化け物の筈の私に、知りもしない私に…何で優しく、寄り添ってくれるの?」とレナは若干の卑屈混じりの言葉で彼に問う。この質問に対してゴウセルは、「特に理由はない、俺には感情や気持ちを感じる事は出来ない、でもレナを通してなら俺にはない感情を知ることが出来る、そう思った、そうして何より俺なりにレナ、君を…守りたい」ゴウセルはそう彼女に話した。しかも、言葉の最後に守りたいと言っているあたり、彼は本心で彼女の事を想い始めてたのかもしれない。偶然助けたあの時から…運命で紡がれていたのだろう…。彼の言葉を聞いて、感情が高まり…嬉し涙を流し、「ゴウセル…、ありがとう…」レナは彼の言葉に惹かれ。ポツリと彼女の目から流れゆく涙に彼は、「レナ?また、悲しくなったのか?」ゴウセルは違う意味の涙だと捉えきれず悲しくて泣いているものだと思い、そっと寄り添うがこれに対してレナは違うよというように、「ううん、違うよ。これは嬉しくて溢れた涙だよ、だから心配しないで」とポロポロ流れ行く涙を拭いながら、そう告げたレナ。彼女にとっての安心感を得る為にレナはゴウセルに抱きついた。ハグされ、する事に対してこの短期間で抵抗感がお互いなくなり、ちょっとずつお互いの距離を縮められた二人。「何だか、ゴウセルと居ると…不思議と安心する、今まで感じた事ない、知らない気持ちになれる…私も似たようなものなのかもね、私も愛情や愛される事の喜びなんて感じた事ないから 」とレナはゴウセルにもたれ掛かり、ぎゅっと近寄った。ある意味相愛な関係が築かれているこの瞬間、そっとまたレナの方からゴウセルの手を握った。すると、ゴウセルは彼女に何れは必ず聞こうとどうしても思っていた事をぶっちゃけた。「………レナは感情も持たない、笑えも泣きも出来ない俺が怖くないのか?」と。

そう、彼は感情全てを失っている、それはかつて彼が犯した『たった一つの罪』から…。レナもその違和感に、彼が感情欠如した存在ではないかという事は薄々勘付いてはいた、感情が自分と違って何一つも感情が顔に出ていない事に。メリオダスらは彼の言動などに違和感や疑問を抱いていたのは彼が一切の感情を持たない事を知っていたからこその違和感だったからだろう。でも、レナはそんな彼にと対して怖いなどの感情はなく、寧ろあの時助けてくれた恩と自分の事を大切にして守ろうと言ってくれた事への感謝の気持ちが深く刻まれ、「ううん、怖くなんかないよ、だって私にとってゴウセルはあの時ピンチを助けてくれた命の恩人だから」とレナはそうゴウセルに告げる。

と、こんなに良い雰囲気になっている中、実はこの部屋の外から覗き見する形で盗み聞きをしていたメリオダス達…、

「あの二人…昨日初対面を果たしたとは思えない程、急に仲良くなってるな…さてはゴウセルの奴、レナに一目惚れしたか…絶対彼奴、好きになってるな」「ちょちょ、団長…覗き見に盗み聞きするなんて、性格悪いよ!、ゴウセルに気付かれたらどうするのさ…」「そんなの別に覗き見するくらい良いだろー」「今回はバン…キミまで…はあ、ゴウセルに怒られてもオイラは知らないからね…」とキングはそっと引くがメリオダスはそれを止め、「まあまあ、気になるだろ?」とキングはメリオダスから無理くり言いくるめられ、結局もう少しの間だけ二人の様子を眺めていく事に。と、その間レナとゴウセルは静かに戯れ合っていた。ゴウセルは彼女の事を気にかけ、定期的にレナにある禍々しい魔神族の呪いを心配して寄り添う。レナはふと、一言…「……ねえ、怖いよ」とポツリ。何を恐れているかは提言せず、ただ怖いとだけ。でも彼は当然もう、いや彼らは既に彼女が怯えている事に遭遇している。彼女はこの先の未来…何時しか魔神族の呪いに全てを侵蝕され、魔神族の手に…いや、こんな事を考えるのはやめておこう。

「ねえ、ゴウセル…」彼女はポツリと彼の名を呼ぶ。彼は、「??、何だ?」彼が言うと彼女も彼に向けてずっと抱えていた事を投げかけた。「私が……この先もし、心も全て【魔神族の呪い】に侵されて魔神化して堕ちたら…ゴウセルは……私の事、助けてくれる…?」と会って間もないのにこんな質問をするのには彼女なりに、彼に対する芽生えてきた思いと助けくれた事に関しての感謝の気持ちからの気持ちの表れの末だろう。その関係か彼女は出会って早々こうして、ゴウセルにべったりになっている為、もしかすると彼女の方からも、反対に彼に対して一目惚れだったのか。

