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「……ふあ、」
眩しい光を感じる、あたたかい太陽の光。
ふと、視界が広い。仮面がどこかへいったのだろうか。そう思っていたら、地面に落ちていた。否、堕ちていた。
__ごめんな。今日は、今日だけだから。
今日だけは、
「おれ、は」
きっと、おれが思える幸せを手に入れる。
「いつも、顔隠してくれてありがとうな」
喋るはずのない鬼の仮面にそっと話しかけながら、起き上がる。いつもの朝、ロスサントスの朝。犯罪が毎日、息をするようにおきている。
それを止めるのは、警察。おれも、警察。
仮面を置いて、無線を持つ。
『青井らだお、出勤します』
__きっと、おれは………
『らだお、おはよう!』
『おはよ~~』
『おはようございますっ』
『おはよう』
__幸せ者、なんかじゃないんだろうな。
「……ん、ぐ…」
食べていたホットドッグが喉に詰まりそうになり、コーラで流しこんでいく。
警察署で食べていると、うとうとと眠くなってゆく。
「ん、んっ…」
ごくん、と音を鳴らす。チュンチュンと鳥の声が聞こえる。
「…はは、」
__青井らだお。
昨日、変な夢を見た。
美しい蒼い真珠のような目をしていて、夏なのにニット帽とマフラーをしていた人物。
そいつは、一言放って何処かへ行ってしまった。
__幸せに、…じゃなくて。お前は
良い夢みろよ。
「…幸せ、夢、
………願い」
まさか…な。
「らだお」
「…ぺいんじゃん、どこから居たの?」
「え、ホットドッグが喉に詰まってたときかなあ。てか仮面つけてないんだ」
「まあ、たまには良いかなって。てか最初からじゃねぇか…」
「…wまあね。…らだお、お前が居ないときに事件あったんだよ」
「ふうん…」
「少しは興味示せよ…。でさ、そいつが
ニット帽被ってたやつで、それで…」
「……ニット帽?」
「え、うん」
__青井らだお。
「あ“…?」
__思い出すなよ? お前はきっと幸せだ
「らだお~~?お前どした??ホットドッグまた詰まったんか?笑」
__ぺいんと、じゃなくて。ぺいんには
「…まさか、なッ」
__ごめんって、言っておいて。
おれは、もう幸せになんかなれない
__もう、いいんだ。
「………、」
「らだお…?」
よくねぇだろ。
知っていた、ロスサントスには、全員に魂があること。おれの魂…いや、おれの主。
お前はなんなんだ?何がしたい?
__いいんだよ。おれは。
「…ぺいん」
「なに…って、…え!?なんでGPS壊してんだよ!?しかもなんで自分の!?」
「つぼ浦探してくる」
「え、なんで?らだお…?」
「ぜったい、戻ってくるからさ」
あいつは、きっと悪夢を見ていた。
あいつは、きっと魂…主で、おれらを幸せ者にしようとした?
“らっだぁ“は……
……らっだぁ?
気付いたらヘリに乗っていた。汗が頬につたる。息があまりできない。
『つぼ浦、いまどこ?』
『いまはレギオンっすけど』
『餡ブレラのアジトって分かる?』
『え、はい。なんでてか電話でなんすか?』
『いいから。餡ブレラアジト行って』
『はぁ……?』
バカだ、あいつは。らっだぁは、おれがこうすることなんて分かってたはず。おれが、らっだぁを助けること。なのに、お前は止めなかった。なんで?それは…
「助けてほしかったんだろ…?主」
餡ブレラアジトに着き、ヘリを停める。
ヘリからおりて、おれらしくない大声を出す
「ウェッさん!ハンクさん!!」
だが、気付いていないのか外に出てこない。
どうすれば…
__いいって。助けなくて
…は?
__おれは、いいんだよ。
…じゃあ、
__なに?
じゃあなんで
「なんで、お前は………」
変な夢のとき、お前は
なんでそんなに、そんなにも。
「つらそうで、かなしそうで…お前は、助けてほしいんだろ?」
__………。
「おまえは、おまえはっ」
「…らだおくん?」
「!うぇっさん…!!」
「え、え…?」
「ハンクさんッ、」
「なに…?どうしたの?」
「あとは、」
「アオセン~~??来ましたけど?」
「…ぐち、つぼ…じゃなかった。
つぼーら」
「…その名前は主だから、やめてくれ」
「はいはい…w」
「で、どうしたの?」
「…この前、餡ブレラにさ。あー…とにかく青いやつこなかった?」
「らっだぁ…ってやつ?」
「ハンクさん、正解。そいつ、どんな感じだった?」
「どんな感じ…か。まあ、ハンク殺そうとしたし、なんか幸せ?があーだこーだ言ってたって感じ」
「あー…感情は?」
「感情、は…悲しいっていうか、ハンクが連れてきたときはなんか泣いてたらしい」
泣いてた、か。やっぱりお前は助けてほしかったんだろう?
悲しくて悲しくて…たまらなかった。
そうだろう?
「それがどうしたの?」
「まあ、色々と…。あと、つぼーら」
「なんすか」
「らっだぁは、どんなやつだった?」
「…優しくて、辛そうで、だけど
きっと、あいつは本当は幸せ者でさ」
「…!」
__そんなわけないのにな。
いや、そんなわけあるだろ、お前。
仲間とかいるだろ?
__…まあ、いるけど
じゃあ、幸せじゃん
「仲間も優しくて、それでさ
俺は、好き」
「…そっか、ありがとう」
「これで用は終わりなのかい?」
「うん、ごめんね」
「…いいよ、事情ありそうだったし」
ヘリに乗り、餡ブレラの二人に手を振る。そうすると、いつのまにかつぼ浦がヘリに乗ってきていた。
「…アオセン」
「なあに」
「…アオセンの中に、“いる“んだろ?らっだぁが」
「…まあね」
「なら、こう伝えてくれ
お前は誰がなんと言おうと幸せ者で、誰よりも愛されてるって」
「…わかった、ありがとう。ぐちつぼ」
「それやめろって…w」
ほら、幸せだって
__まあ、わかったよ。…俺はもう、普通に楽しく暮らす。
そうしな。
__ありがとな。
うん、こちらこそ。
「おれもう寝るね」
「早くないっすか?」
「いや、これだけ伝えたかったから」
「そっすか。じゃあ良い夢見てください」
「ん」
『青井らだお、退勤しまーす』
『お疲れ様~ 』
『ゆっくり休めよ!』
『おやすみなさい!』
__。
『良い夢、見ろよ』
…おやすみなさい、おれ。