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式からひと月、仕事が休みの詩歌は樹奈の元を訪れていた。


「樹奈さん、体調、どうですか?」

「うん、だいぶ良くなった……けど、相変わらず気持ち悪い……何もする気になれない……」


樹奈は妊娠四ヶ月が過ぎた辺りなのだが、変わらずつわりが酷く、このところは特に食欲もなければ動く事すら億劫なようで、常に気持ちがブルーな状態が続いている。


そんな樹奈を心配した恭輔は詩歌に元気付けでやって欲しいと頼み込んでいたのだ。


「無理しちゃダメですよ。今日は私、郁斗さんと恭輔さんが戻るまでここに居ますから、安心してくださいね」

「ありがとう、詩歌ちゃん。一人だとつまらないし、気持ちも下がる一方だから、こうして来てくれるのすごく嬉しい」

「私も樹奈さんとお話するのは凄く楽しいので嬉しいですよ」


二人の仲は良好で、詩歌が訪ねて来てからというもの未だ体調は悪いものの、樹奈の気分は少しだけ上がっているようだ。


暫くいつも通りPURE PLACEでの近況報告などを済ませた詩歌。


今日は前々から気になっていた事を聞いてみようと思っていた。


「樹奈さん」

「んー? 何?」

「私、ずっと聞いてみたい事があったんですけど」

「何?」

「その、恭輔さんとの、馴れ初めなんですけど……」

「えー? あ、そういえば話してなかったよね。恭輔さんも私との交際が周りに知れた時は散々聞かれたって言ってたけど、あの人話したがらないのよね。私にも口止めしてきたし」

「そうなんです。郁斗さんもそこまで詳しくは聞いてないって教えてはくれないし、恭輔さんが話したがらないところを見ると、あまり触れてはいけないのかなと思って、結局樹奈さんにも聞けずじまいで……」

「ふふ、別に隠してる訳じゃないよ。私は話してもいいと思ってるもん。それじゃあ、詩歌ちゃんには特別に話そうかな?」

「いいんですか?」

「うん。特別ね」

「ありがとうございます!」


こうして、樹奈は詩歌に恭輔と交際に至った経緯を話し始めた。




樹奈と恭輔の出逢いは苑流のリーダーの鹿嶋と対峙した『UTOPIA』というBARの中。


囚われの身だった樹奈は郁斗と共に現れた恭輔は正義の味方に思えていた。


鹿嶋にナイフを突き付けられ、一時は解放されたものの油断した瞬間背後からナイフが振りかざされた時、樹奈はここで死ぬんだと思っていた。


けれど、「樹奈、こっちだ!」という声と共に腕を引かれて恭輔に抱き留められた時、まだまだ不利な状況には変わり無かったものの、まだ生きれるという喜びと、身を呈して助けてくれた初対面の恭輔に一瞬にして心を奪われたのだ。



そして、この件がきっかけとなって、樹奈の恭輔への想いは徐々に膨らんでいった。

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