「感情がない俺にはそう言った事は良く分からないから、どう言えば良いのかわからないが、少なくともレナが俺に対して何かしらの感情を抱いているのは分かる、だからこそ…その時は助けることになるのか?」とゴウセルは首を傾げながらそう言葉を告げ、更にこう言葉を続ける。「レナが例え、魔神族の呪いの力に侵蝕、支配されて堕ちてもお前が俺達の仲間である事には変わりない、その時は救うつもりだ」とゴウセルははっきりとレナに助けるという言葉を交わしてくれた。と、この返答を聞いて不安は吹っ切れ、「ありがとう!」とレナは満面の微笑みを彼に見せた。「ありゃりゃー、あれは随分あの二人仲良くなってるな、彼奴があんな事をはっきり言ったのは初めてじゃないか?」「だね…あれは相当互いに惹かれ合ってる証拠だよ」とキングとメリオダスの二人がそうこそこそ話をしていると、やっと様子を覗き見られていた事に気づいたゴウセルはメリオダス達の方を見た。そうして完全にゴウセルに見ていた事がバレないうちにそそくさとメリオダスらはゴウセルの部屋を後にした。

とは言え、驚きが隠せないのは変わりない、出会ってたったの二日で早くも二人の関係性が深まり、互いの気持ちにも変化が生じ始めたのだから。

「そう言えば……あの場所に着くのは未だ時間かかるのかな…ほんとは戻りたくない…戻りたくないけど、でも私も、全ての真実を知りたい…だからこそ逃げる訳にはいかない…そう分かってるのに… 」レナはやはり故郷に対して相当な拒絶心を抱いてしまっているようで、それ程濃くトラウマや奴隷であった時代の頃の記憶が忘れたいのに忘れられない記憶が彼女の脳裏に強く残っている証拠だ。

と、その一方で他の団員はと言うと、「そう言えば、今思ったのだが、団長殿…向かっている最中に言う事でもないかもしれんが、もう少しあの街で念入りに情報収集しなくて良かったのか?今から向かう場所も確実とは言えない場所なのだろう?」とマーリンはそう疑問に思う。言われてみれば確かに今向かっている途中である次なる目的地である街も、結局のところそこかどうかの確証もないままの為に少々不安ではあるが、彼女に話を聞いて新たな情報を得るのも手だが彼女は過去に悲惨な幼少期で奴隷にもされた経験もある、だから思い出していたとしてもそう簡単に話してくれる事など極めて困難。しかし、それもあって情報があの人々から得た情報なだけな為、情報が不足しているのもまた事実。「ああ、大丈夫だ。それにもし違ってもまたそこの奴らから情報を聞き出して向かい直せば良いだげだ、レナの故郷の事のついでに、彼奴の…最後の仲間の手掛かりも探さなくちゃいけないからな」と、この言葉を聞いてマーリンは前向きさに感心した様子でメリオダスに、「団長殿は流石だ、そういう事なら、我々は団長殿の指示に従うとしよう」とマーリンはそう決めた。それから…ようやく数百マイル程進み、「やっと此処まで来たな、けどもう少しかかるそうだ」メリオダスは外から流れ行く景色を見ながらそう話す。更に進み続け、目的地は見え始め、それらしき風景が顔を見せ始めたのだ。メリオダスは見渡しながらその風景がはっきり見え始めたその瞬間に指差して、「おっ!、もしかしてあそこじゃないか…!」とそう言う。キャメロットに訪れた事はあれど今から降り立つ場所は初めての為にウキウキしているようだ。「あの場所が…」彼女は見えてくる景色をそっと眺める、あれが…元故郷。まさか彼女自身は思ってもいなかっただろう、忌々しいトラウマの地に戻ってくる事になるとは、そうしてこの先はきっと信じ難いような真実を突きつけられ、知り…向き合わなければならなくなるだろう。でも、此処まで来たからにはもう腹を括って逃げる訳にはいかない。どんな事があろうと、今の彼女にはいざとなったら守ってくれるような心強い仲間がいるのだから。そうして、遂にレナの故郷と思わしき地に到着。しかし、不確定な訳で本当にこのt地が彼女の元故郷なのか、不確実で、断言のしようもない…だから多少の不安が残るが、それでも何とか進んでいくしかない。そこで、その確かめの準備の為に降りて先ずは色々また聞き込みや探索をして回る訳なのだが、そうなると残る事になるメンバーが一人、「ボク、また此処で留守番…?」とディアンヌは寂しげにメリオダスを見つめながらそう言った。メリオダスはこれに対し、「まあ、そうなるな。お前は巨人族な訳だし、情報を掴もうとしても、住民の奴らが怖がって逃げちまうかもしれねえーからな、心配すんな!そんなに時間はかけねえーよ、レナも嫌な気持ちになるかもだし、だからある程度の確認を得たらすぐ戻ってくるからさ」と探索の間、暫し一人になるディアンヌにそう安心の言葉をかけた。「うん!分かった、そう信じて待ってる」とディアンヌはにっこり笑顔でメリオダスにそう返した。

その後、早速探索と聞き込みを開始、着いて早々にキングが、「とりあえず、此処からまた聞き込み?」とメリオダスに質問。「一先ずはそうだな、それに実際にこの場所で合ってるかもまだ確定じゃねえー可能性もあるしな、レナ…辛いかもしれないけど、お前の元故郷は此処で間違いないか?」メリオダスは過去の事から故郷に対して拒絶心を抱いているレナの事を気遣いながらそう優しく彼女に確認した。

と、途端にその瞬間にトラウマが蘇ってきたようで彼女は肩を震わせ、酷く怯え出した。それに気付いたゴウセルはそっと彼女の背中を撫で下ろす行為に出た。「ありがとう…ゴウセル」と彼女は無意識に寄りつくようになったレナ。と、明らかに嫌がっている彼女を横目にキングは、「拒絶しているって事はキミの元故郷は…此処で間違いなさそうだね」

辿り着いたのは良いが、此処が本当にレナの故郷なのかの核心付けられる事がまだこの目で確認出来ていない。だが、それは次の瞬間紛れもない核心に変わったのだ。

聞き込みの為に彼女を連れて街中を散策していたところに住民から妙な言葉が聞こえてきたのだ、「おい、あの奴…かえって来やがったぞ、ははっ!!笑えるぜ、大昔あんなにこき使われて泣き喚いてた事忘れやがったんだろうな、まさか自分から帰ってくるとはな…穢れた化け物がよ」聞こえてきたのは彼女を歓迎する声ではなく、軽蔑し失笑する声…。更には小石や物投げつけられ、余程呪われた存在だと彼女を罵り、忌み嫌っているのが目に見えた瞬間だった。この現状からして此処で間違いないであろう事が分かった。でも…同時に彼らから浴びた言葉で過去の全てが一瞬でフラッシュバックして、パニック状態になりかけ、これからの真実に対しての追求に拒絶が生じつつあった、もうこの先向き合う覚悟は……トラウマに蝕められ、と……レナの心が追い詰められているのを傍で見ていたゴウセルは我慢できなくなったのか、「………お前達には色々問いたい事があるが、その前にこれだけ聞きたい…彼女にかつて散々な扱いをしていたのはお前達か?」と彼は問う。彼は一度記しているように、とある一件で感情の一切を失っている、それでも明らかな怒りを抱いているのが、僅かな口調だが分かる。「ああ?、誰だ?お前、知らねえー顔だな」と生意気な態度で一人はゴウセルに数歩近付き、しかし傍にもう一人別の住民が居るのだが、そのもう片方の人は、「お…おい、ま…まさか、こいつ…!!」ともう一人の方はゴウセルの首元にある羊の紋章に目がいき、自分達の目の前にいる人物が七つの大罪の一人である事に気づき、横暴な態度の男性の手を引っ張って逃げようと後ろを向うとした時、ゴウセルから続けてこう言われる、「それでどうなんだ?違うならそれで良い、俺はあくまで真相を知りたいだけだからな、しかし、本当ならば…彼女を守る為にも容赦はしない」とゴウセルはレナを嘲笑っていた彼らが許せなかった、そんな事を言いたそうな雰囲気だ。今までの彼からは想像も出来ない言動に、終始メリオダスらは驚く。ゴウセルの言葉に反論の余地がないと感じたのか、二人はそそくさと走って逃げて行った。「はっきりと答えなかった辺り…恐らく彼女を奴隷として酷くこき使っていたのもまた事実だと考えた方が良い」とゴウセルは彼女を彼女を守るような姿勢を維持しながらそう話す。

「とりあえず、じゃあ此処である程度の真実を明らかにするとしますか!、それにレナに出会った以上仲間として俺らもレナの事についてもっと知っておきたいしな」メリオダスはレナの事を気に掛けながらも、探索を続行すると言う。しかし、当然思うのは、「でも…そう言っても彼女の味方なんて本当に居るのでしょうか」とエリザベスはポツリとぼやいた。このような些細な疑問が出てもおかしくはない、先程の住民からの視線や行為などを考えると、そう思うのも無理はない。久々に故郷に帰ってきたレナに対して、お帰りなさいなどの歓迎の言葉ではなく…寧ろ毛嫌いの言葉を投げかけていた事からもそれは分かる、更には嘲笑っていた事から、彼女に対しての対応があまりにも冷酷極まりない…彼等は数十年…それ以上経った今でも彼女の事を穢れた呪われし魔神族の末裔だと貶しているあたり、魔神族に何らかの恨みはあるのではないか、そう考えてしまう。この悲惨な現実に、心が徐々に削られていくレナの精神…彼女は心が落ち込み始め、崩れ落ちる程のショック状態に陥り、「分かってた、もう誰からも私なんて必要とされてない事くらい…もう私は……ずっと呪われた存在としてしか生きれないって…」レナは突然胸の奥に仕舞い込んでいた、今まで必死に我慢して圧し殺していた悲しみが暴発してきて、彼女の魔神族の呪いの力が溢れ出し…彼女を支配している根源の魔神族の呪いの禍々しい魔力が暴走を始め、彼女は黒いオーラに包まれ…彼女に直ぐ傍にいたゴウセルは彼女の異変にいち早く気づき、彼は魔力で苦しめられている彼女に接近し、ゴウセルは自身の魔力でレナの精神部分に刺激し、侵入して彼女を蝕む呪いの力の抑制を図るも、そこで新たに判明したのはその呪いは彼女の心にまで侵蝕を進めていて、かなり危うくなってきている事。「呪いの魔力の影響が心にまで、かなり急速的な暴走だ、出来る限りで良い…気持ちを沈めてみてくれないか?」とゴウセルは彼女に指示をするが、彼女は自身でそのような事を出来る余裕がない…「このまま放っておいてしまうと彼女は何れ完全に身体の支配権を失い、魔神族の手に堕ちる事になる」とゴウセルは感情がない故に淡々とそう解説するが、それを聞いて他の大罪メンバーは混乱気味な様子でキングが、「え!??、じゃ…じゃあどうすれば良いのさ…!」と焦りだす。その後、暫くはレナは魔神族の血の呪いに悶絶し、心に棲みつく魔神に身体の主導権を奪われ乗っ取られかけたが自身の意思を強く持ち、何とか急激な暴走に抗えたが、それでも…痛みには抗えても、進むゆく呪いの侵蝕までは止められず、更に悲しみが込み上げてきて、感情も乱れ…「あっ……あっ、ああ」彼女は悶え続け、膝をつかなければまともに落ち着けない呪いの支配が彼女に襲いかかる。これが一時的なものであれば良かったが、そうはいかないようで…悶え苦しんでいる間に…徐々に彼女を蝕む呪いの力が一旦は弱まったようで、そこで気絶が先走り、気を失った。そんな彼女をそっと抱え、「レナ…」と気絶で眠る彼女を静かに見つめるゴウセル。

と、先程の様子を振り返るマーリンは、「彼女の奥底に眠る呪いが完全に目覚める時が来てしまえば…一体どうなるのだろうな、少なくとも…良からぬ事が起きるのは確かだろう」と言うと、相槌を打つようにメリオダスは、「ああ」と。

と、マーリンはとある可能性を感じ、「そうなると…魔神族の中でも上位騎士団…十戒とも何かしらの繋がりがありそうだ」と考えを述べた。とりあえずはレナが気絶から目覚めるの待ち…暫くして、「…………あ」とレナはゆっくり目を開け、目覚めた。と彼女はメリオダスらには目もくれず、真っ先に視線をやったのはゴウセルだった。「……ゴウセル…、ありがとう…」とレナはゆっくり起き上がった。魔神族の血の呪いは間違いなく、着実に彼女を支配する為にゆっくり蝕んできている。その後、もう暫くこの街を出歩き、レナの事について聞き込みをしたりして新たな情報を得るが、やはりこの街の人達も少し前に訪れた街と同じで、レナに強く深く関わっているとされる者達から監視をされているのだろうか、一向にこれと言って彼女の事を紐解けるような手がかりが掴めない。

「んー、目ぼしい情報がまたもや枯渇してるな、やけに話したがらない奴らばっか釣れる」メリオダスはそうぼやく。聞き込みに協力的な者もいれば一度会ったように今も尚レナに対して軽蔑の目を向けて居る者もいるという何とも複雑な状況だ。目立った情報が枯渇して居る中、マーリンはこう提案の意見を出した、「そういえば此処はキャメロットだ、ならばこの国の王アーサーを頼ってみてはどうだ?まあ、彼が彼女に関しての情報を幾つ持って居るかは分からないが…少なくとも、街に住む人々に聞くより、最も有益な情報が手に入りやすいのではないかと思ってな」との提案が。そうマーリンが言ったようにこのキャメロット国の王はアーサーだ。王ならば、何かしら民でも知らないような事を知っていてもおかしくはない、そう考えを踏んだマーリン、それにマーリンやメリオダス達はそもそも彼との面識があり、此処に住む人々に話を聞いて回るより最も接触のしやすい彼を頼り、未だこれと言って目ぼしい情報や進展もない為に、アーサーなら何かしらの情報を握って居るかもしれないという淡い希望を抱いて、とにかく先ずは動向をその方向に変え、するとポツリとレナは、「「もう……これ以上過去を知りたくない、……それに本当の記憶、思い出してきちゃってる……消えてた本当の事…でも、全てを思い出したくない…」とレナは突然意味深な発言と共に何故か、これ以上真実を知る事に対しての反対ムードになり、塞ぎ込んでいる。

「……?、どういう事だ…?」とメリオダスは彼女にこう質問した。「忘れてた大昔の記憶…僅か…だけど、戻ってきてるの………でも、思い出したくない」とレナが頑なに訴え、どんな記憶なのか、突然と記憶が戻ってきたとは一体どういう事なのか、それを尋ねようとしても、彼女は答えようとしない。そこでこう訴えているレナに、ゴウセルは自身の魔力に他人の記憶に侵入出来る魔力があり、それを介して見ても良いか彼女に 尋ねたところ、「うん」と頷いたので、彼は早速その魔力詮索の光【サーチ・ライト】を使用し、彼は一本の光の矢を若干迷いながらも、彼女に突き刺し…彼はレナの遠い記憶昔の記憶の中へ。

「これは……レナの恐らく幼い頃の記憶だな…、……?何だ、これは黒い巨大ない繭…そしてその中に居るのは…」

そう彼が最初に見えた過去の断片はまだ彼女が産まれる前、つまり胎児の頃の記憶についたのだ。そうして彼女は普通に母親から産まれた子供ではなかった…黒い繭の中で育ち、その外から注がれる魔神族の魔力エネルギーを吸収し、成長していった。更に此処で記憶は途切れない…次に見えてきた記憶は…「これは……レナが幼少期の頃のようだな、この時から既に残酷な扱いを受けていた訳か、人間でない自分が最初は理解出来ず、化け物だと言われるまで何者かも自分で知らなかったのか」とゴウセルはレナが酷く化け物扱いをされて泣き喚く姿が写る過去を見た。その後、一通りの彼女が思い出したと言っていたという所まで延々と記憶に干渉したゴウセルは…此処で止め、魔力を解除し、そうして何時の間にやら気を失っていたレナを起こし、「……ん、……ゴウセル……」と彼女が目を覚まし、そのタイミングでマーリンは、「それで、どうだったんだ?彼女の記憶の方は」とゴウセルに質問し彼はそれに即座に答えた、「結論から言うと、彼女はそもそも人間という種族に該当しない事が判明した、魔神族によって創造された器、それと彼女は数百年もの前から既に生きていたようだ、恐らくそれまでは封印されていてとある時からその封印から目覚めた、これが全てではなく断片的にはなるが、彼女が思い出したという記憶の内容だ」とゴウセルは相変わらず淡々と話すが、そもそも偶然出会った少女がただの人間の一般人ではなく、この世界に存在する数ある種族の中で最もな悪、魔神族である事も十分に受け入れ難い種族に該当するのもそうだが、それに留まらずそもそも出生自体今の話を聞く限りでは何もかもが常識とはかけ離れている、これこそが彼女がずっと化け物呼ばわりされている所以なのか。

これで一応新たに分かった事があったとはいえど、これはあくまで彼の魔力を介して彼のみが見た記憶の断片の為に何処か信じ難い。だから、真相確認の為にもやはり、アーサーに直接会って詳しい話を聞けるかは不明だが、行くしか無さそうだ。「っと、その前にあいつを随分待たせてるし、情報整理も兼ねて、一旦戻るぞー」メリオダスはそう言って一旦豚の帽子亭に戻る事に。

「あ!団長ー!、それに皆んなもお帰りなさい!」ディアンヌは手を振って帰ってきたメリオダス達を出迎える。すると、早速メリオダスやマーリンらは街に行って得た情報共有と、それとゴウセルの魔力を介して彼だけが見たレナに関する新たな情報も伝達した。「……そうだったんだ、レナ…ほんとに色んなことでやっぱり相当辛かったんだね」とディアンヌはそうレナを見つめながらそう言った。「過去が甦ってきて…もう心が分からなくなってきたよ…もうどうしたら良いかも…」とレナは想起した記憶に頭を抱える、余計に今の自分が何なのか…そうして自身を静かに蝕んで行く呪いの事も。レナは此処に着いた途端にやたら気が滅入り、ネガティブ思考になって居る。トラウマを強く植え付けられた場所だからという事もありそうだが、何処か変な違和感だ。「レナにとっては最悪の真実をこれから多く知る事になるだろう。しかし、これは君を救う手段を探る為の大切な段取りだ、それに誰かが君を傷付けようとするのなら、守ろう」とゴウセルはレナに親切に寄り添い、もはや違和感しか無い程に献身的に接して居る。と、それが微笑ましく思えたのか、ディアンヌが、「ふふっ、良かったね、レナ!ゴウセルからこんなにも愛されて」と。

彼女はまた嬉し涙を流しかけるが、何とか堪える。ゴウセルにまた心配かける訳にはいかない、そうレナは思ったのだろう。

情報共有ついでの談話をして居ると、彼女は突然ふらつくようにヨロヨロし…次の瞬間意識まで朦朧としてきて、「……あ…れ……急に……視界が……………… 」レナは突如として気力が抜け、バタっと何の前触れもなく倒れ込んだ。一体彼女の身に何が起きたというのだろうか、場は少佐パニックになり、とりあえず直様か彼女をゴウセルの部屋に運び、そっと寝かせる。

部屋に運んで早々エリザベスは突然のこの出来事に不安と心配の色を隠せず、「レナ様…突然倒れるなんて、一体どうされたのでしょうか…」と不安な声を漏らす。

すると、ゴウセルは彼女の手を握って彼女を見つめたまま、こう自分の考えを告げる。「恐らくだが、彼女の中に眠る膨大な魔力を持っている魔神族の呪いか何かが彼女を強制的に意識を制御し、彼女を妨害して居るのだろう」と。

そう話して居ると、外にポツンと佇むディアンヌが姿勢を下げ窓からそっと眠っているレナを心配している眼差しで、「レナ……大丈夫なんだよね…」とディアンヌはレナの事が心配で自分も傍で彼女の事を見守りたいと思い、そこでディアンヌはマーリンから身体のサイズを小さく出来る薬【ミニマム・タブレット】を貰えないか頼み、そうして無事に受け取り、これでディアンヌは巨人族の体から普通の人間サイズになり、中に入り皆んなと合流。「レナ……」「またしても、魔神族の呪いの影響がレナを蝕んでるって訳か、相当手強いな、レナにかけられてるっていう魔神族の呪いは」メリオダスはそう話した。「でも何で急に倒れる事に…!?、オイラ達といた時は倒れるなんて事なかったはずだけど」とキングは理解が追い付けない模様。それもそうだ、キングが言うように戻ってくる直前は意識を失うなんて事は一切起きなかった、それなのにどうしていきなりこのような事が起きてしまったのか。

「ああ、俺に記憶を覗かれた事に魔が刺し、彼女の意識を制御したのだろう、よっぽど知られてはならない過去だったという事なのかもしれない」

そうしてとりあえずは彼女が目を覚ますまで再び待つのだが、此処で明らかな違和感を目の当たりにする事になったのだった。彼女が気絶して数時間が経過したのだが、まだ彼女は一向に目覚める兆しが見えない。数十分程ならば何の違和感もなかったのだが、明らかに気絶にしてもおかしい。気絶の状態がこんなに続くのは異常だ。「レナ……ほんとに大丈夫なの?」ディアンヌはずっと不安が募るばかりで、異常を感じ取る、一体彼女に何が起きているのか、もう彼女は終わりのない永遠の眠りから目覚められないのか、そう思った。 だが信じて彼女の傍に居るしかない。しかし、その望みが叶い…奇跡は起こった。「…………ん」レナはゆっくり目を覚ます。でも、そこで妙な違和感を感じる事になる、それは…彼女の瞳から光が消えたように見えたのだ。「………」彼女は起き上がる仕草をするが、何も言葉を発する事なく、瞳に宿る筈の光もなく、もぬけの殻のような…そんな風に思える。そこで、彼女に違和感を感じたゴウセルは、「どうしたんだ…?」と彼はレナにそう聞いてみた。「何でもないよ……ただ、私にとって 大切な事が…私の中から抜けて…何もなくなった気がするの」と彼女は謎めく意味深な発言を醸した。

彼女が目を覚ます前までの長い気絶を踏まえて考えると、もしかすると彼女に眠る強大な力を持った魔神族の呪いの影響が長い昏睡に匹敵する気絶を引き起こしているのだろうか?。「どういう事だ?」ゴウセルは唐突に彼女へそう質問した。「きっと…私に中で目覚めるのを待ち焦がれている魔神が……私を……また蝕んでる」とレナはゴウセルの質問に対してこう答える。やはり、彼女の中に棲みつく魔神族が彼女を侵蝕を進め、更にほぼ確実に彼女の身体に封印されし魔神族が目覚め始めてきている。「…………っっ!!、また…消える…!」彼女は頭をぐっと抑える。彼女の記憶と感情が損失されているようだ。そうして、感情を失ったように虚ろな目になった。「また…ー私から…記憶が消えてく…、私は……何…?」魔神族の呪いとは記憶にも根強く干渉を図ってくるようで、面倒な力らしい。「レナ……?、一体どういう事だ?お前の全ての記憶が消去されようとしているというのか…?」ゴウセルは不思議そうに首を傾げてそう尋ねた。「私、もう何も分からない… 」片言でそう話す彼女、しかも最も安心感を寄せているゴウセルにでさえも何故か拒絶の瞬間を見せる彼女、これは勿論本心での行動ではない、彼女にとってゴウセルは唯一心を寄せられる相手、それなのに拒絶反応を見せているのは紛れもないこれも、魔神族の呪いの影響で違いないだろう。本当ならもっとレナはゴウセルの傍に近寄っている筈が、今回は違う。魔神族の呪い、彼女の心…心臓部に眠りし魔神が彼女を操作しているからに違いない。

突然の彼女の変貌に違和感を感じずにはいられないゴウセルは感情が欠如していながらも、本当は動揺を隠しきれない。「レナ、一体どうしたんだ?さっきから様子がおかしいような気がするが…」とゴウセルは再度レナにそう聞いてみる。「……私は……操られるだけに奴隷人形…」長い気絶から目覚めてそこから突如として別人のように変わった。と、思った次の瞬間、急に彼女の瞳に光が戻り、虚ささえも無くなって、だが…彼女がこれまで抱いていた記憶が部分的にはなるが魔神族の呪いによって上塗りされ、負の感情が前のめりになる。「………レナ…?」すると、「ねえ、私…全部消えたの…」彼女はゴウセルにそうポツリと溢す。それに対してゴウセルは、「レナ、君は操り人形や奴隷で居て良い存在ではない、例え魔神族の呪いで君が君じゃなくなっても、必ず助けよう」とゴウセルはそう話してレナを安心させる。

この彼の言動から察するに明らかにゴウセルはレナに対して着実に好意を抱いてきているのが目に見えてくる事だろう。その反対のレナから見て彼に対しての想いがあるのも事実で互いに惹かれあっているのも紛れもない事だろう。「ありがとう…ゴウセル」レナはゴウセルにそっと抱きついた。「にしても、呪いの侵蝕が進んでるって訳か…でも何で急に」とメリオダスが言っているとゴウセが、「これは俺の推測程度ではある事だが、レナがこの地に戻ってきたことを何者かが察知して彼女が持つ同様の魔神族の魔力で彼女の中に干渉し、呪いの力を人為的に加速させているというのも、可能性としては十分に有り得そうだ」ゴウセルはそう自分の見解を出した。もし、この行為が意図的に行われた物だと踏まえると、その場合この件に関わっているとされる人物像は過去にレナに対して呪いをかけ、且つ魔神族と深い関わりがある関係性にある人物だというのがあらかた予測がつく。「痛いっ…痛いっ! 」呪いによる痛みが激痛に変わり、悶え苦しみ…彼女に呪いの兆候が見え始める。身体の一部が黒い、黒に近い紫色にも見える色の謎の痣が彼女を侵蝕していく形で徐々に浮かび上がってきたのだ。呪いが精神や心、内側だけでなく彼女の身体の外側にも強く反映されてきている証拠だ。「痛いっ……痛いっ…」呪いによる痛みが激痛に激化し、身体を埋めていないと痛みから気を逸らせない程に身体的な影響も彼女に表面化して襲いかかる。彼女の故郷と思わしきこの地に降り立った事をきっかけにレナに封印されし魔神族の呪いの力が増倍し、彼女に対して心身共に悪影響を与えていく。「レナ……」ゴウセルは彼女を抱き寄せる。

すると、「………ゴウセル、………ありがとう…」と彼女は少しではあるが微笑みを取り戻した。この様子から察するに、これが本当かはまだ定かではないからどうとも言えないが、彼がレナに眠る魔神族の血の呪いを抑制出来る力の役割を担っているのではないか、そんな事まで思える。「しっかし、面倒な事になってきそうだな、此処にきて魔神族の血の呪いが急激に力を増してきたとなると、レナはこれ以上は下手に行動できなくなっちまうな、こりゃ…」メリオダスは今のレナの現状を得て、そう考えた。と、それと似た事を考えていたのがもう一人、そうキングだ。彼も彼女に関しての違和感を他の大罪メンバーと比べれば頻繁にその違和感を感じ取ってはいたのだ、それで彼が何を思ったのかというと、「此処にきていきなりって事はやっぱり…、少し前に行ったあの街の人達が言っていた魔神族を崇拝してるっていう組織もこの地に居るって事になるよね」キングはこの急な事態からそう予測を立てた。とメリオダスはそれに賛同し、「ああ、間違いないだろうな、となるとレナはあまりこっからは一緒に行動し過ぎると危ないかもな、一応俺らも聖騎士の奴らから追われ続けられてる身だし」とそう言うも、レナは此処まできたからには自分もまだ知らない、本当の隠された真実と全て向き合い切れるまで諦めたくない、逃げたくない…!そう強く想い、「……私だけ…真実と向き合わずに逃げたくない、私一人だけ、何も出来ないなんて…そんなの嫌だ…例えこの呪いに心が侵蝕され続けようが…こんなの…痛みなんて…耐えっ……!」と突如としてまた彼女を束縛する魔神族の血の呪いが更に侵蝕を進み始めてきた。それに伴い、身体に襲いかかる痛みも次第に激痛に激化し、魔神族の呪いによって生成される魔力の支配力は計り知れないもののようで、彼女は益々危機的な状況似陥っていく。彼女を蝕む魔神族の血の呪いによって巻き起こる侵蝕は永遠と着実に彼女の精神や身体を束縛していく。黒い靄と痣は更に範囲が広がり…呪いによって蝕まれていく彼女の様子を見過ごせなくなったゴウセルは彼女にこう告げた、「レナ、あまり無理して頑張る必要はない…呪いの狙い通りになってしまうだろう、本当の真実に向き合わせる事で干渉し、感情を操作しやすくする為の罠に思えてきたんだ、本当の事を知りたいという気持ちも十分に理解出来るが、これ以上に干渉を図られれば、君が君でなくなってしまうかもしれないぞ?」ゴウセルはそう彼女を説得するような事を言って諭した。

彼が言った事はあながち間違いとは言い難い、それは何故か。実際それを裏付けるようにこの地へきて彼女は真実に向き合う事を躊躇い、やたら悲観的になっていた瞬間も確かにあって、それを踏まえて考えると魔神族の血の呪いの影響が彼女の精神や肉体の細部まで干渉しているという徹底的な証拠にもなる、「……っ!!!!!」レナはガクッと倒れ込み、痛みは延々と治らず、寧ろそれは悪化の一方で。「…やはり、誰かが意図的に彼女の中に眠っている魔神を眠りから目覚めさせようとしているのか…?、突然痛みが襲う間隔が短くなっているのがあまりにも不自然だ」ゴウセルはそっと彼女をそっと一旦抱き寄せ、静かに膝をつき彼女に対して膝枕をするような姿勢をとった。そうして彼が次に取った行動は彼女の心臓部に片手をゆっくり置き、彼の魔力を介して彼女の中で暴れている魔神を鎮静化できるかどうかの確認を行った。

「はあ…はあ……はあ……う…うう」呼吸が少し楽になったようで落ち着きを取り戻した様子のレナ。と、呪いの鎮静化の瞬間を眺めていた様子のメリオダスらは不思議そうにゴウセルとレナの方を見つめ、「レナ、なんかお前が対応にあたると妙に落ち着いてないか?」「う、うん…オイラにもそう見えたよ、キミ…彼女の呪いを抑制出来る方法を知ってるの…!?」「不思議…でも何で?」とメリオダスを含め三人は口を揃えて驚いている。「分からない、だが…呪いの侵蝕は少し治ったようだな」とゴウセルはそれが何故出来ているかの明確な答えが自分でもあまり良く理解できていないからなのか、曖昧な解答をした。彼もそこまで深く意識して接している訳でもなく、あくまで自然体で接している為に特に何かしている訳でもなさそうに見えるが…しかし、これらの事を整理していくと、彼女の呪いの抑制を図れるトリガーはゴウセル…という事なのだろうか。とりあえず、呪いの影響が一旦は治ったから良かったが、呪いの侵蝕の影響が相当心身共に堪えたようで、ぐったりとした感じで身体もフラつき、意識が朦朧とする彼女。それを見かねて、「大丈夫か?、また少し眠ってみるか?」そう彼女に提案し、そして彼女はその提案に頷き、また少し眠って休息をとってみる事に。すぐさまベットに横たわり、睡眠に入るレナ。でも、その間も多少の不安は残る、彼女がこうして眠って身体と精神を休ませている間にも、呪いの侵蝕は進んで彼女の中に封印されて秘められし魔神族の血の呪いの力がより力を増幅させるんじゃないかと。それはもう表れつつあり、呪いの支配域は彼女が持つ感情にも深く侵入し、彼女を蝕み…苦しませていく。寝ていても、ふと突然悲しみと孤独感に襲われて、周囲にいるゴウセル達の事さえも見えなくなり、「…………ぐすっ……私は……孤独で……誰も…………誰も…」彼女は涙をポロポロと流して無意識に今の、本当ではない感情に包まれ、そこで彼女は休息から一度目が覚めた。強い悲しみや孤独感に心が侵蝕されているせいか、彼女に瞳は荒んでいる。と、彼女の今の精神状態は中に眠っていてレナを操っていると思わしき魔神族にそうなるように塗り替えられているだげだ、そう言うようにゴウセルはレナにこう言葉を告げた。「俺達と出会うまではそうだったかもしれないが、今は違う。レナ、君はもう一人なんかではない、それに君に気持ちもがそうやって不安定になっているのも全て君の中に巣喰う魔神が君をそういう風に操ってコントロールしているからだろう、だから君が今抱いている感情や気持ちは本来とは全く違う筈だ」とゴウセルは言うと、また自然と抱擁を行った。どうやら、この様子を見る限り、この二人がお互いに惹かれあっている仲へと深まっているのは、やはり紛れもない事のように感じる。

彼の言葉を聞いて、「私…もう一人じゃないんだ…ありがとう、ゴウセル」レナはそう嬉しそうに話すも、何処なく彼女からぎこちない感じがしてならない。完全にはコントロールから抗えきれていないのか、よっぽど彼女を苦しめる魔神族の血の呪いは支配力がとてつもないらしい。

「…………っ」レナは感情が緩み、涙脆くなったのか、彼女はポロポロ、ポロポロと涙を流す。「精神的にも束縛の呪いのせいで随分やられているようだな、もう無理しない方が良い」ゴウセルは彼女に積極的に寄り添って献身的に支えようと心がけている様子。「ってなると、相当厄介だな…呪いの侵蝕を止められる明確な方法がない、その上レナの精神や心とかの身体の細部まで介入してくるってんなら、歯止めが効かないって事になるな、何かレナの呪いの侵蝕を妨害できるような制御可能な奴さえあれば良いんだけどな 」メリオダスはそう頭を悩ませる。とにかく此処は一旦寄り道をして行き先を変え、アーサーに会って彼女に関しての重大な情報、特に魔神族から受けたとされる彼女を酷く蝕む呪いについて話を聞きにいく方向にやるべき事を変えた。

「ああ、それにマーリンのあの魔法薬でも無効なら、それとは別に彼女の呪いを抑制する為の物があるのだろう、普通の抑制方法では彼女の中に眠る魔神は制御できない…つまりはそういう事だろう、それなら抑え込む為の道具探しも必要になるのではないか?」ゴウセルはそう提案し出した。何時もの彼なら此処まで積極的ではないが、レナと出会ってからゴウセルは彼女の事をやたら親身になって守る行動を多く取っている。その事について、メリオダスらは少しずつではあるが彼に対してまだ多少の違和感は抱いたままのものの、徐々に受け入れ始め…そっと今後二人の間に芽生えてくるであろう絆とそこから生まれる愛を傍で仲間として見守っていくらしい。

「そんじゃ、此処で立ち止まってても始まんねえーし、アーサーに話を聞きに向かい始めるとしますか…!彼奴なら有益な情報の一つや二つ、持っててもおかしくないしな」「ああ、行こう」とゴウセルは言うが、彼女の容態を考えるとまだ休憩させた方が良いとマーリンからの声があり、休ませる…と言いたいが、彼女はまた同行したいと強く希望している為にゴウセルと離れずに傍に居れば大丈夫だろうという事で、一先ずは判断し彼女も連れて共にこの国の王であるアーサーに面会しに向かう。一体どんな情報が、真実が彼女らの前に立ちはだかる事になるのだろうか、そんな不安を抱えながらも、アーサーの元へ。とは言っても実は今居る地から随分離れており、王宮がある街まで一度戻らなくてはならない。キャメロットに来てから大移動が頻繁するレナ達。でも、これも仕方ない、今彼女らは、全ては本当の真実に向き合う為の一つの大きな旅なのだから。

色欲の大罪人と呪縛に呪われし少女

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

44

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